びぶろす-Biblos
平成19年4月号(電子化36号)
- NATIONAL DIET LIBRARY
- 発行/国立国会図書館総務部
- ISSN 1344-8412
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目次
- 連携・協力への新たなる地平をめざして
- 支部海上保安庁図書館を去るにあたって
- 法律図書館連絡会第49回総会の報告
- アカデミーヒルズ六本木ライブラリーを見学して
- 平成19年度行政・司法各部門支部図書館職員に対する研修について
- 平成19年度専門図書館協議会総会・全国研究集会のお知らせ
- 日誌(平成19年1月〜平成19年3月)
法律図書館連絡会第49回総会の報告
曽雌 裕一
第49回法律図書館連絡会総会は、平成18年10月27日(金)に東京大学山上会館大会議室を主会場として開催された。この総会への参加者数は、35機関から55名の会員のほか、賛助員4名を加えた計59名であった。また、書店、データベース関係業者8社の参加も得て、法律関係資料・データベース等の展示やデモンストレーションが行われた。なお、本総会においては、昨年の総会(創立50周年記念総会)で刊行企画書が提示された「法律図書館連絡会創立50年記念誌」のうち、「記録誌」(約200ページ)が各加盟館・賛助員等に配布された(この内容については後述)。
当日は、開催館である東京大学法学部研究室図書室の笠原昌一郎氏の司会のもと、常任幹事館の中央大学図書館文系大学院図書室・藤勝周次氏、開催館・東京大学法学政治学研究科長・高橋宏志教授による開会挨拶に続いて、東京大学法学政治学研究科・大村敦志教授が記念講演「法科大学院時代の法学部図書館」を行った。
講演の趣旨としては、ご自身のフランス留学・滞在経験を踏まえた日仏の図書館比較を一つの基軸としながら、特に、日本における法科大学院の開設に伴う図書館の諸問題を論ずるものであった。中でも法科大学院の登場により一般大学の空洞化が起こることへの危機感を強調され、図書館の側からの情報発信の重要性が指摘された。その際、情報発信のイメージとしてフランスの書店を引用され、(1)フランスの書店は、地方でもかなりこだわりの選書を行っている、(2)店員の専門家意識が高い、(3)大きな書店では催し物が多く、単にゲストを呼ぶだけではなく、本格的な討論会などを行って書店の店員も積極的に関わっている、といった点を例として、図書館員一人一人の意識の向上を強調されたのが印象的であった。また、大学院で外国人が増加していることに関係して、日本の大学図書館においては外国法文献にもっと力を入れるべきであること、法科大学院関係では、法科大学院の教材開発が、近々学問的な研究の対象となるであろうことなど様々な問題が指摘された。
記念講演終了後、昼休み時間帯には、参加業者による展示会のほか、開催館による法学施設見学会が企画され、法学部図書室、ロースクール棟の見学が行われた。
午後の総会議事では、幹事会・各委員会(「法図連通信」等編集委員会、定例研究会運営委員会、ビデオ制作委員会、50年誌編集委員会)報告等に続き、新規加盟館(財団法人知的財産研究所図書館)・賛助員の入会、会計規則制定・規約改正、幹事館交代(西日本地区で、関西大学法学部資料室から近畿大学中央図書館への交代)、「法律資料の調べ方(DVD)」制作計画案(「法律文献−判例編」改定版をDVDで作成)、次回総会開催館(関東圏の私立大学を予定)等の協議が行われた。
続いて、午後の後半は、幹事会企画として「法図連の課題と求められる活動について」と題するパネルディスカッションが行われた。テーマとしては、当初「法情報リテラシー教育とサブジェクトライブラリアン養成体制の必要性について」「蔵書構成について」等の案も検討されたようだが、両テーマともサービス手段の部分的な課題に留まるため、今回は、より本質的な課題として、法律図書館の人の問題を取り上げることにしたとのことである。ディスカッションは、中綱栄美子氏(早稲田大学法学研究科)をコメンテーターとして、藤勝周次氏(中央大学文系大学院図書室)の司会により進められた。
