びぶろす-Biblos
平成12年1月号(電子化7号)
- NATIONAL DIET LIBRARY
- 発行/国立国会図書館総務部
- ISSN 1344-8412
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はじめに
『びぶろす』は、昭和25年4月に創刊し、以後行政・司法各部門の支部図書館と専門図書館の連絡情報誌として今日に至っております。より広い範囲への提供を考え、平成10年8月号で冊子体を停止し、10月から国立国会図書館ホームページで公開しています。刊行形態は異なりましたが、今後も当館、支部図書館および専門図書館の折々の状況を掲載して行きます。
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目次
国立国会図書館長と行政・司法各支部図書館長の懇談会開催される
平成11年度国立国会図書館長と行政・司法各支部図書館長との懇談会が、11月22日(月)午後4時から中央館新館講堂で開催された。出席者は、支部図書館長15、分館長6、代理12、兼任司書等9と当館館長以下6の計48名であった。
戸張正雄国立国会図書館長の挨拶に続き、千代正明関西館準備室長が、「国立国会図書館関西館(仮称)の進捗状況について」と題する報告を行った。国立国会図書館関西館(仮称)は、国立国会図書館が、電子図書館機能を備えた、高度情報化社会に対応する図書館サービスの拠点として、関西文化学術研究都市(精華・西木津地区)に現在建設中の施設である。報告では、これまでの経緯とともに、段階的に整備を行う計画であること、第一期として総延床面積約 60,000平方メートルの建物を建築し、平成14年度に開館する予定であること等の説明があった。
続いて、福山圭一支部厚生省図書館長が、支部図書館の電子化への取り組みの紹介として、「厚生省図書館の電子化事業について」と題する報告を行った。支部厚生省図書館は、国民に開かれた図書館を目指して平成4年に全面開架式に移行し、現在は、業務の機械化によるトータルな図書管理を実現するとともに、インターネットへの蔵書目録データベースの提供を実現している。(URL:http://library.mhw.go.jp/)また、同館のみが所蔵する報告書や古い厚生白書を電子化してインターネットにより提供する「厚生省電子図書館」も開設している。報告では、これらの事業や劣化資料のイメージデータ化の概要とともに、厚生省試験研究機関の図書館との連携を計画中であること等の説明があった。閉会後開催された懇親会の会場には、厚生省で作成され、当館に納本された、「人口動態統計」のCD-ROM(明治31年以降100年分、25枚組み)が展示され、参加者の関心を集めていた。
(文責:支部図書館課 大塚奈奈絵)
平成11年度行政・司法各支部図書館職員沖縄地区図書館等調査研究
平成11年10月5日〜10月8日
国立国会図書館では行政・司法各支部図書館の職員を対象にした研修の一環として、毎年国内各地の図書館等を実地に見学する「各地区調査研究」を実施している。この調査研究は各種図書館等の機能・運営・相互協力についての識見を養い、支部図書館の運営と業務の改善に資することを目的として行われている。平成11年度は、10月5日(火)から10月8日(金)までの日程で沖縄県を訪問した。参加者は各支部図書館から27名、国立国会図書館2名の総勢29名であった。
以下の報告は、参加者から提出された報告書をもとに図書館協力部支部図書館課がとりまとめたものである。
| 10月5日(火) | 沖縄県議会図書室 |
| 10月6日(水) | 沖縄県公文書館 琉球大学附属図書館 |
| 10月7日(木) | 沖縄県立博物館 沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館 |
| 10月8日(金) | 沖縄県立図書館 |
【沖縄県議会図書室】
沖縄県議会図書室は平成4年に竣工した新議会庁舎の南側にあり、1階に書庫、2階に開架の閲覧室及び事務室という配置になっている。前身はアメリカ統治下の昭和27年に創設された琉球政府立法院事務局に付設して発足、その後昭和31年に図書室として独立した。そして昭和47年の県政復帰とともに、地方自治法第100条に基づく沖縄県議会図書室となり、現在に至っている。
