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びぶろす-Biblos

78号(平成30年1月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412

05. 平成29年度専門図書館協議会全国研究集会第1・第6分科会に参加して

支部総務省統計図書館 関口 光章

1.はじめに

平成29年6月29・30日に機械振興会館で開催された「専門図書館協議会全国研究集会」で筆者が参加した分科会について報告いたします。

2.第1分科会「学びと共創の空間としてのライブラリー」(2機関による報告)

両講師の所属機関は、それぞれ施設内に図書館を付設し、設置機関の関係者、特定のテーマに関心を持つ施設利用者等に対して資料提供、サービスを行っています。

まずは、株式会社ワコール総合企画室広報・宣伝部の杉本豪之氏より「美的好奇心をあそぶ、みらいの学び場~ワコールスタディホール京都~」という演題でお話を伺いました。

ワコールでは、昨年10月6日に「美」をテーマにした「ワコールスタディホール京都」をワコール新京都ビルの1階と2階にオープンしました。

ミッションとしては2つあり、1つ目はこれまで培ってきたノウハウやネットワークを生かして新たなサービスを提供することにより企業ブランドの価値向上に貢献すること、2つ目は広報宣伝の役割、PRの拠点として、生活者との新たな接点を創るということです。

ライブラリー・コワーキングスペースの選書には、ブックディレクターの幅允孝氏を起用して、美に関する書籍を世界中から収集しています。現在3,500冊の蔵書数があり、将来的には7,000冊程度に増やし、オンライン検索もできるようにしたいとのことでした。

書籍は11のライフスタイルに沿ったテーマごとの本棚に開架し、本棚の中には小さな展示スペースを設け、これを「本の箱庭」と名付けました。大きな本棚の中に、小さな本の展覧会が開かれているイメージで、利用者の興味関心を引く環境づくりを行っているとのことでした。

次にパナソニック株式会社全社CTO室共通技術サポート部の青山昇一、朝倉和子両氏から「イノベーションを生み出す新たな場作りへのチャレンジ」と題した発表がありました。

パナソニックが2016年4月に開設した本社研究部門構内のWonder LAB OSAKA(WLO)という共創スペースの中にあるライブラリでは約54,000冊の資料を所蔵しています。所蔵状況はシステム管理し、社内HPで情報共有を行い、所内利用者には自席からメールによる依頼で蔵書を届けるといったサービスを行っています。

また、カウンターには人員を配置せず、利用者からの呼び出しはタブレットで対応するという新しい方法を取り入れています。その他、利用実績を把握するため、来館者に来館目的別のカラーボールを透明のボックスに入れてもらったり、カラービット(自動認識技術)によって配架されている雑誌がどのくらい利用されたかなどの記録がとれるツールを設置するなどの工夫をしています。

両機関の話を拝聴して、今や来館者に対して受け身でサービスする時代は過ぎつつあり、これからは図書館側から積極的にサービスしていく変革期に入ったのではないかと感じました。また、そうすることによって、ニーズを把握し、それを満たすためのサービスが生まれてゆき、今後の図書館サービスのあるべき理想の姿が見えてくるようになるのではないかと思いました。

3.第6分科会「これからの図書館員~人、コミュニケーションをキーワードとして」(2名の講師による報告)

日本科学未来館科学コミュニケーターの志水正敏氏による「図書館に期待される『人をつなぐ』役割~科学コミュニケーションの視点から」という話を伺いました。

第6分科会の様子

図書館には、「教育活動等の機会を提供」、及び「学校、博物館等と緊密に連絡し、協力すること」という役割があります(図書館法第3条第八項及び第九項)。このことから「連携」・さらに発展して「つながりをつくる」ことを中心にお話しいただきました。

「連携」ということについては、他所・他分野と「連携」し、自分のところだけではできない分野に別の要素を掛け合わせることにより、自館の新たな魅力を発揮し、新しい価値を提供できるようになるというメリットが生じるとのことでした。

また、「つながりをつくる」ということを中心に考えると、来館者をパートナーととらえて対話を行うという話や、専門的な知識を求める人たちが集まる「場」「機会」を提供することにより、新たに発見できることがあるなど、ご自身の"科学コミュニケーター"というご経験を基に、「図書館は人と人をつなぐ『場』でもある」という新しい切り口で大変興味深い話でした。

最後に、「信用される職員から、信頼されるパートナーへ~コミュニケーションこそライブラリアンの真骨頂!」という演題で関西学院大学図書館の井上昌彦氏からコミュニケーションの重要性を中心に話がありました。

図書館員はその分野の知識や自信をしっかりと持っていることが大前提ですが、その上で相手に信頼されるために、会話力や相手への関心などを高めて前向きに接するのが大事であるとの話でした。

具体的には、図書館の第一印象は、まずは「人」で決まるものであり、カウンターで下を向いているのでなく、顔を見て挨拶をし、ウェルカムである姿勢を見せることで来館者の印象は大きく変わるとの例も挙げていました。

来館者に対し、親身に親切にコミュニケーションをとることによって親しまれる図書館を作っていくことも重要であると再確認することができました。

4.おわりに

本研究集会に参加して他館・他分野の話を拝聴し、これからの図書館運営、また図書館員としてどうしていくべきかその「手がかり」が見えてきた、大変有意義な1日でした。ありがとうございました。

(せきぐち みつあき)

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