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陶器二三雄氏からのメッセージ

国立国会図書館関西館は、歴史と文化そして豊かな自然に恵まれた関西文化学術研究都市の、雑木林が茂る一画に位置する。関西館はこの地域の中核施設であり 60,000㎡の巨大施設である。しかしモニュメンタルなおおげさな表現の建物ではない。敷地周辺がまだ開発の途上にあり、都市の様相がまだ定まらない現状に於いて、景観上の調和を最優先に見据えることを設計の基本思想としたものである。

構成は全体の3/5以上を占める書庫を地下に、中庭に面した閲覧室を半地下に、そして地上に研究管理棟を配置した。その結果、規模の割にはボリュームを感じさせない建物となっている。 全体の構成は極めて解り易く簡明に出来ている。それは機能の変化に柔軟に応じるユニバーサルな空間構成と、緊急時避難における安全な施設構成の2点をめざした結果である。中心に位置する中庭は、各室へ自然を供給するとともに避難上の安全区画として重要な役割を担っている。

関西館は最先端情報技術を活用した図書館であるが、閲覧室、研究室を始め各諸室は、テクノロジー的硬さのない自然感の溢れる明るい開放的空間である。また外観も端正なダブルスキンカーテンウオールデザインである。

形態はシンプルな直方体ではあるが、決して凡庸で無機的な建物ではない。カーテンウオールの硝子面に施した模様に写る木々のうつろいや光の揺らぎ、スタッコ(しっくい)の奥行きのある素材感、アルミむく材の温かい硬質感、精緻なディテールによる緊張感、ナチュラルな色彩による光のたわむれなど、内外とも様々な場面においてクラフトマンシップによる豊かで静謐な空間を創出している。

閲覧室と研究室は、集中性と疲れを癒す開放性との両面性をめざした設えである。地下に設けた閲覧室への主な採光は屋根からのトップライトである。均質性を追求する空間手法のひとつとしての実質的側面とともに、知的創造活動にとって欠くことの出来ない強い集中力を高める。閲覧室と研究室は中庭の雑木林に面している。それは読書や調査の疲れを癒し自己を開放する豊かな閲覧環境をめざしたことによる。

景観計画の目標は、日常性から非日常性への変換のための静けさの演出である。それは250m幅の斜面を滑り落ちる滝の音であり、滝から芝生、そしてエントランスにいたる儀式化されたアプローチであり、どこまでも平らな芝生の大地である。京都の隠喩としての水の流れと水音は、清涼感とともに周囲の日常的喧噪を消し去る非日常性への結界である。建物前面の大地は大きなボイド(吹き抜き)空間である。トップライトをも被う芝生のどこまでも平らな空間には、天と地のエッジが見せる無限の広がりと雲が流れる大きな空の静寂がある。

この国立国会図書館関西館の設計の根幹は"静けさとシンプルさ"の創出である。静けさは自然の営みを滲みるように感じることができることである。シンプルさは美も内包するすべての規範であり、忍耐と多くの試練を乗り越えた仕事のみが到達できるものである。

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