図書室の利用は議員、議会職員、県庁職員がほとんどであるが、議会業務に支障のない範囲で一般に公開されている。図書館業務の運営は2名の職員と1名の嘱託により行われている。施設面積は565㎡、蔵書数は平成11年4月現在、登録図書38,077冊、非登録図書約53,000冊を数え、全国の議会図書室の中でも有数の規模となっている。なお、所蔵資料の検索はカードを利用しており、目録の電子化はこれからの課題とのことであった。
訪問した当日は沖縄県議会が開催されており、傍聴席から質疑の行われている様子を見学する機会に恵まれた。
【沖縄県公文書館】
那覇市内から車を走らせ、南風原町に入ってしばらくすると、赤い屋根の建物が目に飛び込んでくる。沖縄県公文書館は平成7年、都道府県立の公文書館としては全国で26番目に開館した。建物は日本建物百選に選ばれ、また数々の賞を受賞したとのことであるが、それも納得する堂々たるたたずまいである。屋根は沖縄で伝統的な赤瓦葺き、前庭には琉球石灰岩がふんだんに使われている。
今回の訪問では講堂で業務概要の説明を受けた後、展示室、閲覧室、書庫、収蔵室などを見学した。業務説明では、特色のある職員構成、教育・研修について話を伺った。公文書館全体で54名の職員がいるが、県の職員は5名のみで他は財団法人沖縄県文化振興会公文書管理部に属していて、県からの業務委託という形をとっている。また、開館当初より技術の修得のため職員を海外に派遣するなど人材の確保・育成に力をいれている。
(右 特別保存庫)
収蔵資料としては、アメリカ統治時代に和文で書かれた琉球政府文書、琉球列島米国民政府(USCAR)文書のマイクロフィルム、昭和47年に復帰したのちの沖縄県県政文書といった公文書が代表的なものであるが、その他沖縄に関係する資料、写真などを幅広く所蔵している。閲覧室では利用者用の端末機から所蔵資料の検索に加え、閲覧申請書の作成も行えるようになっている。
書庫の面積は3,235m2と全国でもトップクラスの規模を有し、貴重な資料の収蔵のために総桐材で温湿度管理の行える特別保存庫等を設置している。そして、資料の保存・修復に関しては、修復機や製本機を備えた製本補修室で専門の職員が劣化した公文書等の補修にあたっている。今回は見学の途中に担当職員から資料の保存管理についての話を聞くことができた。
【琉球大学附属図書館】
琉球大学は、昭和25年に琉球列島米国政府令により開学、昭和47年の本土復帰に伴い国立大学に移管された。大学図書館ではあるが、学外者にも公開していて閲覧・貸出・複写・レファレンス等のサービスを提供している。広大なキャンパス同様、図書館も広く、学生の利用が活発であった。留学生が多いこともあり、3階の留学生コーナーでは海外衛星放送受信システムにより、約30カ国131チャンネルを視聴することが可能となっている。館内には蔵書検索用のパソコンに加え、インターネット・電子メールを利用できる機器が設置してあり、単なる図書資料の利用にとどまらない学生の図書館活用の状況がうかがえる。
今回の訪問において、業務概要の説明は琉球大学附属図書館のホームページを使って行われ、情報化時代に対応するため積極的に電子メディアを活用しているとのことであった。学生には「ライブラリー・ワークショップ」と呼ばれるプログラムを実施し、図書館ツアー、利用ガイダンス、講座・講演会の開催等の情報を随時提供している。さらに学術資料の電子化事業として琉球大学附属図書館で所蔵している宮良殿内文庫の画像、ブール文庫のガラス版写真などのデジタル化を進めている。また、興味深い取り組みとしては、「琉球方言音声データベース」作成事業が挙げられる。これは沖縄各地の方言を男声と女声に分けて録音し、データベース化を進めているもので、今後の展開が期待される。
【沖縄県立博物館】
沖縄県立博物館は、戦前首里城北殿にあった「沖縄郷土博物館」、終戦直後米国軍政府により設立された「沖縄陳列館」をその前史に持つ。「沖縄陳列館」は昭和21年に沖縄民政府に移管され、「東恩納博物館」と改称して新たに発足した。この年が沖縄県立博物館の創立年にあたる。昭和28年「東恩納博物館」と首里の博物館が合併、昭和30年に「琉球政府立博物館」と名称を改め、さらに昭和47年本土復帰に伴い現在の「沖縄県立博物館」となった。
現在の沖縄県立博物館の敷地は、もともと琉球王府の王子が住居を構えていた中城御殿跡であり、昭和41年に新館が建設された。復元された首里城公園に近く、また沖縄の自然、歴史、文化を体系的に学ぶことができるため、県外からの訪問客も多い。
