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びぶろす-Biblos

67号(平成27年1月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412

1. 【特集:著作権(基礎編)】
平成20年代の著作権法の改正と図書館

黒澤 節男※

はじめに

2010年11月にも『びぶろす』への紹介の機会をいただきましたが、今回は著作権特集ということで、当センター資料室の、主に蔵書の内容について紹介させていただきます。


図1. 著作権情報センター資料室

1. CRICの活動と資料室の役割

著作権情報センター(以下「CRIC」)の歴史は古く、1959(昭和34)年に、日本音楽著作権協会、日本放送協会、日本民間放送連盟、日本レコード協会の4団体によって、「著作権資料研究所」として発足しました。

発足当時の主な業務はこれら4団体が著作権実務を行うにあたって必要とする共通の資料、とりわけ音楽の情報資料を収集し、活用することでした。CRICは1992年に「著作権情報センター」に改称し、現在に至っておりますが、資料室の開設は比較的遅く、それから5年後の1997年に事務所を東京オペラシティタワーに移転したときからとなります。

CRIC発足のきっかけが、著作権関係の資料収集・管理だったことから、一般の閲覧に供する資料室の開設は関係者の悲願だったと言えるでしょう。この目的で開設された当資料室は、当初から著作権・著作隣接権および知的財産権に関する国内外の文献・資料・論文等を収集し、一般に公開しています。

2013年1月の事務所移転に伴い、資料室は新宿区北新宿の「新宿フロントタワー」に移転しました。

2. 蔵書の内容について

蔵書構築にあたっては、著作権制度の研究者による図書選定委員会を定期的に開催し、その推薦と合議によって収集する図書等を選定しています。2014年11月現在の蔵書数は約33,000冊であり、著作権制度に関する国内外の図書資料の収集・整備に関しては、日本で最も整った施設の一つであるとの評価を得ています。

1999年11月からは、CRICホームページに資料室のページを設置し、開室状況や蔵書の確認などができるようにしています。

洋書は、シリーズ図書や雑誌を特に豊富に取り揃えています。例えばドイツでの著作権論文集UFITA(Archiv für Urheber und Medienrecht) 1 を所蔵している施設は、日本では当資料室のみのようですし、ドイツの判例集雑誌ZUM(Zeitschrift fur Urheber-und Medienrecht)を1957年の創刊号から所蔵しているほか、同じくドイツの知的財産権の雑誌Zeitschrift für Geistiges Eigentumや、フランスの知的財産権の雑誌であるPropriétés intellectuelles、LEGIPRESSEなども所蔵しています。また、加除式の洋書についてもNimmer on Copyright(米国著作権法に関する論文集:英語)、Proprié Litélittéraire et artistique: Juris-Classeur6(著作権・知的財産権:フランス語)など基本資料を揃えています。なお、ドイツ語の資料が多いのは、ドイツは特に著作権の先進国で、発行物も多くなっているためです。


図2. 資料室の書架

和書では、著作権法学会の「著作権研究」北海道大学グローバルCOEプログラムの「知的財産法政策学研究」など学会や大学などの紀要が多数寄贈されており、2005年度からこれらとは別に、紀要や法律雑誌、論文集等に掲載された著作権・知的財産権等に関する論文抜刷の収集も積極的に行っています。

これら論文の情報は、国立国会図書館の蔵書検索や「法律判例文献情報」などの雑誌から得ています。これらから得た情報をもとに執筆者に連絡して、寄贈または国立国会図書館の複写サービスでの複写の許諾をお願いして 2 収集しています。

現在の論文の蔵書数は680編余となっており、これらの論文についても書籍や雑誌と同様にホームページから蔵書状況を検索することができます。

このほかに一般の図書館等には見られない特徴として、著作権関係団体などから寄贈された機関誌の充実があります。これら機関誌の中には、ほかでは見ることができない実務に関する貴重な情報や思わぬ論考などが多く含まれており、著作権に携わる実務者や研究者にとっても貴重な情報源となっています。

