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トップ > 刊行物 > びぶろす > 平成19年4月号(電子化36号)

びぶろす-Biblos

平成19年4月号(電子化36号)

  • NATIONAL DIET LIBRARY
  • 発行/国立国会図書館総務部


目次

  1. 連携・協力への新たなる地平をめざして
  2. 支部海上保安庁図書館を去るにあたって
  3. 法律図書館連絡会第49回総会の報告
  4. アカデミーヒルズ六本木ライブラリーを見学して
  5. 平成19年度行政・司法各部門支部図書館職員に対する研修について
  6. 平成19年度専門図書館協議会総会・全国研究集会のお知らせ
  7. 日誌(平成19年1月〜平成19年3月)

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アカデミーヒルズ六本木ライブラリーを見学して

高松 美帆
三浦 良子

1.はじめに

 「平成18年度行政・司法各部門支部図書館職員司書業務研修」の特別科目として行われた、「アカデミーヒルズ六本木ライブラリー」の見学会(2006年10月10日)に参加しましたので、見学の概要を報告します。
 六本木ヒルズにそびえ立つ森タワーの52階には展望台がありますが、六本木ライブラリーは同じ最上部、49階のアカデミーヒルズ内にあります。ライブラリーへはアカデミーヒルズ専用のエレベーターで行きます。49階に到着すると、入口の照明はほの暗く、外の世界から別な空間へとさりげなく誘っています。帰りに気がついたのですが、このエレベーターは、下降するに従い内部が徐々に明るくなっていくようでした。

2.設立の背景及び特色

 受付の後、カンファレンスルームにおいて、このライブラリーの設立・運営に携わっているライブラリーディレクターの小林麻実氏から、設立の背景や特色、現在の運営状況などについて説明を受けました。
 ライブラリー設立の背景には、都心での文化創造を目指すという六本木ヒルズの建設計画があり、49階において、不動産・ビジネススクールの開催が予定されていたそうです。教室は貸会議室としても利用することになっており、教室兼貸会議室を除いた残りのスペース(廊下部分を含む)に書棚を並べて図書館にしようと考えたことが設立のきっかけだったそうです。「図書館とは本だけでなく、情報リソースとしての人間も扱うべきである。本や情報との偶然の出遭いから新たな知を生み出すことを目的とする」という小林氏のコンセプトに基づき、組織を離れて個人として学ぶ人達のためのライブラリーを創り、そこに集まって来た人達の求める図書を揃えていくという通常とは逆と思える発想で設立され、その結果として「世界中のどこにも類似することない、まったく新しいライブラリー」が出来上がったということです。
 ライブラリーの主な特色は、(1)企業から援助を受ける企業の専門図書館ではなく、収益をもたらす独立事業として運営され、有料の会員制であること、(2)年中無休で長時間開館していること(コミュニティメンバーは、午前7時から午後12時まで。オフィスメンバーなら24時間利用可能)、(3)民間企業が営利目的で行う図書館であるため、著作権上の制約がかかる貸出・複写は行わず、図書の販売という形を採っていること、(4)無線LANを配備しパソコンの持込が可能であること、(5)アルコールを含む飲食が可能であること、(6)配架は十進分類法によらず、ジャンル別に分類し、様々なテーマ(出版社、作家の書棚、書評に掲載されたもの、本のサイズ等)を設けて本との出会いや発見ができるように工夫していることです。蔵書は約17,000冊で、新刊書店と同様に常時新しい本を揃えているとのことでした。
 これらの特色は、会社員や学生が抱く「既存図書館への不満」、即ち、雰囲気が暗くて新しい本がない、飲食ができない、パソコンやインターネットが使用できない、会社員や学生が自由な時間である土、日や夜に利用できない、子供がいて落ち着かないなどの不満を解消した結果生まれました。また、「会員から会費を徴収し、その範囲内でサービスを行うビジネスとして、顧客の望んでいるものを提供するのは当然」との考えから、ライブラリーは顧客のニーズに合わせて変化し続けているそうです。当初は、このようなライブラリーに会員になる人がいるのか、事業として運営できるのか、という意見もあったそうですが、2003年4月の開館から3年が経過した現在、会員は2,500名を超え、20歳代から30歳代の会員が約7割を占めるそうで、見学時に見かけた会員も若い人が多く、土日は混んでいるとのことでした。

3.各スペースについて

ライブラリーオフィスの写真

 小林氏からライブラリーの概要を聞いた後、ライブラリー内を順次説明を受けながら見学しました。カフェは眺めの良いスペースに設けられ、このフロアを訪れた人達の共有スペースとして利用されています。ライブラリーブックストアは、回廊式となっています。ライブラリーオフィスは、会員が資料を読んだり、調べたりと個人の書斎感覚で利用できます。また、ミーティングルームでは自分のオフィスにいるかのように、会員以外の人との打合せを行うことも可能です。

ミーティングルームの写真

 窓の外には東京タワーやレインボーブリッジ、東京湾などの眺望が広がり、館内ではライブラリーの会員がパソコンに向かっている姿や、カフェで談笑している姿が見られました。
 「このライブラリーが図書館と呼べるかどうか議論のあるところ」との話でしたが、書棚に並ぶ書籍の一部はセレクトショップ的に表紙を見せるなどひと工夫されており、図書館という印象よりも、本のブティックというか、サロンを兼ねた書斎のような印象を受けました。

書棚の写真

 興味深かったのが、立花隆氏などの「作家の書棚」を再現したコーナーで、作家の読書履歴(input)と作家の著書(output)を照らし合わせて見ることが出来るようになっています。数名の作家の書棚が再現されていましたが、作家の方は、書棚の公開を拒むケースが多いとのことで、協力してくれる作家を見つけるのに苦労しているそうです。
 また、最近では、新たな人や情報が出会うきっかけをつくるべく、会員同士が1つのテーマをディスカッションするという、「ネットワーキング・パーティ」の開催や、会員が自分の好きな本、他人に読んでもらいたい本を持ち寄った「ブックナビ・クラブ」というコーナーも始まったそうです。

4.おわりに

 このライブラリーを見学して優れていると思ったのは、一見不利な条件を独自のアイデアで克服していることでした。例えば、営利目的の図書館においては、複写は個別に著作権者の許諾を得なければなりませんが、複写や貸出を行わずに蔵書を販売することで著作権の問題をクリアしていることです。また、図書館のデジタル化により、「意外なものとの偶然の出会い」が欠けてくるという考えから、書棚に本が並んでいる環境を大事にしていることです。
 このような独特のライブラリーが成立し得た要因としては、蔵書を長期保存しないという点と有料の会員制という点が大きいと思います。「過去の情報や知識を保存しているだけのArchive」との小林氏の言葉を聞いて、自身の勤務する図書館について、「何のために保存しているのか?、その資料を保存する必要性はあるのか?、良い資料なのに埋もれさせているのでは?」と考えさせられました。どのような図書館にしたいのかという明確な理念を持ち、利用者のニーズを常に把握し取り入れていくという六本木ライブラリーの姿勢は、学ぶべき点が多々あると思いました。

参考文献:
小林麻実著,アカデミーヒルズ六本木ライブラリーのアイデンティティ,情報の科学と技術 56巻2号 52-57(2006)
アカデミーヒルズ六本木ライブラリーホームページ:http://www.academyhills.com/library/

(支部気象庁図書館)

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