今回の見学では担当学芸員のご厚意で、国の重要文化財に指定されている沖縄最古の歌謡集「おもろさうし」、そして最近指定されたという「明孝宗より琉球国中山王尚真への勅書」の原本を見せて頂き、文化財に対する心得、管理保存の仕方などについて説明を聞くことができた。
【沖縄県立芸術大学附属図書・芸術資料館】
沖縄県立芸術大学は昭和61年に開学した美術工芸、音楽の学部からなる比較的新しい大学で、附属図書・芸術資料館も同年に開館した。芸術系大学の図書館ということで、所蔵資料に特徴があり、図書資料に限らず、絵画・彫刻・楽器と幅の広いコレクションを有している。図書館の蔵書は平成11年3月現在、56,883冊、雑誌は481タイトルを揃える。美術・音楽分野は大型の本が多いこともあり、書架はゆったりとしたスペースになっている。また、ビデオ・CD等のAV資料を視聴できる部屋は別にあり、見学に行った際も学生が使用していた。
附属図書・芸術資料館には大型の絵画、彫刻などの芸術作品を地下の収蔵庫に運ぶため、3000㎏までの重さに耐えられるという特大のエレベーターが設置されていて、見学者と引率あわせて30名全員が一度に乗ることができたのには驚かされた。また、昭和期の「型絵染」伝承者で沖縄県女子師範学校の教諭を勤めた鎌倉芳太郎氏の旧蔵資料として、資料ノート・地図・絵図・写真資料などを所蔵している。これらは、戦争によって失われた歴史的建造物、遺跡などが克明に記録してあり、現在ではたいへん貴重な資料となっている。首里城の再建、守礼門の復元は同氏の資料を元にしているとのことであった。
2階にある常設展示室では、日本グラフィックデザイナー協会によるデザインポスター展が開催中で、この展示会に作品を出品している同大学助教授の方に解説をしていただいた。
【沖縄県立図書館】
明治43年(1910年)沖縄県庁敷地内に開館した沖縄県立図書館は、平成12年で90周年を迎える。開館当初は「沖縄県立沖縄図書館」の名称で、館長は沖縄学の研究で名高い伊波普猷氏であった。その後は社会状況や時代の変化に伴い「沖縄中央図書館」、「首里図書館」、「琉球政府立中央図書館」など幾たびか名称を改め、本土復帰後の昭和47年、現在の「沖縄県立図書館」に改称した。
開館当初4,560冊であった蔵書数は平成10年度で宮古、八重山の両分館を含め483,684冊を数える。離島の多い沖縄では、図書館の設置されていない地域が少なくないため、館外協力事業の一環として一括長期貸出を行っている。平成10年度は小学校、公民館などに計12,250冊の図書を貸し出した。
また、沖縄県立図書館は沖縄県における郷土資料の拠点としての役割を担っている。沖縄関係資料は本館用として網羅的に3部収集し、一般閲覧室沖縄コーナーでの貸出用として1部、郷土資料室での閲覧用として1部、そして永久保存用として1部を確保するように努めている。なお、沖縄県立図書館の所蔵する個人コレクション「東恩納文庫」「真境名文庫」「山下文庫」などは、郷土資料室で請求して閲覧することができる。
図書館情報提供システム整備の一環として、平成11年9月にインターネット上にホームページを開設し、遠隔地からの蔵書検索が可能となった。今まで簡単に図書館へ足を運べなかった離島の住民にとっても、自宅に居ながらにして県立図書館の蔵書の検索が可能になり、たいへん意義深い。今回、研修生との意見交換の場で、沖縄県立図書館の目指す方向として、生涯学習を深化発展させる場所、人生のパイロットをめざす、心と情報のオアシスとなる、人と人とのネットワークが図書館運営の要となる、図書館は利用者があって真価が決まる、とおっしゃられていた館長の言葉が心に残った。
平成12年度には全国図書館大会が沖縄で開催されることになっており、できたばかりのポスターを見せていただいた。大会の成功をお祈りしたい。
【結び】
以上、地区調査研究で見学した各館の状況をまとめてみたが、共通して感じたことを二、三触れてみたい。
まず、沖縄県の人々の郷土に対する誇りと郷土資料収集に対する情熱が挙げられる。沖縄の長い歴史のなかでも、明治維新後の百年余りは激動の時代であった。特に太平洋戦争における悲劇は決して忘れることはできない。歴史的な施設とともに郷土資料に関しても、沖縄戦の結果、貴重な文化遺産である多くの資料を失った。各図書館、博物館等を訪問した後の意見交換の場でも、多くの方が繰り返し語っておられたことでもある。そのような事情もあり、沖縄では郷土資料への思いが強く、収集・保存・管理における熱意を直に感じることができた。