中綱氏が事前に設定した課題は次のような諸点であった。
- 問題状況の共有
- “図書館的”なサービスは不要なのか
- 現在の法情報サービスの意味合い
- 図書館における“人”の重要性
- サービス現場の個人をバックアップする必要性
- 法図連組織の活動の再検討
特に、1においては「頻繁な人事異動による熟練司書・業務経験者の減少」「DB作成やシステム運用のための多大な時間の消費」「DB作成作業における主題分類概念の欠落→キーワード検索した結果に基づく資料提供を行うだけのサービスレベル」「図書・資料・DBの増加に比べてあまり増えない図書費」「以上のような状況に対して問題意識を持たない雰囲気の図書館職場の増加」といった問題点が、法務省・国会・裁判所各図書館を含む全ての図書館において共有しうる問題状況ではないかと指摘がなされた。もちろん、DBやWeb(インターネット)の普及が大いに有効であることを否定する趣旨ではないが、この使い方をユーザーに伝える人材の不足が問題であり、図書館員の存在意義が薄くなるとすれば、上記の問題状況は歯止めなく進行する危険があるので、一つの考え方として、サービス現場の個人をバックアップする組織の必要性を再検討すべきであるとの提起があった。
その後、この提起との関連で「法律図書館連絡会」が今後どうあるべきかが具体的に議論され、「法図連の行う事業の是非」「10数名規模での研究会の実施とその連絡体制の確立」「個人的な賛助会員の拡大とその前提としてのホームページ(広報)の充実」「財政基盤の確保→一つのアイデアとして、文科省科研費等の助成金の活用」など多くの論点についての意見交換が会場からの発言も含めて行われ、パネルディスカッションは終了した。
パネルディスカッション終了後「総合図書館見学会」が約1時間にわたって行われた後、総会は、参加者による交流会を経て閉会した。
なお、本総会においては、昨年の総会において刊行が承認された「法律図書館連絡会50年史」のうち、第1分冊の「記録誌」が刊行・配布された。
本書は、A4版200ページからなるもので、
- 序章:
- 法律図書館連絡会50年の概観
- 第1章:
- 法律図書館連絡会創立50周年記念企画公演「法律図書館の課題−法律図書館に求められるもの−」(指宿信立命館大学大学院法務研究科教授)
- 第2章:
- 法律図書館連絡会に携わって(14記事)
- 第3章:
- 法律図書館連絡会50年の記録(「活動記録」「総会(内容・幹事・加盟機関・賛助員)」「法令資料通信」・「法図連通信」総目次)
- あとがき
の構成からなっており、第2章の諸原稿は、法図連に関わってきた関係者のうち、「50年誌編集委員会」以前の「調査・刊行準備委員会」からの引継原稿が4編、新たな執筆依頼原稿が4編、すでに「びぶろす」や「法図連通信」に発表された原稿の再掲が6編という内容となっている。
ちなみに「法律図書館連絡会50年史」の第2分冊として、現在時点での日本の法律系図書館・室の現状を客観的に把握するための「ダイレクトリー」編を現在編纂中である。
最後に、法律図書館連絡会第49回総会と直接関係するわけではないが、法律図書館連絡会・定例研究会運営委員会の主催により、平成19年1月26日(金)に、最高裁判所図書館、及び、国立国会図書館(議会官庁資料室と所管書庫)の見学会が実施されたので、これを報告する。この見学会は20名のみの比較的小グループによるものであったが、見学時間が閲覧時間中ということもあるので、妥当な規模によるものであったと思われる。また、同連絡会の公式の企画による当館の見学会はこれが始めてであったが、通常、外部からの入庫が困難な地下書庫で当課(議会官庁資料課)所管の各種法律関係資料を閲覧できることには大いに意味があるので、同委員会に寄せられた感想も大変好評で、今後も適宜継続を検討してもらいたい企画との評価が高かったようである。
(国立国会図書館調査及び立法考査局)
