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トップ > 刊行物 > びぶろす > 71号(平成28年1月)

びぶろす-Biblos

71号(平成28年1月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
8. 学術の発展を支える -支部日本学術会議図書館-

支部日本学術会議図書館 大森 審士

1.概要

日本学術会議は、科学の向上発達を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とした、我が国の科学者の内外に対する代表機関です1

支部日本学術会議図書館(以下、「当館」といいます。)は、日本学術会議に設置されており、日本学術会議事務局職員のほか、210人の会員と約2,000人の連携会員に主に御利用いただいています。

当館は、日本学術会議という特別の機関に設置されていることもあり、『Nature』や『Science』をはじめとする科学雑誌のほか、人文・社会科学、生命科学、理学・工学など様々な分野の学会の機関誌約160種類(和雑誌約100種類、洋雑誌約60種類)を所蔵しています。


2.学術の価値

日本学術会議における図書館の役割を考えるに当たり、まずは、科学とは何かについて考えてみたいと思います。

「ポアンカレ予想」で有名なポアンカレ2は、ある事物について説明した理論は次々に刷新されていきますが、それらの関連を示唆した理論は他の理論の中にも装いを新たに表れる3ので、「唯一の客観的な実在は事物の間の関連であって、そこから普遍的調和が生まれる」4と考え、事物の関連性を究明する点に科学の価値を見いだしています。

「シュレーディンガーの猫」で有名なシュレーディンガー5は、科学の目的や価値について、科学に特に関心のない者は、その研究成果がもたらす技術や産業の実際的な発展にその価値があると考えがちですが、

  1. 科学は、大学等知識発展の場で進められている他の学問と同じ流れの上にあるとみなされている。
  2. 科学の中には、人間社会に対する実際的な意味合いを明らかにまったく持っていない分野もある。
  3. 科学の急速な進歩を受けた技術や産業の発展によって人類の幸福度が増したという考え方に強い疑問がある。

と反論し、科学の目的や価値は、他のどんな学問分野とも同じで、「我々がどこからやってきて、どこへ行くのか」をできる限り解き明かそうとすることである6と述べています。

ここでは、科学といっても、特に理学について述べられた例を挙げましたが、研究対象の他との関連性を探求し、「我々がどこからやってきて、どこへ行くのか」という命題を解き明かそうと試みることが、総じて学術の価値なのではないかと思います7


3.支部日本学術会議図書館の役割

ところで、科学の歴史を振り返るに、古代ギリシャの知識がそのまま欧州で進展していったわけではなく、古代ギリシャの知識はアラビアにおいて温存・進展され、それを欧州が吸収して新たな科学を形成していったそうです8。やはり、「我々がどこからやってきたのか」を認識することは必要であったし、その上に立ったからこそ新たな科学を形成することができたのだと思います。ニュートンの「私が遠くまで見渡せたのだとしたら、巨人の肩の上に乗っていたからである。」9という言葉に当てはめると、これまでの学術の成果を収集・保存し、それを利用に供することにより、利用者を巨人として支えるのが、当館の使命であると考えています。


4.おわりに

「科学と芸術によってのみ文明は価値がある」10。これは、先に紹介したポアンカレの言葉ですが、単なる技術や産業の発展ではなく、真の意味での科学の向上進展こそが、我が国社会を豊かにするのだと思います。当館は、これからもあらゆる学術の向上進展のため、ひいては、よりよい我が国社会のために、縁の下の力持ちとなって、利用者を支えていきたいと思います。

【開館時間】10:00~17:00

土曜日、日曜日、国民の祝日、年末年始

(12月29日~1月3日)を除く。

※ 一般の方も、事前に御連絡いただければ、学術研究及び調査のため閲覧することができます。)


※本稿において述べた意見等は、すべて筆者の個人的な見解です。



(おおもり ただし)

  1. 日本学術会議法(昭和23年法律第121号)第2条。
  2. Jules-Henri Poincaré(1854-1912年)。フランスの数学者。「ポアンカレ予想」とは、1904年にポアンカレが発した疑問よりなる「単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相である」という仮説。ロシアの数学者Grigory Perelman(1966年- )により解決された。
  3. ポアンカレ(吉田洋一訳)『科学の価値』岩波書店,1977.5,p.281<国立国会図書館請求記号:M22-44>
  4. 同上p.283
  5. Erwin Schrödinger(1887-1961年)。オーストリアの理論物理学者。1933年ノーベル物理学賞受賞。「シュレーディンガーの猫」とは、1935年に量子力学の問題点を提起するために発表された思考実験であり、ラジウムがアルファ粒子を発すると青酸ガスが発生して箱の中の猫が死ぬ実験装置において、仮にアルファ粒子が発生する確率が五分五分だとすると、猫は生死の状態が1:1で重なり合っていなければならなくなるというもの。
  6. エルヴィン・シュレーディンガー(水谷淳訳)『自然とギリシャ人・科学と人間性』筑摩書房2014.7,p.132-136<請求記号:M22-L19>
  7. 事物の存在理由を問うのは哲学であり、「科学を為すのは哲学をするものとしてのわれわれでなければならない。」という考えもある。鷲原知宏「『存在と時間』期の科学論」『科学と技術への問い-ハイデッガー研究会第三論集-』山本英輔ほか編,理想社,2012.7,p.52<請求記号:HD86-J39>
  8. B. C. ヴィッカリー(村主朋英訳)『歴史のなかの科学コミュニケーション』勁草書房,2002.12,p.43-46,及びp.55-66<請求記号:M31-H3>
  9. 1676年、Issac Newton(1642-1727)がRobert Hook(1635-1703)に宛てた書簡に記された「If I have seen further it is by standing on ye sholders of Giants.」で知られる。
  10. 前掲注3、p.288

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