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トップ > 刊行物 > びぶろす > 73号(平成28年7月)

びぶろす-Biblos

73号(平成28年7月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
7. 【特集:公文書を探索する】
欧州議会とアーカイブ ―歴史公文書部門を訪問して―

国立国会図書館調査及び立法考査局議会官庁資料課 舟越瑞枝

1.はじめに

2016年3月、筆者は欧州議会事務局調査サービス総局図書館局歴史公文書部門を訪問する機会を得ました。欧州議会は欧州連合(以下、「EU」という。)の機関の一つであり、EU法の立法や各EU機関の活動の監督等、特に重要な役割を担っています。今回訪問した歴史公文書部門と公文書館・図書館両方のサービスを提供する閲覧室は、ルクセンブルク市キルシュベルク地区にある欧州議会事務局内に置かれています。この地区には、欧州司法裁判所や欧州会計検査院、欧州投資銀行などの多くのEU機関が集まっています。

今回は、この歴史公文書部門の主な業務について、(1)歴史公文書の収集・整理・保存、(2)資料の利用提供および研究支援、(3)刊行物やイベント等による情報発信、の3つに分けてご紹介します。

2.歴史公文書の収集・整理・保存

現在、欧州議会では、文書の作成からその保存にいたるまでの一連の文書管理は2012年の理事部決定に基づいて行われています。この理事部決定において「文書(document)」とは、「欧州議会、議員、職員がその任務の中で作成または受け取った、あるいは、欧州議会の活動に関係する、紙、電子形態、音声、画像、または映像で記録されたあらゆるコンテンツ」と定義されます。

歴史公文書部門は、これらの文書のうち、歴史公文書(Historical Archives)、つまり特にその歴史的価値から永久保存すべき文書を収集、管理しています。欧州石炭鉄鋼共同体の共同総会が設置された1952年以降、現在までに収集された文書の数は約500万点以上になります。例えば、総会や委員会の議事録(Minutes)や速記録(Verbatim Reports of Proceedings)、決議(Resolutions)、委員会報告書(Reports)、質問(Parliamentary Questions)や請願(Petitions)といった議会文書のほか、議長や理事部などの意思決定機関が作成した文書や公簡、議員個人の私文書なども収集しています。

文書管理の流れの概略は、まず、欧州議会内のどの部局も、所管文書の保存期限が近づくと、歴史公文書として保存すべき文書を選別し、それらを歴史公文書部門に移管します。歴史公文書部門では、歴史公文書を保存し後世に残していくという役割がありますので、移管文書の収集作業や書誌情報入力、インデックス付与などの整理作業が行われます。紙の文書については順次デジタル化され、ARCDOCと呼ばれるデータベースに投入されます。

その後、収集・整理作業を終えた文書の原本は、原則としてイタリアのフィレンツェにある欧州大学院(以下、「EUI」という。)付属の欧州連合歴史公文書館(以下、「HAEU」という。)に移管されます。これは、EUの前身である欧州諸共同体(以下、「EC」という。)とEUIとの間で1984年に締結された、EUIによる歴史公文書の保管及び公開に関する協定に基づくものです。EU機関の歴史公文書の原本は原則として、EUIが保管し公開することが定められています。

2015年、欧州議会の歴史公文書部門では75,000点以上の電子ファイル及び350メートル分以上の紙ファイルの収集・整理作業を行い、このうち206メートル分の紙ファイルをHAEUに移送したとのことでした。

3.資料の利用提供および研究支援

歴史公文書部門の重要な役割の一つに、歴史公文書の公開が挙げられます。1983年、ECは、どの機関もそれぞれ歴史公文書館を開設して歴史公文書を広く一般に公開することを定める規則を制定しました。欧州議会では、歴史公文書部門の運営する閲覧室がその役割を担っています。

上述のとおり、文書の原本はHAEUに移管されますが、デジタル化等によって複製された資料の利用提供は可能です。歴史公文書部門ではほとんどの文書をデジタル化しており、閲覧室内の端末に搭載されたデータベース(ARCDOC)を使って文書を検索、閲覧することができます。

また、利用提供を行っているのは文書だけではありません。写真やポスターなどのほか、欧州議会や欧州統合の歴史、議会制度や民主主義といったテーマについて歴史的な視点から書かれた資料、調査の参考となる資料なども含まれます。公文書館としてだけではなく図書館としてこれらの資料を収集、提供することも同部門の役割です。

資料を閲覧、入手したい場合、来館又はメール等での遠隔サービスのいずれの方法も可能です。必要な文書が特定されている場合はそれをメール等でリクエストすると電子メールにコピー資料を添付して送付してもらえますし、特定されていない場合であっても、研究テーマに関連する文書だけでなく、参考となる図書や雑誌記事等の紹介を含むリストを送付してもらうことができ、研究の手掛かりを得ることができます。さらに、研究テーマの範囲が広く大量の文書の検索や閲覧を必要とする利用者には、最長1か月のスタディビジット(訪問調査)を申し込んで閲覧室で専門の職員に直接相談しながら調査することを勧める場合もあるそうです。専門の職員による研究支援を受けられるのは、利用者にとって大きな魅力ではないかと思います。

4.情報発信

歴史公文書部門は、自ら欧州議会や欧州統合の歴史についての調査を行い、その内容をまとめた刊行物を発行しています。また、それらをテーマとするウェブサイトのコンテンツを充実させ、展示やイベントの企画なども行うなど、積極的に情報発信をしています。例えばウェブサイト上のコンテンツ「Oral History Project」では、元欧州議会議長にインタビューを行い、その経歴や活動に関連する文書を一緒に紹介しています。「100 Books on Europe to Remember」は、欧州統合の歴史に関する学術的な著作を集めたプロジェクトで、ウェブサイトでの資料紹介だけでなく、閲覧室で実物の常設展示も行われていました。

5.終わりに

今回の訪問時、この閲覧室は、スタッフの方々の対応もとても親身で、フレンドリーな雰囲気で居心地の良かったことが印象的でした。欧州議会の歴史公文書部門が提供している資料・情報は、ウェブサイトや刊行物、メールによる照会など、様々な方法でアクセスすることができます。この記事が欧州議会への関心につながるきっかけになれば幸いです。

(ふなこし みづえ)

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