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トップ > 刊行物 > びぶろす > 74号(平成28年10月)

びぶろす-Biblos

74号(平成28年10月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
3. 【特集:専門職への利用ガイダンス】
法科大学院での利用ガイダンス

岡山大学大学院法務研究科 近藤祐子

1.岡山大学大学院法務研究科資料室の概要

岡山大学大学院法務研究科は、法科大学院制度の始まりとともに2004年に設立されました。現在の在学生は全員でも60名に満たない、地方の小規模校です。

そして私が勤めるのが岡山大学大学院法務研究科資料室(以下、「資料室」という。)です。大学の附属図書館とは別に法務研究科が独自に設置した施設で、約1万冊の法律図書、約50種の法律雑誌、13種の判例集などを所蔵しています。

資料室には従来の図書館に限定されない機能があります。例えば、向かいにある院生の自習室は私語厳禁の静かな空間ですが、資料室では友人同士で授業の内容について議論したり勉強を教えあったりしています。教務関係の事務室が少し離れているため、課題の提出・返却を資料室で行うこともあります。資料室に現れた教員には学生が寄ってきて、即席の課外授業が始まることも珍しくありません。また、修了生が仕事上の調べものや教員への相談で大学に来ることも時々あり、資料室が交流の場にもなっています。

2.学生の特性

私達は今年19名(既修16名・未修213名・)の新入生を迎えましたが、新入生の法律やリーガル・リサーチ3に関する知識には、ばらつきがあります。毎年何名かは法学部ではない学部の出身者で、法科大学院で初めて法律を学ぶ「純粋未修者」もいます。法学部出身の学生の大半は演習の授業でコンメンタールや判例評釈を読んだ経験がありますが、習熟度はそれぞれです。司法試験の勉強を何年も続けてきた学生が、受験用のテキストだけを使っていたので判例集などは手に取ったことがないということもありました。

法務研究科の修了生は多くが法律に関する仕事につくため、将来のためにもリーガル・リサーチの知識は必須です。しかし先述のように、知識にばらつきがある、また、司法試験科目ではないリーガル・リサーチについては重要性が理解されにくいという課題があります。

3.2つのガイダンス

そこで解決策として、ガイダンスを、入学時オリエンテーションでの利用案内と、法情報の授業での文献調査とに区別して実施しています。オリエンテーションと授業、それぞれを設計する基準になるのはガイダンスの趣旨・目的です。授業の場合はその内容・カリキュラムから扱う範囲も決まります4

(1)オリエンテーション

新入生に対しては年度初めのオリエンテーション期間に「施設説明」の一環として資料室内で5~10分ほどの利用ガイダンスを行っています。開室時間・利用上のルール・備品の説明などが主な内容です。時間が非常に短いので、重要なことに触れるぐらいしかできません。説明不足を補うために「利用の手引き」という冊子を渡して、不明な点は職員に尋ねてください、と話しています。

今年は、新たな試みとして「法科大学院資料室の使い方」5という資料を作成して資料室内に配置、ウェブ上の在学生用掲示板にも掲載してみました。


「法科大学院資料室の使い方」中の1コマ

(2)法情報の授業

2年前からは新入生(未修者)の必修授業である「法解釈入門」6という授業でも話をしています。「文献」をテーマに、その範囲で検索の仕方など利用方法に関する話も絡めます。持ち時間は30分で、法学文献を内容別・形態別に分類して、それぞれ説明し7、著作権についても話しています。

純粋未修者が少しでもスムーズに法律の勉強に入れるような配慮として、コンメンタールや判例評釈、法学辞典など、法学分野に特徴的な資料について説明し、代表的な本については現物や画像を見せています。

4.工夫していること

2.で述べたように、法情報の授業は学生にとってその重要性が理解しづらい科目です。

そこで、法情報の授業が司法試験や実務にもつながっていることを学生がイメージできるように工夫しています。

例えば、本学ではNDCによって図書を分類していますが、司法試験の出題範囲について、主要ではない分類記号に登録される分野を試験科目ごとに一覧表にしてまとめて配布しています。(本稿末の「司法試験科目のNDC一覧表」を参照のこと。)

また、社会に出て使えるような情報検索技術の習得も意識しています。弁護士は、いわゆる大手事務所に勤務しない限り、利用できる情報リソースの質・量は多くありませんが、そのような環境でもある程度の調べものは自分で行う必要があります。

そのため、授業ではNDC以外の分類方法も説明して、主要な図書館や近くの図書館の分類方法を例示しています8。そのほか、白書・統計など政府のデータや、無料で図書や論文・官報などの検索ができるデータベースの情報を集めて紹介しています。

まだ学生の反応を見ながら話をする余裕はないのですが、工夫の甲斐あってか今年は「次はいつ授業してくれるんですか?」「また話してくださいよ」と声をかけてもらいました。

5.今後へ向けて

これまでのガイダンスはいずれも既定の行事内で行ったものでした。内容・時間ともに不十分な点については、個別の質問に応じることで何とか対応しています。学生が質問に来てくれるのは嬉しいことですが、それはニーズに応じた情報を提供できていないという意味でもあります。利用者の満足度を上げるためにも、今後の課題として新たなガイダンスを企画し実施する必要性を感じています。

皆さんの所属館ではどのようなガイダンスをされていますか。機会があれば教えてください。

(こんどう ゆうこ)

司法試験科目のNDC一覧表

  1. 法科大学院において必要とされる法律学の基礎的な学識を有すると認められる者を法学既修者と言う(専門職大学院設置基準 第25条参照)。
  2. 法学既修者以外の学生が法学未修者となる(同上 第18条参照)。
  3. 「法令、判例、文献を主たる資料とするリサーチ」のこと。いしかわまりこ・藤井康子・村井のり子『リーガル・リサーチ』第5版,日本評論社,2016.4,p.3<国立国会図書館請求記号:A121-L114>
  4. 例えば、授業で分類記号について説明するために、請求記号ラベルの見方や、OPACでの検索条件として請求記号など幾つかの項目があることを述べたりはするが、排架場所やOPACの使い方については詳しく説明しない。
  5. 岡山大学附属図書館OPACでの検索方法、請求記号ラベルの見方など。
  6. 授業の内容は、大学のウェブサイトで公開されているシラバスで確認できる。平成28年度「法解釈入門」第6回部分を担当した。
  7. 内容による分類:法の解釈、法の制定趣旨、判例の解説・評釈、事件の背景、制度の研究など。
    物理的形態による分類:図書、雑誌、電子資料など。
  8. 例えば岡山県立図書館の洋書はDDCなど。

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