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トップ > 刊行物 > びぶろす > 64号(平成26年4月)

びぶろす-Biblos

64号(平成26年4月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
3. 【特集:危機管理-いざというときのために-】【専門図書館紹介】
防災専門図書館の見学会に参加して~次の災害に備える図書館を目指して~

国立国会図書館調査及び立法考査局国土交通課 福田 健志

はじめに

防災専門図書館は、公益社団法人全国市有物件災害共済会(以下、「共済会」。)が運営する防災分野に特化した図書館です。私たちは、平成25年10月15日に行われた防災専門図書館見学会に参加し、その役割・意義について研修を受けました。

1. 防災専門図書館のあらまし

見学会では、まず共済会及び防災専門図書館の概要についてお話しいただきました。共済会は、昭和24年、地方自治法第263条の2に基づき、全国の各市が共同で設置しました。共済会は設立当初から災害によって市等が保有する公有財産(建物、自動車等)に損害が生じた際に、会員である地方自治体の分担金を原資とした共済金を支給する相互救済事業を行っています。その後、国、地方、一般の人びとの防災意識の向上に資することを目的として、昭和31年に国内外の災害に関する資料(以下、「災害資料」)を収集・整備する防災専門図書館が設置されました。

全国各市の発展と住民の福祉への寄与を目的とする共済会は、地方自治体との結びつきが強く、防災専門図書館の蔵書構成にもそれが表れています。特に力を入れて収集しているのが、地方自治体が作成する地域防災計画1であるとのことでした。多くの地方自治体の現行の計画を収集するだけでなく、過去の計画も保存することによって、計画の変遷を辿ることが可能となっています。

例えば、東日本大震災後には、国が作成する防災基本計画において、津波災害に特化した記述が大幅に加わり、これを受けて各地方自治体でも地域防災計画の見直しが行われました。

このように防災計画の変遷を辿ることができるようにしておくことで、過去にどのような見直しが行われたのか、従来の防災計画に何が足りなかったのかなどを検証し、今後の防災計画に生かすことができます。実際に、地域防災計画の作成のために防災専門図書館を訪れる利用者は多くいるそうです。

2. 災害資料の役割

続いて、災害資料の役割やそれを保存していくことの意義についてお話しいただきました。災害資料を保存していく意義とは、言うまでもなく将来の災害に備えるためですが、それがどのくらい保存されているか、必要な時に利用ができるかということも、同様に重要なことだと思います。

お話の中では、網羅的な保存を目指すにあたっての今後の課題として行政資料の一層の充実ということを挙げておいででした。地方自治体で作成される行政資料について、現在でも地方自治体への依頼等により多くの資料が収集されていますが、それでも収集が行き届かずにアクセスできなくなる資料が多くあるとのことです。例えば、地方自治体が作成した商業ルートに乗ることがない報告書や、会議の配布資料等は、役割を終えた後に処分されてしまうものもあります。資料の内容についても、担当者の異動等を機に問い合わせに応えられる職員がいなくなり、結果として情報が永久に失われてしまうこともあります。

また、最近では行政資料がホームページ上で公表されることが多くなっています。国立国会図書館でも、地方自治体のホームページのアーカイブ化2を行っておりますが、短期間しか公表されない資料等、やはり保存しきれていない資料があると思われます。行政資料に限らず、役割を終えたと思われる資料でも、後世にどのような形で役に立つかはまだ分かりません。

防災専門図書館の方がお話の最後に、90年前の関東大震災の被害記録や、1,144年前の貞観地震の古記録が現代に役立っているように、何百年、何千年後の子孫のために、資料を捨てる前に図書館に声をかけてほしいと仰っていたことがとても印象に残りました。

3. 書庫・閲覧室の見学

続いて、防災専門図書館の書庫・閲覧室を見学させていただきました。防災専門図書館はどなたでも利用可能ですが、図書の貸出しは地方自治体関係者等に限られます。

閲覧室には、災害関係の雑誌が多く並んでおり、その多くは書店や公共図書館ではあまり見かけない専門誌でした。これらの雑誌等一部の資料を除き、資料は普段は閉架式の書庫に保存されています。書庫には図書15万冊が、独自の十進分類法により整理されています。その分類には火災や地震だけでなく公害や戦災も含まれており、防災専門図書館が幅広い災害に対応していることが分かります。


<防災専門図書館独自の分類表>

また、書庫には図書のほか、江戸時代のかわら版も保存されており、数点見学させていただきました。かわら版とは、江戸時代に天変地異や火事など時事性の高いニュースを伝えた情報紙のことです。中には、鮮やかに彩色が施され、火災の様子を生々しく伝えるものもありました。防災専門図書館では、これらのかわら版のデジタル・アーカイブ化を進めており、ホームページ上3で公開しています。

おわりに

東日本大震災後、災害に対する注目度は非常に高まっています。災害から得た様々な教訓を忘れずに、今後の防災対策に生かしていく上で、その記録・情報は非常に高い価値を持っています。後世のために災害資料を保存し、利用できるように整理していくという防災専門図書館の役割の重要性を実感するとともに、同じく図書館で働く者として、その熱意に深い共感を覚えました。

(ふくだ たけし)

  1. 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)に基づき地方自治体が作成する、災害予防・災害応急対策等に関する地方自治体の基本的な計画。作成に際しては、国が作成する防災基本計画に準拠する必要がある。
  2. 「国立国会図書館インターネット資料収集保存事業」<http://warp.da.ndl.go.jp>
  3. 「防災専門図書館所蔵火災・地震関係かわら版」<http://www.city-net.or.jp/htmls/index.html>

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