また、どの館も広く県民に開かれていて、積極的にサービスを提供しているという姿勢が印象的であった。そして、沖縄の図書館に限ったことではないが、どの館も予算、人員の面で厳しい状況にあるとのことで、これは各支部図書館にとっても同じような状況であることに変わりない。そのような厳しいおり、これからの図書館がいかに充実したサービスを提供できるかが、ますます問われるであろう。
最後に、訪問に際して快くご指導・ご援助くださった各館の方々に深く感謝の意を表したい。
(文責:支部図書館課 織本尚志)
| 支部会計検査院図書館 | 石塚松枝、長谷川佐千子 |
| 支部内閣法制局図書館 | 久米恵美子 |
| 支部日本学術会議図書館 | 関口和信 |
| 支部公正取引委員会図書館 | 若月勝代 |
| 支部総務庁図書館 | 楠本澄子 |
| 支部総務庁統計図書館 | 廣江澄子 |
| 支部経済企画庁図書館 | 雨宮澄江 |
| 支部科学技術庁図書館 | 吉沢道子 |
| 支部国土庁図書館 | 筒井元章 |
| 支部法務図書館 | 黒沢文子、沼田知之 |
| 支部外務省図書館 | 岡本京子 |
| 支部大蔵省文庫 | 加藤光代 |
| 支部文部省図書館 | 古賀由紀子 |
| 支部農林水産省図書館 | 松澤勝幸、大浜幸子 |
| 支部農林水産省図書館農業総合研究所分館 | 美山實 |
| 支部林野庁図書館 | 山村比左江、佐藤芳江 |
| 支部通商産業省図書館 | 小泉千春 |
| 支部工業技術院図書館 | 岩崎暁、飯倉昇 |
| 支部特許庁図書館 | 児玉輝子 |
| 支部気象庁図書館 | 榎本英樹 |
| 支部建設省図書館土木研究所分館 | 飯田よし子 |
| 支部建設省図書館建築研究所分館 | 小林富美子 |
| 国立国会図書館 | 森山りや子、織本尚志 |
支部運輸省図書館の紹介
霞が関の中央合同庁舎3号館8階に国立国会図書館支部運輸省図書館があります。行政省庁に附属する図書館という性質上、各支部図書館の蔵書は、その属する省庁の所管する分野が中心になります。ここ支部運輸省図書館も、運輸行政関係の専門図書館として活動しています。担当職員3人、閲覧席19の比較的小規模な図書館ですが、平成5年4月から業務を機械化し、利用者の便宜を図る一方、省内職員に対しては省内LANを通じて所蔵データの検索ができるようにしています。所蔵資料はすべて開架され、自由に閲覧できます。最近は、一般の利用者も増えています。
また、国立国会図書館図書館協力部、運輸省関係の図書館、運輸関係諸団体の図書館等により運輸関係図書館連絡会を組織し、図書館相互の連携を保ち、図書館利用者に対するサービスの向上および図書館業務の改善を図っています。
利用について
- 所在地
- 〒100-8989 東京都千代田区霞が関2-1-3第3合同庁舎823号室(8階)
- 電話 03-3580-3111(内線5829)
- 対象
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- 運輸省職員
- 館長が許可した者
- 一般の方(運輸省図書館利用案内はこちら)
- レファレンスサービス
- 口頭あるいは電話で、所蔵調査・所蔵機関調査・文献紹介・利用案内について回答します
- 主な刊行物
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- 運輸省図書館新着書ニュース(毎月)
日誌(平成11年11月〜12月)
| 11月1日 | 平成11年度第2回中央館・支部図書館協議会
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| 11月5日 | 行政・司法各支部図書館職員特別研修「情報公開法について」(総務庁行政管理局情報公開法施行準備室 副管理官 山田幸夫講師) 49名出席 |
| 11月22日 | 平成11年度国立国会図書館長と行政・司法各支部図書館長との懇談会・懇親会 <報告>
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| 11月30日 | 平成11年度(第47回)運輸関係図書館連絡会 |
| 12月17日 | 支部図書館における電子化事業等のデモンストレーション
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