びぶろす-Biblos
平成20年1月号(電子化39号)
- NATIONAL DIET LIBRARY
- 発行/国立国会図書館総務部
- ISSN 1344-8412
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米国大使館/アメリカンセンター・レファレンス資料室の紹介
(http://japanese.japan.usembassy.gov/j/ircj-main.html)
笠 優子

米国大使館/アメリカンセンター・レファレンス資料室は、米国務省の管轄下の組織である。同様のインフォメーション・リソース・センター(IRC)が世界中に182ヵ所あり、450人の現地採用スタッフが勤務している。現在、日本には東京・大阪・名古屋・福岡・札幌の5ヵ所にレファレンス資料室があり、情報資料担当官1人、ウェブマスター1人とライブラリアン12人が職務にあたっている。それぞれの資料室は、ほぼ同様の図書、資料、データベースを揃え、同じ活動目的のもとに運営されている。その目的は、パブリック・ディプロマシーを支援するために、米国政府の政策について最新の信頼できる情報を提供し、米国社会・政治・経済・文化・制度などに関する豊富な情報を基にした第一次情報基地として機能することである。
利用方法
来館に際しては専用電話(Tel: 03-3224-5293、10〜17時)で来館2時間前までに予約が必要である。入館時には写真付き身分証明書の提示を求めている。開館日は日米の祝祭日を除く月〜金曜日で、利用時間は13〜17時である。
レファレンスは専用電話(Tel: 03-3224-5292、10〜17時)のほかファックス(Fax: 03-3505-4769)、オンライン質問箱でも受け付けている。各レファレンス資料室の連絡先は、米国大使館/アメリカンセンター・レファレンス資料室のウェブサイト、または下記のパンフレットを参照していただきたい。
(http://japan.usembassy.gov/pdfs/wwwfj-ircbrochure2007.pdf)
レファレンス・サービスと所蔵資料・データベース
レファレンス・サービス
レファレンス・サービスはレファレンス資料室の中心的な活動の1つである。来館し、所蔵資料や参考図書、データベースなどを利用することも出来るし、電話・ファックス・電子メールを通じ、またウェブ上の「オンライン質問箱」(http://japan.usembassy.gov/j/irc/ircj-refq-form.html)を使って質問をすることが出来る。
2007年会計年度(2006年10月1日−2007年9月30日)の1年間でレファレンス資料室が回答した質問の件数は、10, 385件であり、その内訳は、クイック・レファレンスの件数が7, 277件、リサーチタイプのレファレンスの件数は、3, 108件である。レファレンスの中には、日本のレファレンス資料室に十分に回答するツールが無いために、米国の親機関である国務省国際情報プログラム局の専門スタッフに問い合わせて回答したものも含まれている。(尚、上記質問には関西アメリカンセンター・レファレンス資料室の2006年10月から2007年2月までの件数と福岡アメリカンセンター・レファレンス資料室の2006年10月から2007年3月末までの件数は、閉館の為含まれていない)
資料室に寄せられる質問は多岐に亘っている。レファレンス資料室はその特性上、政府・中央・地方議会など公的機関やマスメディアからの質問を多く受ける。大学の研究者、シンクタンクや行政機関の調査室からの依頼もある。しかし、「アメリカ合衆国国歌の楽譜を探してほしい」などという質問を受けることも多い。いずれの場合も、迅速に「確かな信頼のおける」情報を基に回答するよう努めている。
レファレンス・サービスの例として下記に最近の質問例を列記したい。
- 米国政府によるテロ支援国家指定解除とその手続き方法について、教えてほしい。
- 台湾の国連加盟、台湾の防衛問題における米国の立場について、米国の公式見解と関係法を知りたい。
- 今年度の米国連邦政府の国防予算額が知りたい。
- 銃による死亡事件を州別、犠牲者の年齢別にまとめた統計を探している。
- 米国で出版されているワーキング・プアに関する書籍を教えて欲しい。
- 9.11米同時多発テロの国別犠牲者数を知りたい。
- 大統領選挙での州の予備選の日程を教えて欲しい。
- 米国で歯科衛生士になるにはどのようにしたらよいか、また大学院に進んだ場合、歯科関係の分野でどのような就職の道があるか?