また、蔵書の中には、著作権研究者や著作権関係機関から寄贈された貴重な資料が少なくありません。例えば、著名な研究者である野村義男氏からはイギリス法令・法案、国内の著作権草創期の論文や資料を、文化庁からは文化審議会著作権分科会答申・報告書の資料や法案コンメンタールなど日本の著作権法制度を確立していく過程の検討資料等を寄贈していただいています。

3. 資料室の利用方法について

当資料室は、年末年始やCRICの夏季休業期間、蔵書点検時などの特別な時期を除き、CRICが業務を行っている平日の午前10時から午後5時(正午から午後1時を除く)の間どなたでも無料で利用できます。資料の貸出サービスは行っていませんが、来室いただければ貴重書であっても閲覧が可能です。

資料室内には閲覧スペースを設けており、蔵書検索用のPCを設置しています。

おわりに

「一億総クリエーター時代」が到来し、今や著作権制度は、社会と密接な関わりを持つとともに、常に意識していくことが必要不可欠なものとなっています。そのような時代において、「著作権思想の普及」と「著作権制度の改善と研究を通じての著作権保護」を図ることにより文化の発展に寄与するという当センターの目的を果たすべく、私どもは資料室の運営のみならず、情報の提供や調査研究などの活動を推進していきたいと考えています。

多くの皆さんに足を運んでいただき、当資料室が著作権研究の一助になれば幸いです。

(くろさわ せつお)

※著者経歴 黒澤 節男:文部省入省後、文化庁著作権課、広島大学附属図書館事務部長、九州大学大学院芸術工学研究院教授等を歴任。著書に「Q&Aで学ぶ図書館の著作権基礎知識(第3版)」(太田出版)<国立国会図書館請求記号: AZ-615-J103>、「図書館と著作権」(著作権情報センター)等。

  1. 第30条第3号「締約国は、国際法に従い、知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当な又は差別的な障壁とならないことを確保するための全ての適当な措置をとる。」
  2. 収集したウェブサイトは、取集時のオリジナルの状態のまま保存しており、「WARP」で利用できる。また、収集したインターネット上の電子書籍・電子雑誌は、「国立国会図書館デジタルコレクション」で利用することができる。(いずれのサービスも、一部は国立国会図書館内での利用に限る。)
  3. 文化庁長官官房著作権課 解説「著作権法の一部を改正する法律(平成21年改正)について」『コピライト』著作権情報センター発行,585号,2010.1,p21 <Z2-364>
    ※以下同雑誌の発行者、請求記号は省略する。< >は国立国会図書館の請求記号。
  4. 池村聡『著作権法コンメンタール別冊(平成21年改正解説)』勁草書房,2010.5,p22 <AZ-615-J74>
  5. 加戸守行『著作権法逐条講義 六訂新版』著作権情報センター,2013.8,p261 <AZ-615-L22>
  6. 「認められる者」は政令第3条に定められている。
  7. 図書館における著作物の利用に関して協議するために、平成16年(2004年) 5月に設立。権利者側と図書館側との各団体が委員を派遣して構成。
  8. 『障害者サービスと著作権法』日本図書館協会障害者サービス委員会・著作権委員会編,日本図書館協会,2014.9, <UL711-L10>
  9. 文化庁長官官房著作権課 解説「著作権法の一部を改正する法律(平成24年改正)について」『コピライト』618号,2012.10,p16
    今西頼太「平成24年著作権法改正と図書館業務」『びぶろす』国立国会図書館総務部,59号,2013.5
  10. 平成21年6月11日付参議院文教科学委員会附帯決議
  11. 小坂昌「報告/図書館向けデジタル化資料 送信サービスの現況と課題」『コピライト』639号,2014.7,p18
  12. 文化庁長官官房著作権課 解説「著作権法の一部を改正する法律(平成26年改正)について」『コピライト」642号,2014.10,p20
  13. 平成24年改正で別の条文が追加されたことにより、第42条の3から第42条の4に繰り下げられている。
  14. オンライン資料収集制度インターネット資料収集保存事業
  15. 森孝之特別講演録「著作権行政をめぐる最新の動向について」『コピライト』643号,2014.11,p18

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