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トップ > 刊行物 > びぶろす > 63号(平成26年1月)

びぶろす-Biblos

63号(平成26年1月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
3. 【特集:見せ方の工夫(展示・資料紹介)】【専門図書館紹介】
資料の特色を活かした展示を目指して

石川武美記念図書館 小髙 英夫

はじめに

 一般財団法人石川武美記念図書館(旧財団法人石川文化事業財団お茶の水図書館)は、主婦の友社の創業者・石川武美いしかわ・たけよしによって、1947(昭和22)年に設立されました。現在は、近現代の日本の女性雑誌を所蔵する「近代女性雑誌ライブラリー」部門と、成簣堂せいきどう文庫1竹柏園ちくはくえん2 ・武藤本3 を有する「成簣堂文庫」部門の2部門から成っています。いずれの部門も、調査を目的とする研究者を対象に、所蔵資料を閲覧・利用に供しています。また、所蔵資料をテーマとする講演会や各種セミナー、展覧会等を開催し、研究者のみならず、一般の方々にもご参加いただける文化催事を開催しています。
 本稿では、当館がこれまでに開催してきた展覧会のテーマ、企画から開催までのプロセス、そして展覧会の際に、資料保存対策の一環として行なっているさまざまな工夫を紹介いたします。

1. これまでの展覧会

 当館では、成簣堂文庫の古典籍・古文書に加えて、雑誌『主婦の友』の表紙絵・口絵・挿絵の原画や原稿類を多数所蔵しています。これらの資料を活用し、当館の文化事業として、以下のような展示会を開催してきました。

  • 成簣堂文庫の洋書展(平成20年度。拓殖大学政経学部教授・澤田次郎氏による第6回成簣堂文庫セミナー「徳富蘇峰の見たイギリス」の併設展として開催)
  • 竹柏園本の萬葉集の諸本とその解説書展
    (平成22年度。京都大学文学部教授・大谷雅夫氏による講演会「萬葉集うひまなび」と同時開催)
  • 「母と見た『主婦の友』さし絵・童画展」
    (平成23年度)
  • 「昭和の暮らしのメッセージ:『主婦の友』の口絵原画展」(平成24年度)

 前半のふたつの展覧会では古典籍を、後半のふたつの展覧会では、大正から昭和30年代までの『主婦の友』に掲載された表紙絵・挿絵・口絵の原画を初公開しました。

2. 企画から開催まで

 この項では、今年(2014年)2月に開催予定の展覧会を例に、その準備の過程を紹介いたします。通常はまず、展示開催の約半年前に、10名の図書館スタッフから5~6名の展示担当者を決め、以下を開始します。

企画会議
展示は2部門の所蔵資料を対象に検討します。今回の展覧会テーマは「平成によみがえる萬葉絵歌留多えかるたの世界」です。 この絵歌留多は、雑誌『主婦之友』の読者及び識者が萬葉集から選んだ100首に、著名な日本画家5名4 が絵を添えて、関東大震災復興記念として1927(昭和2)年に刊行されたものです。
作品選びと展示方法の検討
絵歌留多の原画は9 cm×6 cm。展示作品としては小さいサイズですので、何をどのように展示するかが課題となりました。検討会議には展示パネル等の試作品を2~3案、用意しました。作品を保護しつつ、来場者が小さな原画に近づいて鑑賞できるように、アクリル板でカバーした簡易なパネルを作りました。ひとつのパネルに3~4枚の原画を配置し、原画そのものの魅力を活かすために、周辺の文字情報を極力少なくすることにしました。また、5名の画家によるさまざまな表現を観てもらう絵画展として、全100点を初公開することにしました。
約1か月をかけて、こうした基本的な方針や方法を固めた後は、以下の作業を担当者が分担し、並行して進めていきます。
周辺課題の解決
記念グッズ(作品を印刷したクリア・ホルダー)の作製、広報活動(チラシ作成、新聞紙上での案内を依頼、関係機関へ案内状の送付)、記念グッズ・チラシ作成に伴う著作権処理を行ないます。
展示リスト・解説の作成
来場者への配布資料として展示リストや展示解説のキャプションを作成します。
会場レイアウトの検討
ここ数年は、図書館の閲覧室や会議室を会場に選び、既存の書架や什器を活用しながら、レイアウトを考えています。その際、作品をより身近にご覧いただくために、展示ケースの使用は控えるようにしています。
各作品の展示サポート作製
限られた展示スペースを有効に使うと同時に、各作品のために展示サポート(厚紙ボード製の支持台)を用意するなど、展示方法を工夫します。また、絵画や挿絵の場合、作品の保護にためにマット加工(厚紙ボードによる枠作り)を施し、展覧会後は、そのまま保存します。これらの展示サポートなども館内で担当者が作ります。その具体例は次項で紹介いたします。
会場の設営と撤収
これらの作業は担当者の指示のもとで、図書館職員が全員で行ないます。
3. 資料保存対策の一環としての展示の工夫

 当館では1980年代後半から、資料保存対策の一環として、利用が多い資料・利用されることが前もってわかっている資料から保存箱に入れる、という手当を講じています。
 資料にとって展示とは、普段と違う環境に、長時間、慣れない不自然な姿で利用されることである、と言えます。このため当館では、各作品に展示サポートを作製し、資料への負担を軽くする、展示会場内の温湿度管理に留意する、といった対策を施しています。以下は、過去の展覧会の実例です。


イ.本の背に負担をかけないための展示サポート(無理に開かない。)


ロ.1冊の本の2か所を見せる工夫(和本の袋綴じの丁に薄い台紙を挟み込む。)


ハ.傷んだ本を無理に開かずに口絵を見せるための展示サポート


ニ.限られたスペースで、長い折込み資料の要所要所を見せるための、筒状の展示サポート

おわりに

 当館が開催する展覧会は、その企画から開催・撤収に至るまで、すべて図書館スタッフが行なう、手作りのイベントです。
 展覧会のテーマがひらめいたり、企画を立てたりするためには、スタッフが常日頃から、閲覧業務や調査整理、資料保存対策などを通して、自館資料と向き合い、それらへの理解を深め、知識を養うことが大事だと思います。
 通常は個々の研究者へ閲覧という形で提供している資料を、展覧会という形でより多くの方々にご覧いただくために、個々の資料をどのように展示すればよいかを、研究することが大切であると考えています。
 先に紹介しましたように、当館では今年も展覧会を開催いたします。「平成によみがえる萬葉絵歌留多(えかるた)の世界」の展示期間は2014(平成26)年2月11日(火)~16日(日)、10時~17時、会場は図書館9階。入場は無料です。
 担当職員が展示方法などの御相談に応じることも可能ですので、展示作品にご興味のあるかたはもちろん、展示方法にご関心をお持ちのかたも、ぜひ、ご来館いただきたいと存じます。


(配布チラシ)

(おだか ひでお)

  1. 徳富蘇峰から昭和15年に一括購入した文庫。蘇峰が収集した古典籍・古文書の総数は約10万冊に及ぶ。
  2. 国学者である佐佐木信綱の旧蔵書から昭和19年に購入した万葉集関係の蔵書約2,000冊(660タイトル)のこと。
  3. 国文学者である武藤元信の旧蔵書から昭和19年に寄贈を受けた約2,000冊(800タイトル)の国書のこと。
  4. 小林古径、野田九浦、平福百穂、前田青邨、安田靫彦。

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