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トップ > 刊行物 > びぶろす > 73号(平成28年7月)

びぶろす-Biblos

73号(平成28年7月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
6. 【特集:公文書を探索する】
近現代政治史を映す憲政資料

国立国会図書館利用者サービス部政治史料課 鈴木宏宗

1.憲政資料とは何か

国立国会図書館憲政資料室は、憲政資料、日本占領関係資料、日系移民関係資料を所蔵する専門資料室1です。

このうち憲政資料は、幕末以降の近現代の政治家、官僚、軍人等の個人文書(手紙、日記、書類等)です。旧蔵者ごとに整理し、例えば伊藤博文の所蔵していた文書であれば、伊藤博文関係文書として公開します。現在、憲政資料は旧蔵者単位で約500文書、資料点数では約37万点に上り、国内有数のコレクションとなっています。これらの個人文書の多くは、研究者や関係機関の仲介を経て、遺族から憲政資料室に寄贈されたものです。

旧蔵者別所蔵状況

旧蔵者 代表例 文書数
元老・重臣
伊藤博文、桂太郎
55
政治家 高橋是清、重光葵 160
官僚 松本学、石射猪太郎 127
軍人 阿南惟幾、宇垣一成 63
学者、思想家 中江兆民、津田真道 23
団体 憲政史編纂会 32
その他 熊谷八十三 23

(2015年3月現在)

2.個人文書はなぜ重要か

行政機関等が作成する公文書は、政策決定過程を跡付ける基本的な資料です。しかし、政治史等の研究には個人文書が欠かせません。なぜなら、個人文書は、(1)公文書には現れない政策決定や外交交渉の裏側を解明できる資料であり、(2)自由民権運動家や政策ブレーンであった評論家等、政府の要職になくても政治史に影響を与えた人物の資料が含まれ、また、(3)(公職にあった期間だけが対象となる公文書と異なり、)個人の生涯をカバーし、家庭環境、人脈、思想を含め、その人物を内面から深く理解できる資料だからです。

ただし、これらの文書は、くずし字の手紙、日記に挟まれたメモ、書き込みのある書類等、様々な形態で残されており、場合によっては判読すら容易ではありません。憲政資料室は、これらを一点ずつ整理して、調査研究のために公開しています。憲政資料を活用して研究者が挙げた学術的成果は、近現代政治史を始め様々な分野に及び、その一部は研究書、教養書としても刊行されます。このように個人文書は、学術研究の進展に大きく貢献する資料と言えます。

3.憲政資料に垣間見る近現代政治史

政治家の手紙や日記には、当時の様子を垣間見ることができるものがあります。近現代政治史の現場に立ち会い当事者の息遣いまで聞こえてくるような感覚は、個人文書ならではの魅力です。

3.1 閣僚人事の内幕

明治の末、山県閥の流れをくみ、官僚・貴族院・軍部を掌握していた桂太郎と、立憲政友会総裁の西園寺公望が交互に政権を授受する時期がありました(桂園時代)。西園寺から桂に送られた手紙(〔明治38(1905)年〕12月30日・桂太郎関係文書)は、政権をめぐる両者の調整過程を物語ります。

西園寺公望書簡 桂太郎宛 明治38年12月30日
(国立国会図書館デジタルコレクション2より)

桂内閣は同年12月21日に総辞職していました。次期首相の西園寺は、この中で貴族院議員の松岡康毅と、元老山県有朋の養嗣子山県伊三郎とを大臣候補に挙げ、事前に閣僚人事について桂の意向を確認しています。実際に、翌年1月7日に第1次西園寺内閣が成立し、松岡は農商務相に、山県は逓信相に就任しています。

この封筒には住所の記載も無く切手も貼られていません。機密保持のために、郵便を使わずに直接、使者が持参したと考えられます。

3.2 米騒動への対応

大正7(1918)年7月、シベリア出兵を見越した米穀商等の思惑買いから米価が騰貴し、ついには富山県で米騒動が勃発しました。8月に入り、この事件が新聞で一斉に報じられると、騒動は急速に全国に拡大します。当時、寺内正毅内閣の逓信相であった田健治郎の日記(田健治郎関係文書)からは、政府の慌ただしい対応ぶりが見て取れます。

田健治郎日記 大正7年8月13日
(電子展示会「史料に見る日本の近代」より)

田逓信相は、8月12日に、神戸市で起きた米騒動の一報を受けました。緊迫した事態に、翌13日朝には直ちに寺内首相と対処方針を協議し、午後には臨時閣議に臨んでいます。日記には、閣議での発言内容等が独特の漢文で記され、田逓信相が寺内首相を支えて事態の収拾に奔走した様子がうかがえます。

4.魅力を伝える展示会

憲政資料室は、当館HP上のリサーチ・ナビに「憲政資料室の所蔵資料」として資料の目録を公開し、利用方法を案内しています。

また、憲政資料の魅力をわかりやすく伝える取組として、当館の展示会で展示しています。電子展示会「史料に見る日本の近代」には、3.で紹介した手紙や日記のほか、近現代政治史に関する貴重な資料が多数掲載されています。中でも、坂本龍馬の「新政府綱領八策」は人気資料の一つです。

毎年秋には、「あの人の直筆」、「1945-終戦の前後、何を読み、何を記したか」等のテーマで展示会を開催し、原資料が持つ迫力に触れることのできる機会も設けています。

憲政資料室は、資料の公開を通じて、広く憲政資料の価値を伝え、学術研究へ一層貢献したいと考えています。

(すずき ひろむね)

  1. 憲政資料室所蔵資料の概要は、藤田壮介「国立国会図書館憲政資料室のいま」『情報の科学と技術』情報科学技術協会,62(10)2012.10,p.434-439[国立国会図書館請求記号:Z21-144]を参照。
  2. 国立国会図書館デジタルコレクションに、電子展示会で使用した約300点の憲政資料を収載しています。

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