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トップ > 刊行物 > びぶろす > 65号(平成26年7月)

びぶろす-Biblos

65号(平成26年7月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
2. 【特集 活用される図書館】
組織での図書館の活かし方

一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団 木下 みゆき

1. はじめに:ドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)について

ドーンセンター(当初の正式名称は大阪府立女性総合センター)は大阪府における男女共同参画社会づくりの拠点施設として、1994年11月、長年にわたる府民の要望や綿密な準備段階を経て、大阪市中央区大手前の府所有地に開館した。施設管理・事業運営とも、同年4月に大阪府の100%出資により設立された財団法人大阪府男女協働社会づくり財団(現一般財団法人大阪府男女共同参画推進財団)が受託した。この施設の2階に事業の柱の一つである「情報収集・提供事業」を担う場として、女性情報の専門図書館“情報ライブラリー”があり、当財団が運営している。

ドーンセンターの運営については、開館から10余年は大阪府と当財団との随意契約による事業であったが、その後の状況変化に併せ、本事業の形態等も変化していく。まず、2006年4月、施設管理に指定管理者制度が導入され、NPO法人と共同体を組んだ当財団が指定管理者(5年間)として業務を開始した。同じ時期に施設の多機能化も求められ、府における青少年活動の拠点施設「大阪府立青少年会館」の廃止を補う機能を有するべく、名称を「大阪府立男女共同参画・青少年センター」と変更し、同機能も併合した。

続いて、大阪府行財政改革プログラム(案)により2010年4月、従来の指定出資法人から自立化法人に衣替え(府補助金廃止・府職員引き揚げ・事業の市場化テスト)し、府から情報ライブラリー運営を含めた男女共同参画推進事業(3年間)を受託して事業を開始した。2013年6月より、市場化テスト 1 による事業受託のⅡ期目(5年間)に入っている。以降、大阪府からの受託金縮小の方向性を考慮しつつ、施設及び財団の設置目的に沿った運営や事業展開を継続している。

2. 運営・企画に図書館員としてのスキルを活かす
1)図書館機能を組織の主要柱の一つとして示す

全国に380か所以上ある男女共同参画センターにおいては、ほとんどのところが、「講座・イベント等の事業」「相談事業」「情報収集・提供事業」を三本柱として、様々なプログラムを展開している。ただ、これらが個別に機能していては男女共同参画センターならではの強みとはいえない。私たちは開館当初から、この三つを連携させることを必須として事業を企画及び実施し、また、府の施設として、府内市町村担当者にその意義を伝え続けてきた。その一例として、毎年、配属年数が1年程度の男女共同参画施策担当の行政職員や関係施設の職員を対象として実施している研修プログラムがある。参加者は図書館司書でないことはもちろん、専任の情報事業担当者もほとんどいない。長年、この研修プログラムの一コマの講師を情報ライブラリーの図書館員である筆者が担っている。講義の主な目的は、市民にジェンダー視点の情報を提供することの大切さ、事業担当者として情報を活用することの必要性やノウハウを伝えることの2点である。

平成25年度の参加者からは下記の感想などが寄せられた。このように、ドーンセンター主催事業の講師や運営を図書館員が担うことも、図書館員の専門性を組織内外に戦略的に示す方法の一つであると捉えている。

  • 入所してまだ1か月にも満たない新人だが、ワークショップを含め、全ての内容において勉強になった。
  • 普段ライブラリーを利用する機会が少ないので、体を動かして探すきっかけができて良かった。
  • 実際に講座を企画する時の資料の集め方が参考になった。
  • ドーンセンターでの取組について、具体的な事例を加えての講義と、ワークショップによる体験型の学習ができて良かった。
  • 情報収集の方法を教えてもらったので、今後、テーマを決めて取り組む時に、ネットやドーンセンター情報ライブラリーを活用していけると思う。
2)他部署の仕事を積極的に担う

平成22年4月に大阪府からの補助金がゼロになって以来、組織の存続をかけて大阪府以外の様々な事業にチャレンジしている。例えば、国が男女共同参画の重点施策と位置付けて、その実現や課題解決に向けて実施している複数の事業の事務局の受託などである。全国規模で展開する事業の事務局には膨大な業務量があり、ドーンセンターの事業担当者のみで運営することは不可能である。当然、ライブラリースタッフも主担当及び副担当を含め、様々な立場でこれらの事業を担うことになる。

