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びぶろす-Biblos

平成20年1月号(電子化39号)

  • NATIONAL DIET LIBRARY
  • 発行/国立国会図書館総務部


支部宮内庁図書館に勤務して

鈴木 真弓

鈴木真弓様 写真
(筆者)クリックすると大きくなります。

 昭和21年新憲法が公布され、早くも昭和23年国立国会図書館法が公布され、8月25日行政・司法支部図書館18館が設置された。支部宮内府図書館も新憲法下の支部図書館にお仲間入りさせていただいている。明年で60年。人間で言えば還暦の年に当たる。 私ごとで恐縮だが、同年2月に東京で誕生した。今年定年を迎える。多少因縁も感じるので国立国会図書館と支部宮内庁図書館との思い出を記してみたいと思う。

 私は、図書館学を専門としたものではないが、書陵部に入らないかとのお誘いを受けて、昭和46年(1971年)宮内庁に採用された、明年 で勤続37年になる。(注1)
   この間書陵部図書課公文書係に移動となった4年間を除くと、33年間図書館勤務となる。入庁した年は、両陛下(昭和天皇・香淳皇后)がヨーロッパ諸国御訪問された年である。初めは出納係勤務で書陵部本、図書館本の管理・保存・出納の業務を行った。
 専門の図書館の方でも、書陵部と支部宮内庁図書館の関係が分らない方が多いようであるので、簡単に説明すると書陵部本は、明治時代以前の保存用図書・支部図書館の図書は明治時代以降の利用図書である。図書館の蔵書は明治時代の宮内省時代の図書も何気なく並んでいる。こちらは、国立国会図書館と違って、コピーは図書が傷んでなければいつの時代のものでも自由である。
 宮内庁図書館の専任職員(図書館係)に任命されたのは2年後の昭和48年からある。 国立国会図書館とのお付き合いはここから始まる。

 支部図書館の歴史は図書館に入り設立当初の先輩の話を思い出すと、国立国会図書館と支部図書館との接触で様々な障害があり、今日の支部図書館制度もクラップ、ブラウン米国図書館使節の提案やダウンズ顧問の強力な助言を背景とする「世界に類のない制度」を取り入れたとあるが、実際には紆余曲折を経て受け入れられ先輩方もかなり抵抗し議論もして確立した組織であり、書陵部でも当時は支部宮内庁図書館になると書陵部の図書は国立国会図書館に移管されてしまうのではないかと大いに危機感を持っていたという。
   名前も国会図書館支部とあることから、私も同僚から宮内庁職員か国立国会図書館の職員かと時々聞かれた思い出がある。
   設立当時は、支部図書館構想に忠実に実行しようと近代の資料も整理公開する意気込みで、収書目録改訂第1号の附録に「明治憲政関係資料目録」1公文書を掲載している。当時は公文書係が無かったため、明治以降の資料は図書館で管理しようとしたのではないかと思われるが、問題も生じたためか以後継続に到らなかった。現在は、公文書係もできて歴史的資料としての公文書も書陵部で公開中である。
   私が勤務したときは、設立時から四半世紀もたっており、予算は少なかったが国立国会図書館との関係は安定した時期で漸く試験的にコンピュータが図書館で利用されるような時代であった。

