史料にみる日本の近代 -開国から戦後政治までの軌跡-

大正七年日記

大正七年日記

※ 大正7年8月13日の部分のみテキスト化しました。



十三日 天候如昨。
  • ・昨夜就眠後、神戸市米暴動、益猖獗、放火焼鈴木商店、神戸新聞社外数箇所。郵便局亦危之急報、陸続到来。
  • ・今朝九時半、特訪寺内首相于官邸、詳論形勢急迫、講対応策之緊要。其要如左。
  • ・一 名古屋、京都、大阪三市之騒擾、雖頗激甚、以陸軍兵之鎮圧不失機、幸不到放火縦横之甚、独神戸市出兵遅緩、陥于無警備之状体、不可不深注意、
  • ・二 今回之騒擾、概係大阪朝日新聞販売区域、如同紙社会主義的扇動与有力者、且憲政員及社会主義者、亦存煽動之形跡、不可不追窮精探。
  • ・三 米価之騰貴、既害社会之安寧、不放任尋常之手段、宜急設強制買収平価供給之法、以救済下流人民之窮乏。
  • ・首相即急招大島陸相、松室法相、指示第一第二之応急施設、十一時帰邸。
  • ・後一時、開臨時閣議、関前記第三之件、首相提議左記二要件。
  • ・一 支出臨時事件費一千万円。実行米穀供給之普及事。
  • ・二 奏請自帝室賑恤金三百万円之下賜事
  • ・二件皆大体可決、予則関其方法、述左之意見。
  • ・ 以物価出定価格之設定頗要審慮。此際政府、一面勉外国米廉売之普及。一面定対民間貯蔵米強制買収之法。以可滑米穀供給之途。為充此費途。須支出国庫金一千万円。
  • ・閣員皆同之、三時過散会、既而右二件、依電報、得聖裁。発表之于世間。
  • ・客月三日、対勝田蔵相、約逓信省下級従業員救済加俸責任支出之事。同省属僚遷延不能決。督促数回、漸以本日得閣議之決定。然昨日大阪逓信局長、派総務部長、急訴下級者困迫之窮状。乃諭右事情而返之。
高橋琢也、園田寛、肥田琢司、肥田理吉、来訪。
飯野吉三郎、来談。河野広中、憲政会脱党決心之事。山下亀三郎、樺島一逓信技師来謝。
  • ・田中朝吉大和、上野福松日々、日隈曠帝国通信、加納豊国民、尾間立顕同上、清瀬規矩雄朝日、片平茂市郎中央、矢野健横二六、皆川哲雄報知、石田弥太郎万朝、湯沢重隆千代田、交来問米穀強制買収之方針。
此日、安、誠、誘内田真道兄夫妻、安場輝、観劇。
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