- 米国の健康保険制度の現状が分かる議会調査局報告書(CRSレポート)が欲しい。
- 資格制度全般にについて、資格の発行、試験、資格を得るための必要条件などを調査している。 詳細を知らせて欲しい。
所蔵資料とデータベース
国内にある、いずれのレファレンス資料室も同じ目的で運営管理され、一般の人々を含む政府関係者、メディア関係者、研究者などを対象に、約3,000タイトルの所蔵図書と約70種類のデータベース・その他の資料を基に、現代米国の政治・経済・外交・防衛・社会・文化・教育に関する最新情報を提供している。蔵書検索はhttp://207.67.203.71/U10116AStaff/OPAC/ のサイトからできる。行政府資料や議会資料は「主要コレクション」(http://japan.usembassy.gov/j/irc/ircj-core.html)のサイトから、また、アメリカ連邦政府機関や主要な研究機関から刊行された研究レポートは「カレント・レポート」(http://japan.usembassy.gov/j/irc/ircj-currentreports.html) のサイトから一覧できる。所蔵図書はすべて参考図書であり、貸出は行っていない。来館の上、閲覧して欲しい。約70あるデータベースのほとんどは、スタッフが代行検索する。以下にレファレンス資料室が有するデータベースの一部を紹介する。
| NewspaperDirect | 米国と外国の新聞のPDF版 |
| ProQuest Historical Newspapers | Christian Science Moniter, Wall Street Journal, NY Times, Chicago Tribune、WPなど100年以上のアーカイブ |
| EBSCOHost | ニュースと雑誌記事の全文テキスト。 |
| Thompson Gale PowerSearch | Infotrac One File, Academic One FileのワンストップDB |
| HeinOnline | 歴史的な法的資料 |
| JSTOR | 研究者向け雑誌記事全文DB |
| ProQuest Research Library | 雑誌記事全文DB |
| Associations Unlimited | 46万件以上の国内外の非営利団体のディレクトリー |
| Books In Print | 英語で出版されている図書のリスト |
| Congressional Directory | 米国議会議員の最新のディレクトリー |
| Leadership Directories | 米議会及び連邦・州の高官のディレクトリー |
| Ulrichs Periodical Directory | 雑誌・定期刊行物などの出版情報 |
| Americans and the World | 国際問題に対する米国民の世論調査 |
| Biography Resource Center | Marquis Who’s Whoを含む人名録 |
| Dissertation Abstracts | 学位論文抄録 |
| Factiva | Dow Jones, ReutersなどグローバルなDB(WSJを含む) |
| Facts on File | 時事録 |
| FirstSearch | WorldCatなど |
| Gallap Poll Brain | 世論調査 |
| Law Digest | 州別法律集 |
| LEXIS/NEXIS | ニュースと法律の集合DB |
| PowerFinder | アメリカ全土の電話帳 |
| Congressional Research Service Reports | 議会調査局の調査レポート |
| CQ.COM | Congressional Quarterlyの米議会DB |
| Gallery Watch Foreign Policy File | 米議会外交資料 |
| ProQuest Policy File | 大学・シンクタンク・研究所の政策研究論文・解説など |
| Digital National Security Archives | 米政府機密解除文書のアーカイブ |
| FOIA | 国務省のFOIAによる機密解除文書サイト |
| Gale Declassified Documents | 米政府機密解除文書のアーカイブ |
| Treaties and International Agreements (Oceana) | 13,000件の国際条約と協定のDB |
アウトリーチ
「U.S.インフォメーション・アラート」(http://japan.usembassy.gov/j/irc/ircj-select.html)
U.S. インフォメーション・アラートは、インターネット上で発信された米政府高官のスピーチ、政府報告書、各種研究機関レポートなどの電子出版情報のなかからなるべく新しいトピックを選び、そのサイトのアドレスやフルテキストなどをEメールでご案内するものである。「U.S.インフォメーション・アラート」のウェブサイトでE-mail配信登録と過去のアラートの一覧ができる。
