びぶろす-Biblos
平成20年夏号(電子化41号)
はじめに
『びぶろす』は、昭和25年4月に創刊し、以後行政・司法各部門の支部図書館と専門図書館の連絡情報誌として今日に至っております。より広い範囲への提供を考え、平成10年8月号で冊子体を停止し、10月から国立国会図書館ホームページで公開しています。刊行形態は異なりましたが、今後も当館、支部図書館および専門図書館の折々の状況を掲載して行きます。
*本誌に掲載された記事を全文または長文にわたり抜粋して掲載される場合は、サイトポリシーをご覧いただき、事前にご連絡ください。
支部図書館制度60周年に寄せて
内海 啓也
国立国会図書館は今年で60周年を迎える。この60年という年月を改めて振り返ると自分の年と余り変わらない。このうちの30年は国立国会図書館の中で過ごしたことになる。私は、入館して連絡部という部署に配属された。配属当初はこの連絡部という名称は、図書館らしくなく気に入っていた。図書館に持っていた自分のイメージと、この名称が与えるイメージの乖離を面白く思ったのだ。最近まで、武装した司書が機関銃をぶちかましながら『図書館の自由』を守る『図書館戦争』というアニメーションが深夜放送されていたが、連絡部というその名称にそれと似たような連想を、往時したのだった。
このとき支部図書館課は連絡部の第一課であり、図書館協力課に配属された私は決裁文書の持ち回りなどのときにしか行くことはなかったのだが、この支部図書館制度には大いに興味を持ったものだった。まず第一に、立法府が行政府や司法府の図書館を繰り込むことなんてできるんだ、という素朴な疑問だった。この疑問を契機として、他にも、国立国会図書館長の地位とか、国立国会図書館法前文に書かれた『真理がわれらを自由にするという確信』とか、一種独特のというか一風変わったというか、日本的ではないなと思えるようなこの組織に潜りこめたことの僥倖に感謝しつつ、この組織の成り立ちについて少しずつ考えさせられていた。
国立国会図書館の創設については、米国の使節団が重要な役割を果たしたことは明白であるとはいえ、情報収集を確実なものにし、国会がその政策判断において適切な決定を下せるような情報環境をぜひとも整備しないといけない、とする複数の国会議員の真摯な情熱がその原動力になったとも言える。そのことを保証する仕掛けが、納本制度であり、支部図書館制度であり、調査及び立法考査局の設置なのである。
昨年、当館はその創設以来始めて納入率調査というものを行った。その結果いわゆる政府刊行物の納入率は100%に近い調査結果を示し、支部図書館制度が資料収集のための効果的な装置であることが証明されている。その一方、委託調査報告書などといった種類の刊行物の納入率は半分にも満たない。これをどうするかが、今後の大きな課題である。
それとともに、インターネットを介して流れる「出版物」をどうするかという問題がある。当面は政府情報を中心に法制化を図るということで準備を進めているが、支部図書館と一体となった情報の収集と保管がより重要になってくるだろうと思われる。
国立国会図書館の還暦と、やがて迎える自分の還暦を思いながら取りとめも無く60年を考えましたが、立法府であれ、行政・司法府であれ、情報の収集と提供そして保存はまだ始まったばかりだということ、100年、200年の土台を作っていくのだという決意を新たにまた一歩進むのだという思いを共有したいものです。
(国立国会図書館総務部長)

