びぶろす-Biblos
61号(平成25年8月)
4. 【特集:統計と図書館】
統計の調べ方―e-Statを使ったレファレンス事例―
国立国会図書館利用者サービス部科学技術・経済課
鈴木 麻央
はじめに
国立国会図書館の科学技術・経済情報室では、日々、統計データを活用したレファレンス回答を行っている。統計書・データベースには様々なものがあるが、本稿では、特によく利用するe-Statを用いたレファレンス事例を紹介する。
1. e-Statとは
e-Stat(政府統計の総合窓口)は政府統計のポータルサイトである(図1)。総務省統計局が中心となって開発し、現在は独立行政法人統計センターが運用管理している。このサイトでは、各府省等が公表している統計データ、調査票項目情報、統計分類等の各種統計関係情報を提供している。

図1.e-Statトップページ
2. e-Statの特徴
統計情報を調べる際は、全体的な情報を扱った資料(『日本統計年鑑』などの総合統計書)にまず当たるのが基本だが、総合統計書で目的の情報を見つけられなかった場合や個別具体的な情報を探す場合はe-Statが便利である。e-Statの「統計データを探す」>「キーワードで探す(検索オプション)」>「検索条件を指定して探す」では、統計表内の全文字列を対象に検索できるため、どんな統計資料を見ればよいかを探すことができる。また、調査年月、統計分野、作成機関等の条件を指定して検索をすることも可能である。
3. レファレンス事例
○「自動販売機に関する統計にはどんなものがあるか?」
特定のデータではなく、統計表の種類を探したい時は、キーワード検索を使えば「自動販売機」が含まれる統計を洗い出すことができる。e-Statトップページ「キーワード検索」の検索窓(図2)に「自動販売機」と入力し、「検索」をクリックする。検索結果が表示され、e-Statに登録されている統計のうち、「自動販売機」という文字列を含むもの全てが一覧できる。例えば自動販売機の生産量がわかる「経済産業省生産動態統計調査」だけでなく、特許の意匠出願・登録の分類に「自動販売機及び自動サービス器」がある「特許行政年次報告書」や、罪種の欄に「自動販売機ねらい」の項目がある「犯罪統計」等もヒットする。

図2.「キーワード検索」の検索窓
○「平成元年以降の初任給の推移を知りたい。」
「初任給」でキーワード検索する。「検索結果」>「結果一覧」-「賃金構造基本統計調査」をクリックする。平成13年から平成24年まで各年の統計表を見ることもできるが、長期間にわたる推移を見たいので、その上に表示されている「時系列」のリンクを選ぶ。表名「企業規模別新規学卒者の初任給の推移」では昭和51年から平成24年までの、表名「産業別新規学卒者の初任給の推移」では平成元年から平成24年までの新規学卒者の初任給の推移を見ることができる。
○「平成24年の即席めんの生産量は?」
「即席めん」でキーワード検索する。「結果一覧」-「米麦加工食品生産動態等統計調査」を見るが、平成19年以降の統計表がない。より詳しい情報を得るため、同ページの「関連情報」をクリックする。「調査の説明」画面に表示された担当府省のホームページURLから、農林水産省の米麦加工食品生産動態等統計調査のページを開くと、平成22年以降、同調査は食品産業動態調査に移行したことがわかる(図3)。リンクから食品産業動態調査のページを開き、平成24年度食品産業動態調査(年報)の「食品製造統計表」から、平成24年の即席めんの生産量を知ることができる。

図3.「関連情報」から担当府省のホームページへ
4. 統計利用上の留意点
統計には政府統計と民間統計があるが、e-Statは政府統計のポータルサイトという性格上、民間統計は登録されていない。民間統計は政府統計ではカバーできない分野や、細かい項目を調査している場合がある。『統計情報インデックス』1や『ビジネスデータ検索事典 データ&data』2では、どのような統計があるか、民間統計も含めて探すことができる。
統計を利用する際には、調査対象に注意する必要がある。調査項目の分類が必ずしも自分の知りたい対象と一致するとは限らない。
また、調査によって実施される間隔に差があるため、注意しなければならない。特に政府統計の大規模な調査では、網羅性が期待できる一方で調査が行われる間隔が長くなる傾向がある。
おわりに
e-Statの機能のうち、専らキーワードでの検索を紹介してきたが、e-Statには他にも多様な機能があり、統計の種類や読み方を知るための学習資料としても利用できる。
国立国会図書館と国内の参加館のレファレンス事例が蓄積されているレファレンス協同データベースには、「e-Stat」の語を含む事例は150件以上に及ぶ3。もっと事例を見てみたい方は、同データベースを是非参照していただきたい。様々な事例を通して、統計の意外な面白さを発見できるかもしれない。
- 『統計情報インデックス 2008』(総務省統計局)
- 『ビジネスデータ検索事典データ&data』(日本能率協会総合研究所 不定期刊)
- 2013年7月2日現在。

