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トップ > 刊行物 > びぶろす > 70号(平成27年10月)

びぶろす-Biblos

70号(平成27年10月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
4. 【特集:地図を読む】
海図について ~安全な航海のための必須アイテム~

海上保安庁海洋情報部航海情報課

はじめに

海上保安庁では、船舶の安全航海に欠かすことのできない海図を約800図ほど刊行しており、毎年その1割程度について、情報を更新するため新しく作り直し(改版)、国立国会図書館にも納本しています。本稿では、海図(主に航海用海図 1 )の通常の地図とは異なる面を中心に紹介したいと思います。


図1:海図の例(名古屋港)

1. 海図とは

海図とは、船舶が安全かつ能率的に航海するために特別に作成された海の地図(主題図 2 )で、航海計画の策定や航海中の針路決定に必要なさまざまな情報、例えば座礁の危険性を把握するための水深、暗礁、沈船などの情報や、岬や灯台などの航行上の目標物の情報等が記載されています。

【参考】海図記号の例

2. 海図をめぐる国際的枠組み

海は世界とつながっており、日本から世界に、世界から日本に多くの船舶が往来しています。そのため、これらの船舶の安全航海に必要不可欠な海図は、国際的な枠組みの中で、その公的な位置づけや作製基準などが決められています。

陸上とは異なり海上では、船舶から海面下の状況は把握できず、また航路線や領海線などが海上に引かれているわけではないため、船舶が安全に航海するためには、それらの情報が記載された最新かつ正しい海図を使用することが必須です。そのため、海上人命安全条約(SOLAS)は、船舶に海図を搭載することを義務づけています。さらに搭載する海図は、政府機関等によって公式に刊行されたものであり、かつ最新の情報に維持されていることが要求されています。

また海図は、世界の色々な国の船舶で使用されることから、航海者の混乱を避けるため、「国際水路機関(IHO)」と呼ばれる国際機関によって記載内容や記載方法が策定されており、国際的な統一が図られています。このため、航海者は、どの国が刊行した海図であってもその記載内容を正しく理解することができるようになっています。

3. 海図と国家の領域

四方を海に囲まれる我が国は、国家領域を規定する限界線が、すなわち領海の限界線となります。国連海洋法条約(UNCLOS)によって、沿岸国は、基線から12海里 3 までの領海を設定する権利を有していますが、この通常の基線 4 は、沿岸国が公認する海図 5 に記載されている海岸の低潮線と規定されています。つまり海図は、安全航海だけでなく、我が国の国家領域を規定するという重要な意義も有しています。


図2:水深・高さの基準面一覧図

なお「低潮線」とは、潮汐によって上下に変動する海面において、最も低い海面(最低水面)になったときの陸地と海面の境界となる線のことです。


図3:低潮線

4. 海図の最新情報の維持

陸上の地図の場合、最新の情報が必要になればその地図を買い換えることになります。一方、航海の安全に直結する海図は、港湾工事による港の形状変化等によって、その内容を頻繁に更新する必要がありますが、更新の度に新しい海図を刊行し、利用者がそれを買い換えるのは合理的ではありません。そこで海図の世界では、航海安全の確保に必須ではあるもののその更新情報が少ない場合には、利用者自らが海図を訂正(小改正)するという方法を採用しています。小改正には、色ペン等を使い手書きで訂正を行う「手記訂正」と、海図の一部分だけが印刷された修正後の図を海図の上から糊付けする「補正図」の2つの方法があります。


図4:手記訂正の例


図5:補正図の例


図6:水路通報と小改正通報

なお、小改正に必要な情報は、「水路通報」として海上保安庁から毎週発行されています。水路通報は海上保安庁のホームページで入手できます。

水路通報による海図の最新情報の維持は、日本だけが採用している方法ではなく、国際的に標準化された方法です。したがって、各国の海図を何枚も保有している外航船舶の場合、各国の水路通報を取り寄せて、全ての保有海図を最新情報に維持する必要がありますが、航海しながらの維持は大きな負担となっています。そのため世界の大きな港では、船が保有する海図とその最新情報の維持状況をデータベースで管理して、入港のたびに海図の最新維持を行う民間サービスが存在しています。

なお、海底火山の噴火や漂流船舶の発生など、船舶の航行に支障となる緊急の情報提供については、水路通報では間に合わないため、国際的な枠組みで決められた「航行警報」という方法によって、航行中の船舶に無線等で通知しています。

このように、海図の最新情報の維持は航海の安全確保にあたって非常に重要であることから、陸上の地図ではあまり見られない特殊な方法で体系的に対応しています。

おわりに

簡単ではありますが、海図の特殊な側面について紹介しました。少しでも海図に興味を持っていただけると幸いです。

海上保安庁では、今後も船舶の安全航海のため、海を測量し海図を刊行すると共に、最新維持のための情報を提供してまいります。

(こうかいじょうほうか)

  1. 航海用海図には紙海図と電子海図があります(本稿は紙海図の説明です)
  2. 主題図とは利用目的に応じてある特定の主題を表現した地図のこと。例えば、「潮流図」「地質図」「都市計画図」などがこれにあたる。
  3. 1海里は1852メートル。12海里は約22キロメートル。
  4. 「通常の基線」の他に、「直線基線」「群島基線」などがある。
  5. 日本の場合、領海及び接続水域に関する法律施行令(昭和52年政令第210号)によって、海上保安庁が刊行する海図と規定されている。

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