筆者は、図書館員としてできる仕事は限られた狭い範囲や従来までの思い込みの範囲に押し込めるべきではなく、図書館員の専門性を様々な事業で活かすことができると信じている。図書館という物理的な場のみの仕事にこだわらず、積極的に所属組織の事業を担うことによって、おのずと組織内での図書館員の位置付けも上がるのではないだろうか。現在、私たちのライブラリーはこのような仕事の仕方を楽しめるメンバーの集合体であることも強みの一つである。

3)外部からの講師依頼や委員委嘱に応える

当財団が約20年間にわたってドーンセンター業務を担っている実績により、ライブラリースタッフが他の自治体や男女共同参画センターから講師派遣依頼をいただくことが年に何度もある。また、府内市町村の男女共同参画関連分野審議会委員や、図書館関係の企画協力委員などへの就任依頼も受けている。

大学で非常勤講師を担う場合も含めて、このように外部から講座講師や委員委嘱依頼があった場合、休暇を取って個人的に引き受ける方法もあろう。しかし、当財団では、組織の仕事としてこれらの依頼に応えるかたちを取っている。

このような外部からの評価によっても、組織内において図書館員としての専門性や図書館業務の重要性を再認識してもらうことに繋げられていると考えている。

3. 利用者のニーズと図書館サービス
1)利用者アンケートから見えること

年1回実施している図書館来館者アンケート結果を分析すると、各年度ともに、「男女共同参画関連の専門図書館」としてライブラリーを利用している教員・研究職、公務員、団体職員、会社員の情報相談への満足度については高いことが明らかになる。これに比べて、実は、満足度は決して高くない利用者群もある。当ライブラリーを専門図書館と認識しないでたまたま立ち寄って利用してくださった人や、身近な図書館としての機能を期待しての来館者による回答がこれらに該当すると思われる 2

設置者である大阪府が当ライブラリーを「男女共同参画分野の専門図書館」と位置付けているのであるから、私たちはこの目的に沿った利用をしてくださっている利用者をメインユーザーとし、その方々のニーズに焦点を当てたサービスを展開するべきであると考えている。それによっておのずと他の利用者や潜在的利用者に対しても、私たちが掲げる図書館機能を提示し、新たな利用者を開拓できるのである。

2)情報相談(レファレンスサービス)から見えること

当ライブラリーでは開館当初から、スタッフが利用者の求めに応じて情報探しのサポートをするサービスを「情報相談」と称し、ライブラリー活動の前面に押し出して取り組んできた。

質問者別に分析すると、当ライブラリーにおける情報相談の大きな特徴は、行政・学校関係者による相談件数が約半数を占めていることであるといえる。その内容は、「人材及び学習情報の提供」、「特定テーマの資料案内及び情報」、「ライブラリーの活動や運営に関する情報」が多い。

「人材及び学習情報の提供」の具体的な内容は、講師紹介・人材情報、講座の組み立て方などへのアドバイス、教材・学習情報などで、「特定テーマの資料案内及び情報」の詳細は、該当する資料の紹介、資料リストの作成、資料の代行検索などである。「ライブラリーの活動や運営に関する情報」については、資料の収集方針や方法、資料の整理方法、情報システムやライブラリー活動に関することなどとなっている。

府の施設として、市民に直結した市立の男女共同参画センターとは異なる役割を担うことが求められている。その役割を全うするためには、どのような利用者からいかなる相談が寄せられているかを把握することでも、当ライブラリーの存在意義を明確にすることができると考えているため、今後も情報相談は重要なサービスとして積極的に提供していく。

3)様々な事業との連携によるニーズの開拓

館種の限定なく多くの図書館において、新着図書コーナーとは別途、利用者に多様な資料を活用していただくことを目的として、蔵書をリパッケージしたテーマ別資料展示コーナーが設けられている。当ライブラリーでは、大阪府及び当財団主催の講座やプログラム開催とできるだけ連動させたテーマ展示コーナーの設置を心掛けている。昨年度の展示テーマは下記のとおりである。

