国立国会図書館の役割とは?
より身近で役立つ存在へ―国立国会図書館におけるサービス向上への取組み―
国立国会図書館は、国民の期待を受け、また情報環境の大きな変化に対応し、この数年来国会の理解を得つつサービスを大幅に改善してきました。
しかし、先ごろ一部の報道で当館の業務について、国会議員の立法、調査活動の補佐が本来業務であるが、資料の収集、整理や一般への閲覧なども行い、最近は関西館、国際子ども図書館が開館した、このほか電子化にも取り組むなど本来業務以外の業務を拡大しているとする誤った紹介がありました。
立法補佐機能を果たすことは確かに当館の第一の任務ですが、国立図書館としての機能もまた国立国会図書館法に定められた「本来業務」です。また、両機能は共通の基盤の上に不可分の関係において行われているものです。
ここで改めて、この数年来の国立国会図書館の改革、サービス強化の大略を説明し、当館の任務について理解を得たいと思います。
収集資料―国会そして国民のために
国立国会図書館は、「真理がわれらを自由にする」という理念の下、国会の図書館・立法補佐機関として、また、我が国の中央図書館として、国会、行政・司法各部門および国民に奉仕してきました。
国立国会図書館がその使命を十全に果たすためには、図書館資料の収集と組織化に万全を期す必要があります。国の機関が発行した出版物は公用および国際交換のために、また民間の出版物は、文化財の蓄積およびその利用に資するために、国立国会図書館法によって納入が義務づけられています(納本制度)。国会の審議はあらゆる分野に及ぶため、納本のほか購入、国際交換などの方法によって収集し整理された840万冊の図書、19万種の雑誌・新聞など、全所蔵資料が国会への奉仕に活用されます。同時に、これらは、我が国の文化を支える国民共有の「情報資源」でもあります。
電子図書館サービスの拡充
近年、情報ネットワークの発展によって、情報流通の在り方が激変しています。国立国会図書館は、この環境の変化に対応し、国会および国民に対し迅速・的確な情報提供に努めています。
まず、国会向けには特にホームページ「調査の窓」を設け、立法に資する情報の提供を行っています。
次に、平成14年以来、国立国会図書館の施設に来館することなく、インターネット上のNDL-OPAC(国立国会図書館蔵書検索・申込システム)を用いて、全国・世界のどこからでも、いつでも、当館の蔵書を調べることができるようになりました。NDL-OPACに収載するデータは雑誌記事索引を含め1,500万件以上。住所・氏名等を登録した利用者は、論文等の複写を申し込み、郵送で受け取ることができます。
さらに、当館のホームページを通じ、明治期の出版物約17万冊を提供する「近代デジタルライブラリー」、国内のデータベースを広く案内する「データベース・ナビゲーション・サービス」、ウェブ情報を保存する「インターネット資料収集保存事業」、江戸期以前の貴重書などを提供する「デジタル化資料(貴重書等)」などの電子図書館サービスを推進しています。これらは、インターネット上の「文化資産」になっており、高い評価を得ています。
国立国会図書館のホームページは、1日平均15,000件のアクセスがあり、情報入手の窓口として広く利用されています。
関西館・国際子ども図書館の開館
平成12年に国際子ども図書館が開館し、平成14年には関西館が開館しました。以降国立国会図書館は東京本館とこれらの施設が一体となってサービスを行っています。関西館は、中央の図書館としての機能を東京本館と分かち合い、電子図書館サービスおよび図書館協力事業、遠隔利用サービスの窓口機能、アジア情報の蓄積発信などを担っています。また、国際子ども図書館は、子どもの本に関する広範な調査・研究を支援するナショナルセンターとして活動しています。関西館や国際子ども図書館は、国会議員と国民の強い期待を受けて設置が実現したものです。
図書館との連携協力
国立国会図書館は国の中央図書館として、内外の図書館と連携し、情報資源の共有化と利用を促進する役割を担っています。近年は、ネットワークを活用した全国の図書館の連携の強化と共通の基盤形成に努めています。平成10年から全国の公共図書館が参加する総合目録ネットワーク事業を開始し、約3,000万件の書誌情報を全国の公共図書館がサービスに活用しています。また、平成16年度には全国390の公共・大学・専門図書館が参加し、図書館の質問回答データを集積・活用するとともに広く公開するレファレンス協同データベース事業を開始しました。
開館日・開館時間の拡大
国立国会図書館は来館者に対する館内利用サービスについても改善を図ってきました。平成16年10月から東京本館で、祝日を除くすべての土曜・月曜の開館、平日の利用時間の2時間延長を実現しました。その結果、開館時間数は年間で43パーセント増加し、利用者のゆとりある利用、来館者数・利用冊数の大幅増をみています。また、システム化によって入館から資料の利用に至る一連の手続きが効率化され、利用者の利便性が大幅に向上しました。
評価制度の導入
関西館、国際子ども図書館の開館、電子図書館サービスの推進、東京本館での利用者サービスの改善など平成14年度までに達成したサービスの拡充を基に、継続的に業務改善に取り組むため、「国立国会図書館ビジョン2004」を公表しました。ビジョンでは、当館の使命と役割を明確に示すとともに、当館が取り組むべき中長期的な基本方針を示しています。一方、平成16年度から評価制度を導入しました。これは、当館の活動・事業の適正な運営と、国の機関としての説明責任を果たすことを目的とするものです。ビジョンの重点領域に対応した重点目標を設定するとともに、サービス品質を保証するサービス基準も設定しました。目標および評価は公表し、毎年の利用者アンケート調査と併せ、業務改善に生かしています。
さて、国立国会図書館では、以上の全業務、サービスを934名の職員で実施しています。ちなみに主要国では、米国議会図書館4,100名、フランス国立図書館2,700名、英国図書館2,300名です。新規事業だけでなく、この10年で国会議員への調査回答が1.7倍、図書の整理数が1.8倍、遠隔複写サービスが10倍となりました。当館では、こうしたニーズに対応するため、既存業務の見直しを常に推進しています。
国立国会図書館は、引き続き効率的な経営を旨としつつ、国会、行政・司法各部門、国民への効果的なサービスの提供に努めていきます。
(総務部企画課)
