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トップ > 刊行物 > びぶろす > 66号(平成26年10月)

びぶろす-Biblos

66号(平成26年10月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
5. 【特集:大切な資料を守れ!-資料保存】
国立国会図書館の保存協力活動

国立国会図書館収集書誌部資料保存課 工藤 淳

国立国会図書館(以下、「当館」という。)では、資料保存 1 を担当する部署として、資料保存課を置き、当館の所蔵資料の保存だけでなく、他館との連携協力を進めています。

当館ホームページ(HP)「資料の保存2 を通じて資料保存に関する情報を提供しているほか、図書館員を対象とした研修の実施や資料保存をテーマにしたイベントの開催、国際会議等への参加、外国からの研修生の受け入れといった様々な取組みを通して、国内外の図書館等の資料保存促進のための保存協力活動を行っています。

1. 国内協力
(1)研修

当館では、国内の図書館員等を対象に、「資料保存研修」として、資料保存に関する講義や簡易な補修等の実習を行っています。東京本館や関西館で開催し、各地の図書館員の方が参加されています。「図書館における“利用のための資料保存”その基本的な考え方」の講義を行い、防ぐ技術(予防)・直す手段(手当て)を知ってもらうとともに、専門職員の補修技術を実際に見ながら、作業を体験することで技術の習得を図っています。平成25年度は、破れた本文紙のつくろいと外れた本文紙の貼り付け方、無線綴じ本 3 の直し方、外れた表紙のつなぎ方、簡易帙の作製の実習を行いました。本研修で使用したテキストは当館HP上で公開しています。

また、研修は当館で実施するだけでなく、各図書館等の研修に講師の派遣もしています。事前にいくつかのメニューから希望する研修内容を選んで応募いただき、併せて要望も伺うよう努めています。(H26年度の実施要領

このほか、行政・司法各部門支部図書館職員を対象とした司書業務研修及び特別研修での講義及び実習、国内外の図書館員等を対象としたインターネットを通じた遠隔研修「資料保存の基本的な考え方」を実施しています。


資料保存研修

研修では特別な技術や道具がなくてもできる補修技術とともに、身近で手に入りやすい道具や材料を紹介し、日常業務の中で少しでも取り組んでもらいやすいよう工夫しています。ただ、課題として研修の要望があまりに多く、すべてに応えられていないのが現状です。そのためテキストを公開し、図書館員を含め多くの方に利用してもらえればと考えています。また、テキストについては、各機関において、引き継ぎや情報共有の際にも活用していただけると幸いです。

(2)他機関との連携

資料保存のテーマや実践例について、専門家からの意見聴取や資料保存実務担当者間の意見交換を行うことを目的として、毎年保存フォーラムを開催しています。平成25年度は「持続可能な環境管理-図書館・文書館の資料を中心に-」をテーマに開催しました。図書館や文書館における書庫・収蔵庫の温度湿度管理についての基礎知識や所蔵資料の劣化対策などに関する講演をはじめ、事例報告として図書館、文書館での書庫環境管理について、カビ対策や温湿度管理の様々な取組みの紹介がありました。平成26年度は、資料保存業務の運営や管理をテーマに開催を予定しています。


保存フォーラム

また、資料保存に関する情報共有のため、保存科学の研究者、博物館、美術館、文書館及び図書館の保存業務担当者と情報交換の機会を持つようにしています。

(3)災害対応

最近の活動では、東日本大震災で被災した資料の復旧への協力を行いました。被災した多くの資料はヘドロ等による汚損やカビが発生しており、乾燥させた後ドライクリーニングや消毒用エタノールによる殺菌といった応急処置が必要でした。また、書架から落下したことによる破損も多く見られました。岩手、宮城、福島県の被災地の図書館からの依頼に応じて、資料の補修に関する研修や実際に応急処置作業の支援も行いました。


被災資料の応急処置作業

また、東日本大震災復興支援活動の一環として平成24年10月から平成26年9月まで、岩手県教育委員会からの依頼で、岩手県指定有形文化財「吉田家文書」の修復を行いました。文書は東京本館へ搬送し、長期的な保存に耐える状態にすること、さらに、学術資料として閲覧、展示等の利用が可能な状態に戻すよう努めました。修復作業の様子については、ソーシャルネットワーキングサービス「Facebook」を通じて紹介しました。

なお、問い合わせの多い水ぬれカビへの対応については、当館HPにマニュアルを掲載しています。

2. 国際協力

当館は国際図書館連盟資料保存戦略プログラム(IFLA/PAC)アジア地域センターに指定されています。主にアジア地域での資料保存の促進を目的として、情報提供・普及活動・研修・技術援助などの保存協力活動を進めています。当館HP「資料の保存」の英語版での情報提供、IFLA/PACの刊行物の日本語への翻訳のほか、依頼に応じて相談対応や研修、講師派遣、研修生の受け入れを行っています。例えば、平成25年度にインドネシア農業研究開発庁からの依頼により、インドネシア農業図書館の職員8名を受託研修生として受け入れ、資料保存全般に関する研修や外部図書館の見学を行いました。


インドネシア受託研修

また、IFLA大会やIFLA刊行物を通して日本の状況・取組みについて情報発信しています。平成25年度IFLA大会では、東日本大震災後の文化財防災における協力の進展について報告を行いました。

当館のように「資料保存」を担当する部署や職員がいる図書館は限られているため、研修やフォーラムなどを通し、資料の保存・補修に関する情報を伝えることは重要だと考えます。資料の扱い方や保管の仕方に注意をすることで劣化や破損を予防できることもあります。「利用する」から「永く利用する」ヘ、「壊れた資料」は「直せる資料」と意識を持っていただけたら何よりです。

(くどう じゅん)

  1. 主に紙資料、マイクロ資料を扱う。デジタル資料の保存、デジタル化作業等については、電子情報部、関西館電子図書館課が担当している。
  2. 当館HP トップ > 国立国会図書館について > 資料の保存
  3. ページを糸や針金で綴じるのではなく、接着剤で背を固めて表紙を接合した製本のこと。

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