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トップ > 刊行物 > びぶろす > 71号(平成28年1月)

びぶろす-Biblos

71号(平成28年1月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
6. 第101回全国図書館大会東京大会に参加して ~図書館における個人データの適切な扱いとデジタル化資料の長期保存~

支部気象庁図書館 篠原 吉雄

1. はじめに

日本図書館協会主催の標記大会が平成27年10月15日から16日にかけて、「図書館は 地域の広場 生きる力」をテーマとして、東京の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されました。16日の第11分科会(図書館の自由)及び第15分科会(資料保存)の両分科会で興味深かった点を中心に報告させていただきます。

2. 大会初日(全大会、シンポジウム)

大会初日の15日には全体会の後にシンポジウムがあり、公共図書館の活性化の取り組みについての議論が行われました。町の図書館は「ふるさと創生」の政策の中で文化的な拠点としての役割が期待されているようです。

3. 第11分科会(図書館の自由)

第11分科会では、中央大学の宮下准教授より、ビッグデータの活用やマイナンバー制度が進捗する中で、個人情報の取り扱いについての課題と、そのガバナンスを制度化する個人情報保護法についての説明がありました。

図書館は利用者情報としての個人情報を管理しているので、その扱いには注意を払う必要があります。プロファイリング技術の先鋭化により、単に名前を消したとしても容易に個人が特定されてしまい、借りた本等から思想信条などの機微情報1が分かってしまうので管理に気をつける必要があるとのことです。またデータ漏洩にも注意が必要で、図書館システムのログの管理等に注意することが望ましいようです。データ漏えいに対する補償額は個人の基本的な情報(名前、住所、連絡先等)ならば1件数千円程度ですが、数が多いと莫大な額になるので甘く見てはいけないとのことです。

個人情報を利用する目的は組織内の運用改善に限られ、それ以外は対象となる個人の許諾が必要とされています。方法としては、オプトアウト(対象者が特に拒否等表明しない限り、個人情報を利用する)と、オプトイン(対象者から明確に許諾を得ない限り個人情報を利用しない)の2つがありますが、行政機関はオプトインを採用することになっています2。ツタヤが管理する図書館でのT-ポイントカード使用についての問題点がこの視点から指摘されていました。

本来この分科会は、問題視されている類の本を図書館としてどう扱うか検討することに主眼があるようで、筆者の所属する気象庁図書館のような分野が限られている専門図書館の事例に引き合わせて考えるのが難しい部分もありましたが、今回は個人情報保護法と関連してデータの扱いに関する解説を聴くことができたのは幸運だったと感じています。

4. 第15分科会(資料保存)

第15分科会ではデジタルデータの資料保存についての説明がありました。デジタルデータは資料として年毎に割合が増加していますが、その寿命が予想していたよりもかなり短いことにまず衝撃を受けました。紙媒体の資料は扱いに気をつければ100年保たせることはそう難しいことではないようですが、電子化資料については、100年は相当に厳しい壁のようです。媒体自体はしっかりと作成すれば30年位は保存できるようですが、それを読み取るための機器とソフトウェアは努力しても10年位までしか用意できないとのことです。従って媒体変換や読み取り機器の変更を繰り返す必要があり、長い目で見れば保存にかかる経費は紙資料に比べてかなり大きいようです。電子媒体での資料保存について3名の方よりご説明がありました。

国立国会図書館関西館の本田氏より、長期保存の方法として、データの作成から保管、利用を経て破棄までの一連のプロセスとして考えられている「キュレーション」についての紹介がありました。工程としては以下の9つですが適切に実施するにはかなり経費がかかるようです。

1)長期保存を意識してのデータ作成、2)保存対象の選別、3)ビット列の保存、4)適切なメタデータの付与、5)適切な保存用システム等の整備や使用、6)問題の監視、7)問題が生じる前の対策、8)廃棄、9)啓発活動

また、電子化データは長期保存ができないため、マイグレーション(媒体 (データ)の変換)を行う必要があります。この点について東京都立中央図書館の平安名氏より、実行例の紹介がありました。なお、日本の主な図書館でマイグレーションを実際に行っているのは東京都立中央図書館だけのようです。

同館では平成24年度に5~10年経過した光ディスクを点検したところ大半の光ディスクに問題があったため、平成25年度・平成26年度にDVD-R、CD-R、HDDのうち5年以上経過したものについてマイグレーションを行ったとのことです。経費は枚数にもよりますがDVD-R300枚程度を変換して1枚当り2,500円程度とのことです。複製したDVD-Rについては、パリティーエラー検査、時間軸方向での信号波形の揺らぎや乱れ、信号の振幅、半径方向・接線方向の反りについて検査したとのことです。

マイグレーションのポイントは次の3点です。1) 手に入れやすく、多くのユーザーに使われている装置を使用する、2)正常に終了したことを確認する、3)実行と結果を記録する

さらに問題となるのが、保存する媒体そのもので、この点について日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)竹島氏より、光ディスクの構造や書き込みの原理、媒体とドライブなどについてご説明がありました。

私としては、ともすると媒体のみに注目しがちですが、それを書き込むドライブも重要で、しかも媒体との相性があるとのことです。JIIMAは、長期保存に係る認証制度を運用しており、JIIMAが定めた規格に合致する媒体とドライブの組み合わせに対して「JIIMA Certified」と書かれた認証マークの表示を認めています。認証されているメディアとドライブは示されませんでしたが、JIIMAのホームページの「アーカイブ用光ディスク製品認証制度」のページに媒体及びドライブの製品名が掲載されています。

電子媒体資料の長期保存については、国際的に見ても確立された方法は未だに示されていないので、資料を保管している機関としての保存方針を定め、できるところから実施するしかないとのことです。問題点は明白になりましたが、その具体的な対応については今後の課題として検討する必要がありそうです。なお、電子化資料の作成や検査の基準としてJIS Z6017という基準が定められています。

5. 終わりに

大会は昨年と比べてコンパクトになった印象ですが、参考になるお話を多く聞くことができました。来年も東京で開催の予定です。また、大会の概要や分科会の資料は大会ホームページに掲載されています。

(しのはら よしお)

  1. 個人情報保護の観点からは、情報漏えいによって社会的差別を受けうる情報のこと(OECD個人情報保護ガイドライン)。センシティブ情報ともいう。
  2. 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律第4条

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