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トップ > 刊行物 > びぶろす > 71号(平成28年1月)

びぶろす-Biblos

71号(平成28年1月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
5. 【特集:新聞を読む】
イギリスの新聞:その利用方法と特徴

国立国会図書館調査及び立法考査局海外立法情報課 岡久 慶

国立国会図書館調査及び立法考査局海外立法情報課は、国の法律の立法動向、翻訳等の紹介を主な職務としています。その前身は海外の一般情勢の予測調査を行う海外事情課ということもあり、当課では職員それぞれが担当する国の主要紙の最新版を手元に置いています。業務内容の変化に伴い、ツールとしての比重は減っていますが、法律の背景となる社会情勢、その反響等を調べる上で、新聞を使用する機会は少なくありません。

本稿では、イギリス担当である私の経験から新聞及びニュースサイトを通じた情報の集め方、そしてイギリスの新聞の特徴等についてご紹介したいと思います。


前述したように、当課の業務は法律の調査であり、新聞記事に1つ1つ目を通す時間的余裕はありません。そこで役に立つのが、ニュースサイトにおける、その日の新聞のトップ面をリストアップしたページです。私が利用しているのは、Sky Newsの○○(曜日)'s National Newspaper Front PagesとBBC UKにおけるThe Papersです。BBCの方が記述が詳細で、新聞トップの画像を掲載しているため記事の論調等が伝わり易いと思います。

また自分の調べたい題材が分かっている場合は、google.ukを使い、キーワードと検索式site:http://…(新聞ウェブサイトのトップページ)の掛け合わせでサイト内を検索することで、情報を探し出すことができます。


Sky News。赤い囲み部分をクリックすると、当日の各紙の一面を表示する(拡大表示等は不可)。

基本的に新聞記事の閲覧はインターネットで行います。当課ではタイムズ、インディペンデント、ガーディアン(とその日曜版であるオブザーバー)、そしてフィナンシャル・タイムズの最新版を保管していますが、現物よりインターネットの方が記事を探すのが楽で、調査に利用する上でも、タイトルや抜粋を執筆中の原稿にコピーペーストできるウェブページの方が遥かに使いやすいからです。

残念ながらタイムズとフィナンシャル・タイムズに関しては、インターネット記事の前に「有料の壁」が立ち塞がります。フィナンシャル・タイムズに関してはグーグル検索にヒットした流れで記事が分かることもあるので、一度は記事名での検索とアクセスを試すようにしていますが、タイムズは隙がありません。

新聞のウェブサイトで直接閲覧ができない場合はProquest社のデータベースを使いますが、フィナンシャル・タイムズの記事はProquestへの掲載が1か月遅れるので、最新記事が見たいときは現物を閲覧しています。


次にイギリスの新聞について簡単にご紹介します。当課で保管する日刊4紙にテレグラフ、i(インディペンデントの姉妹紙)を加えたものが、「クォリティ・プレス」と呼ばれるお堅い全国紙です。また、クォリティ・プレス以外にも「ポピュラー・プレス」なるセレブ情報、人情話、センセーショナルな話題に重点を置いた新聞のジャンルが存在します。

厳密に言えば、ポピュラー・プレスは「ミッド・マーケット」と「レッド・トップ」に分けることができます。その違いを、大まかに分類すれば、ミッド・マーケットが女性週刊誌、レッド・トップはスポーツ新聞と言えるでしょうか。

イギリスの新聞全般に言えることですが、日刊紙は日曜日には刊行されず、日刊紙の日曜版に当たる姉妹紙が同じ新聞社から出されています。概ねタイトルはサンデー○○(日刊紙のタイトル)となりますが、ガーディアンとその日曜版にあたるオブザーバーのように違うものもあります。いずれにせよウェブサイトは共通なので、インターネット上で閲覧する限りは特に問題ありません。

最後に、政治的志向性が顕著であることもイギリスの新聞の大きな特徴であると言えます。新聞が選挙前に社説で特定政党支持を訴えるのは普通で、読者層の投票傾向もそれに倣う傾向があります。当課で保管している新聞で言えば、タイムズが中道右派、テレグラフが右派で明確な保守党支持、ガーディアン及びオブザーバーが中道左派でリベラル、フィナンシャル・タイムズが中道、経済的リベラルといった傾向がみられます。インディペンデントは市民的自由と市場経済を支持する経済・社会面でリベラル傾向の強い新聞で、政治的には名前の通り不偏不党だったのですが、イラク戦争への反対を始めた辺りから大分左派的色彩を強めているように見えます。

こうした新聞の特徴を維持する上で大きな役割を果たしているのが、各新聞が抱える論説者です。彼らは多くの場合長く特定の新聞社に所属し、政治・社会の問題に対して旗幟を鮮明にした論説を書きます。複数の異なる、それでも大まかな方向性の類似した論説が新聞の空気感を作り、それを居心地が良いと考える読者層を引き寄せる、そんな印象を受けます。

インターネットのお蔭で、私達を取り巻く世界の情報は簡単に手に入ります。しかし新聞の存在は、その情報を個人個人が最初から持っている価値観なりとすり合わせるのに重要なのかもしれません。「イギリス人の家は城」という諺がありますが、「イギリス人の新聞は世界を覗く窓」というのが私なりの所見です。

(おかひさ けい)

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