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トップ > 刊行物 > びぶろす > 66号(平成26年10月)

びぶろす-Biblos

66号(平成26年10月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
4. 【特集:大切な資料を守れ!-資料保存】
保存調査室の業務と今後への課題

宮内庁書陵部図書課保存調査室主任研究官 田代 圭一

1. 保存調査室について

平成24年度より、宮内庁書陵部図書課に保存調査室が新設され、筆者がその任に就くこととなった。書陵部では、古典籍・古文書等を所蔵する図書寮文庫、明治以降の公文書を所蔵する宮内公文書館、国立国会図書館の支部である支部宮内庁図書館の各所蔵品を東・西・南の書庫で管理している 1 。保存調査室の役割については、「書陵部事務分掌細則」第5条では「所蔵資料の保存に係る調査、研究及び対策に関することをつかさどる。」と定められており、書庫内(写真1参照)の環境整備を行う上で日常から図書の状態や修復に関して気を配っている。

この度、「びぶろす」に執筆の機会を与えていただいたので、保存調査室としての業務や今後への課題についてまとめていく 2


写真1

2. 保存調査室における取組

保存調査室の活動にあたり心がけていることは、大きく分けて、①現在置かれている保存環境を熟知し、その中で最も適切な方法を採ること。②常に新しい情報を収集すること。の2点に集約される。

以下、個々について筆者の具体的な取組や見解を述べていく。

(1) 保存環境の管理

保存環境の管理は、限られた設備、環境下にあっては、予防に重点を置くIPM(総合的有害生物管理) 3 の実践が重要なウェートを占める。管理の主な内容は、温湿度管理、虫菌害対策、日常のメンテナンスである。

  • 温湿度管理

    書陵部の書庫は自然換気を行う構造のため、温度の調整ができず、開窓と除湿器を併用した湿度の徹底管理を心がけている。書庫の各階には除湿器を設置し、2本のダクトに書庫の奥まで通じるビニール製の通気筒をつなげ、通気筒には随所に小穴を開けて書庫全体に空気を流している(写真2参照)。これは送風と湿度調整の機能を兼ねており、空気循環により澱みを解消し、カビの発生を抑える役割も果たしている。

    庫内の温度は短期間には急激な変化はないものの(週の変化は最大で約3℃)、四季を通じての温度変化は大きいため(例えば西書庫4階は、冬は7℃まで下がり、夏は35℃に達する)、年間を通じての状況は常に把握しておくことが必須である。また、温湿度の変化から図書を守る木製の保存箱の主な用材は桐・杉・桂である。異なる材質の保存箱の特性をより正確に把握するため、今後、保存箱内外の空気環境の測定も試みたいと考えている。


    写真2:赤丸が通気筒

  • 虫菌害対策

    カビ対策は先に述べた湿度管理に加え、出納時に行う図書の状態確認、職員による日常の点検や曝書作業時の点検が主である。カビが発見された場合は、小規模なものは拭き取り、中規模以上のものは燻蒸を行っている。燻蒸は、現在は職員による薬剤(エキヒュームS)燻蒸だが、薬剤の環境や人体への影響への懸念が高まっていることから、今後の燻蒸方法についても検討中である。また、毎年、書庫内の付着菌検査を行っているが、滅菌スタンプによる採取法を取り入れ、採取は筆者が行っている。害虫検査は、東西書庫各階に10箇所、南書庫に3箇所、庁舎内に19箇所の、合計122箇所に粘着トラップを設置し、毎週金曜日に虫の種類及び個数の確認を行っている。エリアごとに細かく確認することで害虫の侵入や発生といった異変を早期に発見でき、対処面でも効果的と言えよう。将来的にはこうした温湿度データや害虫検査の結果などのデータを有効活用しての対処方法も検討していきたい。

  • 日常のメンテナンス

    書庫に入る際に履くスリッパの拭き取りと、書庫内の床の拭き掃除を定期的に行っている。これはIPMの考えに基づき、図書の劣化要因を減らすために自分達でできることとして行っている。書陵部では前室用のスリッパと書庫用のスリッパを履き分け、書庫入口には粘着マットも設置しているが、書庫内への汚れ等の持ち込みを更に抑えることを目的として定期的な拭き取りを行っているものである。床の拭き掃除は、開閉によって外気と接する扉付近や前室を重点的に行っており、汚れやカビの拭き取りを目的としている。

    その他にも、図書の修復に際しては、修復担当の修補係、保存担当の出納係、調査担当の図書調査室と共に修復方針を検討し、図書の個々の特性に即した修復・保存が行われるよう配慮している 4

(2) 最新情報の収集

各種の保存関係の催しに参加し、最新技術や効果的な技法の習得に努めている。併せて各機関の保存関係者と積極的な情報交換を行って、書陵部の保存業務に生かせる設備や活動の導入を探っていきたいと考えている。

おわりに

筆者は書誌学を専門分野の一つとしているが、保存調査室の業務は図書の保存という書誌学におけるミクロな視点に加え、書庫内環境整備というマクロな視点を養うことが出来、大変有意義であると考えている。今後も適切な保存環境の整備をはじめ、関係部局の連携や職員の保存に対する意識の向上に努めると共に、的確な情報の提供を続けていきたい。

(たしろ けいいち)

  1. 書陵部書庫は、庁舎の東西に地上4階地下1階、庁舎の南側に地上1階の書庫がある。
  2. 書陵部における図書の保存については、図書課出納係による『書陵部紀要第59号』(2008年3月)(国立国会図書館請求記号:Z22-358)の「書陵部における資料の保存管理について」に詳述されている。
  3. 本号「図書館でのIPM(総合的有害生物管理)について」でIPMについて詳細に紹介しているので、参照いただきたい(編集注)。
  4. 拙稿「書陵部所蔵図書の保存と修復」(『書陵部紀要第65号』2014年3月Z22-358)に一例を掲載している。

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