当時の国立国会図書館のサービスの数々
  1. 巡回自動車に職員娯楽用の軟派な小説が沢山ダンボールで運ばれ、常時500冊程の図書が無作為に貸し出されていた。少しずつ返却し、少しずつ貸し出しをしてもらい、それを他省庁に持っていくというサービスがなされていた。館員は利用者に、その書籍の巡回の返却時までに確実に返してもらい、整理しておくのに大変だったと聞いている。私の時までしばらくあったようだがサービスは嬉しいのであるが、お互い大変なので残った本を移管していただいてこの制度はなくなった。
    図書館での配置は入り口に巡回図書が一面に並んでいて、利用も一番多かったが、支部図書館の体裁としていかがかと思い、若気の至りで入り口に官庁資料を目立たない奥に寄贈を受けた小説類を並べたところ、閲覧者のお偉方からすぐになんでこんなつまらない図書を入り口に置くのかとお叱りを受けた。当時は朝借りに来て、夕方返す人もいていつ読んでいるのかと不思議に感じたものだ。
  2. 閲覧カードの無料配布のサービス。当時は裕福な館はカードコピー機を備えていが当館 は相変わらずのガリ版印刷。書名・著者名・分類をカード作成した。今でも悪筆であるが、人の読める字を書くよう密かに書道塾へも通ったほどだ。
    国立国会図書館では、この作業をなくすため「収書速報」に掲載されている番号で申し込むと、印刷された図書カードを配布してくれるシステムを作ってくれた。又、NDC288.41、313.6等当館に関係のある分類番号を指定しておくと自動的に全部送付してくれるので、図書の選書に非常に役にたった。
  3. まだパソコンが普及する前、今のOPACの前身ともいう検索システムを実験的に利用してみてください。ということで検索機器を各館に貸出があった。以前、地区研修で群馬県立大学の図書館を見学した折、雑誌資料検索をしてコンピュータとは本当に便利なものだと感激して帰ったあとなので、喜んで使用させていただいた。利用者も興味を持ち様々な検索を依頼してきたが、当時の貸出用はディスプレーが無くキーボードだけで資料名を打ち込む。天皇と打てば厖大に印刷されハードを止めようとしても当時のものは簡単には作動しない。ロールを半分くらい時間もかなり消費した覚えがあるが楽しい時間であった。
  4. デポジットライブラリー構想。これは画餅に終わった。なかなか良い構想であったがいつの間にか尻切れトンボに終わったのは残念である。

     設立時のさまざまな状況は「支部図書館10年のあゆみ1948−1958」(昭和35年発行)「国立国会図書館支部図書館外史」(昭和45年発行)がある。支部図書館外史は当時を振り返って往年の関係者が執筆したものだが、支部図書館の原点を考える読み物としてお薦めである。

今後の国立国会図書館と行政・司法各部門支部図書館について

 占領下アメリカの影響下で出来た憲法・支部図書館制度ではあるが、それぞれすばらしいものであると思っている。われわれの世代を団塊の世代と呼ぶ人があるが、この制度もその時代を象徴しているような気がして愛着を持っている。
 この制度はアメリカのブラウンがアイオワ州立大学と学部図書館専門図書館の連携協力構想から、アメリカでは困難であるが日本では新しく作るので可能ではないかという発想から、このような制度を支部図書館制度に取り入れていたと言う。
 近年、大学図書館相互に雑誌資料など分散して、相互利用が図られているという。図書館どうしの相互利用もできるようになっている。すでに60年前施行されていた支部図書館館制度はこれらのお手本で今でも十分に生きている制度であると誇りに思っている。
 だが、今日的課題として危惧していることもある。現在、コンピュータの普及と共に、各支部図書館の格差が大きく開きつつある。(昔から差はあるものの、小規模図書館はそれなりに手作りでその良さを演出すればよい、又国立国会図書館も全体を総合的にカバーしてくれていた)国立国会図書館を先頭に「行政・司法各部門支部図書館計画電子化推進第三次基本計画」「行政・司法各部門支部図書館支援に関する行動計画」(仮称)が支部図書館の還暦の新目玉商品として産声を上げようとしている。当館もこの流れに何とか乗れるよう努力したい。

 コンピュータが導入され、ほとんどアナログ的な当図書館でもPCが稼動しなければ業務はお手上げの状況である。人の流れも業務も180度変わった気がする。しかし、図書を管理するのは未だ人であり、国立国会図書館、行政・司法各部門支部図書館の人的ネットワークが機械に勝るものだと信じたい。還暦を迎え新しい支部図書館制度が生まれかわるこの時期、設立当時のように大いに議論し、より充実したシステムを形成していただくよう願っている。

(注1)筆者経歴
昭和46年(1971)5月書陵部図書課出納係に採用
昭和48年4月図書課図書館係勤務
平成元年4月1日公文書係勤務
平成4年4月1日図書館係勤務
現在に至る

(支部宮内庁図書館))

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