「現代アメリカ基礎講座」(http://japan.usembassy.gov/j/irc/ircj-kisokoza.html)
大学生や若い研究者を対象に、月1回約2時間、特定の主題について分かり易く説明する「現代アメリカ基礎講座」を開催している。講師は米国大使館の米国人職員または在日の米国人専門家である。講座の前後に、レファレンス資料室の職員が、関連資料や調査方法を説明する。2007年11月に行われた36回目の講座は「現代のアメリカインディアン」であった。2007年に取り上げたテーマは、「存在感の重要性: 変化するグローバル経済における日米関係」「アメリカの短編映画」「日本文学に見えるアフリカ系アメリカ人の心」「日米における女性の社会進出: その現状と課題」「米国の代替エネルギーの将来」「2008年大統領選挙」「映画上映と講演:世界難民の日」「在日米軍の役割と任務」などである。「現代アメリカ基礎講座」は東京アメリカンセンターで開催されるが、希望があれば、その他のアメリカンセンターからでも、デジタル・ビデオ・コンフェレンス(DVC)で参加できるので、近くのレファレンス資料室に相談して欲しい。
ウェブサイト『アメリカ早分かり』(http://aboutusa.japan.usembassy.gov/)
多くの人が、インターネットを通じて海外の情報を用意に入手できるようになった今、レファレンス資料室の課題は、インターネット上の膨大な情報を整理し、米国に関する一次資料を主題別にウェブ上にシェルビングすることである。その試みは、『アメリカ早分かり』となって結実している。米国のプロファイル、芸術と文化、経済・貿易、教育、環境・科学・技術、政府・政治、日米関係、法律と条約、メディア、米国社会、旅行・地理の11分野について、オリジナルテキスト、統計、関連サイトへのリンクを紹介している。
ウェブサイト『よく尋ねられる質問 (FAQ)』(http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-faq.html)
『よく尋ねられる質問』では、日米関係、経済、政治、教育、地理、旅行、留学、米国のシンボル、米国の通貨、通関について、祝日、スポーツ、50州に関する質問などレファレンス資料室によせられた質問と答えをトピックごとにまとめ、一覧検索できるようにしている。FAQの一例を紹介すると:
- 現在と1990年の最低賃金はいくらですか?
- 1945年の千ドルは現在どのくらいの価値があるのですか?
- ドルを表す$の起源は?
- 米国の義務教育は、何歳から何歳までですか?
- 州の消費税は何%ですか?
- 2004年の大統領選挙での投票率はどのくらいですか?
携帯サイト
現在、日本のインターネットユーザー8,500万人のうち、2, 000万人は携帯サイトのみのユーザーである。携帯サイトの利用者は、15歳から29歳までの年齢層が最も多く、その85パーセントが利用している。携帯利用のウェブサイトは、いつでも、どこからでも利用できる利点がある上、次世代を担う若い年齢層に直接働きかけることが出来るなどの点で、今後力を入れていかなければならない活動である。携帯サイトは現在、レファレンス資料室のウェブサイトと平行して構築されている。FAQ、アメリカの歴史「今日は何の日」、大使館からのニュースなどが閲覧でき、大使館レファレンス資料室が開催する『現代アメリカ基礎講座』に直接申し込むことができる。また、上記QRコードを携帯カメラで取り込むことにより、直接アクセスできる。下記は、携帯サイトの画面である。
米国についての基本文書の日本語訳(http://aboutusa.japan.usembassy.gov/j/jusaj-translations.html)
米国を理解する上で重要となる歴史上の基本文書から現代の米国社会・政治・経済・文化・制度など米国社会が展開してきた文化・価値についての一次資料の日本語訳をウェブサイトに公開している。以下にその一例を紹介する。
- 米国憲法
- アメリカ合衆国のポートレート
- 米国政府の概要
- 米国の大統領選挙 2004
- 21世紀の米国の外交政策
- メイフラワー盟約
- 21世紀の米国の外交政策
- 奴隷解放宣言
- ザ・フェデラリスト第10篇
- マッカーサー将軍の離任演説
- Eジャーナル:米国の大学教育・社会と価値観
今後の展望
レファレンス資料室の今後の課題は、日本と米国の相互理解をより深めることを目的に、より広く、より多くの方々に私たちの活動・サービスを利用していただくことにある。現在ある所蔵資料やデータベースをより有効に活用しサービスすることは勿論、大使館でなければ入手し難い文書や日米間の外交の基本文書をより分かり易い形で提供することも、レファレンス資料室が責任を持って着手すべきプログラムである。来日した大統領の日本でのスピーチ集やその日本語訳などをウェブ上に公開していくことなども計画されている。キッズページや、先生のための学習のページの開発も考えられている。
さまざまなサービス向上のために、広く皆様からのご意見・ご要望をお聞かせいただければ、幸いである。
(米国大使館/アメリカンセンター・レファレンス資料室長)