平成25年度展示テーマ一覧
テーマ
4月
  • 2012年度貸出ランキング
  • 女性就労支援コーナー *
5月
  • 男女共同参画施策に関わる職員のための研修プログラム *
6月
  • 「男女共同参画週間」関連資料 *
7月
  • シングルマザーの仕事と支援 *
8月
  • よりよい関係をつくるために:交際相手からの暴力防止 *
  • Women Pioneers:女性先駆者たち *
9月
  • 大阪府不妊専門相談センター:妊娠・出産・不妊のいま *
10月
  • 働く女性のココロとカラダ *
  • はなみずきキャリア塾 *
11月
  • 女性に対する暴力をなくす運動 *
  • しごとも子育ても自然体で:資料のなかのイクメンたち *
12月
  • シングルライフは自分らしく:おひとりさまを楽しむ *
1月
  • 大阪出身の女性作家
2月
  • 追悼 小林カツ代さん
  • 女性と子どもの貧困問題 *
  • 災害からの復興と女性たち
3月
  • 宇宙に飛び立つ女性たち *
  • 国際女性デー:女性たちにエール!
  • 石内都コーナー

* 講座・事業関連テーマ


テーマ展示「女性と子どもの貧困問題」


テーマ展示「女性に対する暴力をなくす運動」

この活動は単に展示に終わらない。展示した資料はそのまま貸し出しも行っている。展示した資料の利用状況によって、どのテーマを取り上げた際にどの資料が多く利用されたか、講座などのプログラムにいかに図書館利用を盛り込むことができたかを把握する。

それらを今後の選書や蔵書構築にいかに反映させていくかなど、テーマ別資料展示コーナーの設置は、私たちにより良きサービスへの様々なヒントを提供してくれる。

4. 今後の展開

専門図書館には図書館だけが単独で存在しているところもあるが、当ライブラリーはドーンセンターという総合機能を持った施設の一部ということが大きな特徴の一つである。

他事業との連携についてはライブラリーの存続をかけてこれまで以上に徹底的に進めていきたいと考えている。現在でも例えば、行政・学校関係者向け研修プログラムでは、ライブラリーの資料活用に関する科目を組み込むことで、情報相談によるビジネス支援機能をPRし、ライブラリーの利用を促している。また、各種講座開催時には、関連資料を集めた展示コーナーを設置し(「平成25年度展示テーマ一覧」*参照)、資料をリスト化して参加者に配布することで、講座の受講とライブラリーの情報活用による学習効果のアップを目指している。その他、情報相談事例を分析することでニーズを把握し、大阪府から受託した啓発事業やその他の自主事業の企画に反映させていきたい。

館種を超えた図書館界のネットワークによるサービスPRの機会もおおいに活用していきたい。具体的には、国立国会図書館「レファレンス協同データベース」には初期から登録し、少数ながら特徴的な事例を公開してきた。平成24年度は全国380か所以上ある男女共同参画センター内の情報ライブラリーでは初めて、レファレンス協同データベースへの相談事例の年間登録件数が一定数を超えたことにより、国立国会図書館長から礼状をいただいた。平成25年度も続いての礼状授与があり、スタッフ一同、日頃の情報相談業務遂行の励みとしている。もちろん、これについて、委託者である大阪府や財団内部にPRすることを忘れてはいない。

また、今後も外部事業の受託など組織を維持・発展させる材料として当ライブラリー機能、特に情報相談が担えることを最大限に活かすことを心掛けていきたい。今日、インターネットで情報を収集することが日常生活にも根付いているが、そのようななかでも、女性情報の専門図書館であるライブラリースタッフが繋ぎ手になることによって、様々な状況にある女性たちが次なる一歩を踏み出すことを支援する機会はたくさんあると考えている。

(きのした みゆき)

  1. これまで「官」が担ってきた「公共サービス」について、「官」と「民」が対等な立場で競争入札に参加し、価格・質の両面で最も優れた者が、そのサービスの提供を担っていくこととする制度のこと
  2. アンケートの数値等詳細については、木下みゆき「組織運営に情報ライブラリーを活かす」『専門図書館』261号(2013年9月)pp.46-51を参照されたい。

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