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びぶろす-Biblos

60号(平成25年5月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
1. 【特集:公開型専門図書館】
公開型専門図書館の現状と課題-各種調査データを中心に-

明治大学文学部
青柳 英治

1. はじめに

 専門図書館は、主題、設置母体、利用対象者などの違いによって、さまざまに分類できる。そのため、その定義を行う際にも、(1) 専門主題中心の定義、(2) 設置母体中心の定義、(3) 利用者中心の定義、(4) その他の判定規準を持つ定義、(5) 複数の基準を持つ定義が可能となる1。また、これらのほか、定義には、範囲と機能を含めるものがある。米国図書館協会(以下、「ALA」という)の図書館情報学辞典では専門図書館を次のように定義している。

 組織の目標を追求する上で、そのメンバーやスタッフの情報要求を満たすため、営利企業、私法人、協会、政府機関あるいは、その他の特殊利益集団、もしくは機関が設立し維持し運営する図書館。コレクションとサービスの範囲は、上部もしくは親組織の関心のある主題に限定される2

 この定義は、次の2点において評価できるとされている。第一に、公共図書館や大学図書館との区分の基準を組織内図書館の役割と機能に見出している点、第二に、専門図書館の専門主題、設置母体などの要素を総合的に取り入れてまとめている点である3
 本稿では、ALAの定義を踏まえ、さらに、専門図書館の公開範囲に着目し、施設を一般公開・限定公開している機関(以下、「公開型の機関」という)を対象とする。具体的には、国、独立行政法人、地方議会、地方自治体、団体、民間企業の6つの機関種に附設された公開型の専門図書館である。本稿では、類似の機関種を括ることによって、国・独立行政法人、地方議会・自治体、団体、民間企業の4機関種として検討する。これらの機関は専門図書館の典型とも捉えられる。本稿の目的は、公開型の機関の状況を把握し、それらにもとづいて今後の課題を明らかにすることである。
 まず、状況把握の方法には、専門図書館協議会が発行する『専門情報機関総覧』(以下、『総覧』という)2012年版に収載された質問紙調査4と、筆者が実施した専門図書館職員の職務内容に関する質問紙調査と聞き取り調査5の結果を用いる。それらをもとに、マネジメントと図書館サービスの状況を明らかにする。マネジメントについては、経営資源の一部である施設とコレクション、スタッフ、予算、運営そして、広報の各状況を取り上げる。図書館サービスについては、資料・情報の収集、組織化、提供の各状況と、そうしたサービスを支える職務の実施状況について取り上げる。次に、明らかにした状況をもとに、上記4つの機関種における公開型専門図書館の今後の課題を述べる。

2. マネジメントの状況

 『総覧』2012年版では、掲載機関1,700機関のうち、公開型の機関は1,507機関(88.6%)である。これらの機関は、設置母体へ資料・情報サービスを提供しながら、一般の利用者へも広くサービスを提供しているため、開かれた図書館であると捉えられる。このうち、本稿で取り上げるのは、国・独立行政法人150機関(26.0%)、地方議会・自治体173機関(30.0%)、団体212機関(36.7%)、民間企業42機関(7.3%)の計577機関である。以下では、577機関を対象にマネジメントの状況を見ていく。なお、各項目では、未記入の機関数を除外して言及する。

2.1 施設とコレクション

 施設とコレクションの規模については、(1)資料・情報部門の面積、(2)図書の所蔵冊数、(3)契約しているデータベース(以下、DBという)の種類を取り上げる。
 (1)については、平均面積は578㎡であり、全体で500㎡以下が344機関(59.6%)を占める。資料・情報のデジタル化や組織内における専門図書館の位置づけなどが関係していると推察される。
 (2)については、平均所蔵冊数は65,681冊であり、全体で10,000冊以下が132機関(22.9%)、10,001冊から30,000冊が170機関(29.5%)を占める。公開型の機関の所蔵冊数は、面積の問題とも相俟って、大学図書館(229,532冊)や公共図書館(124,881冊)の平均所蔵冊数6と比べると少ない。
 (3)については、全体でDBの未契約が171機関(29.6%)ある。契約の多いDBのうち上位は、「日経テレコン」62機関(10.7%)、「Science Direct」58機関(10.1%)、「J DreamⅡ」55機関(9.5%)である(複数回答)。他館種でもニーズのあるDBを契約しているが、その比率は高くない。

2.2 スタッフ

 スタッフの状況については、(4)雇用形態別のスタッフ数、(5)司書有資格者数、(6)研修制度について取り上げる。
 (4)については、雇用形態別の平均スタッフ数は専任が4.4人、兼任が1.8人、常時雇用のパート・アルバイト・人材派遣等が1.9人、一時雇用のパート・アルバイト・人材派遣等が0.7人である。全体で専任スタッフ1人が138機関(23.9%)、0人が127機関(22.0%)と多く、兼任や非正規スタッフの果たす役割が大きいと推察される。
 (5)については、前述の4つの雇用形態を含んだ平均有資格者が1.7人であり、全体で有資格者1人が146機関(25.3%)、0人が133機関(23.1%)を占める。雇用形態別の平均スタッフ数の状況から見て、司書資格の保有率は高いとは言えない。
 (6)については、全体で「研修制度あり」が12機関(2.1%)とごく少数であり、「研修制度なし」が39機関(6.8%)、その他が468機関(81.1%)である(複数回答)。その他の内訳としては、関係する外部セミナーや講習会への参加、自己研鑽への援助などが挙げられる。研修制度が未整備であっても、専門図書館職員は必要に応じて研修へ参加していることがわかる。

2.3 予算

 予算の状況については、(7)年間の資料購入費を取り上げる。全体で50万円未満が136機関(23.6%)と最も多く、100万円以上300万円未満が117機関(20.3%)、50万円以上100万円未満が59機関(10.2%)と続く。半数の機関が年間300万円未満で資料を購入していることがわかる。

2.4 運営

 運営の状況については、(8)外部委託の状況を取り上げる。全体で全面委託が20機関(3.5%)、一部委託が145機関(25.1%)、「外部委託なし」が376機関(65.2%)である。全面委託をしている場合の委託先としては、関連会社・機関が5機関(25.0%)、民間の図書館運営会社が5機関(25.0%)である。一部委託の多い業務のうち上位は、蔵書データ作成35機関(24.1%)、資料の装備34機関(23.4%)、ホームページ作成30機関(20.7%)である(複数回答)。全面委託を導入する機関は少なく、必要に応じて部分的に外部委託を利用している状況が見て取れる。

2.5 広報

 広報の状況については、(9)利用者に対するPR・案内の状況と実施方法を取り上げる。全体でPR・案内を「行っている」が473機関(82.0%)、「行っていない」が91機関(15.8%)である。PRや案内を行っている機関が実施する方法のうち上位は、ホームページ・イントラネットが425機関(89.9%)、パンフレット・チラシが233機関(49.3%)、案内・掲示が230機関(48.6%)である(複数回答)。情報通信技術を活用した方法を中心に据えながら、従来型の方法も併用している状況が読み取れる。ツイッター13機関(2.7%)やブログ7機関(1.5%)など、ソーシャルメディアを活用した機関はごく少数である。

3. 図書館サービスの状況

 図書館サービスについては、まず、前章で取り上げた『総覧』2012年版に掲載された577機関を対象に、資料・情報の収集、組織化、提供の各状況を見ていく。次に、こうしたサービスを支える公開型の機関における職務の実施状況について、2011年度に筆者が実施した調査結果の一部を取り上げる。

3.1 収集

 資料・情報の収集については、(1)重点的に収集している資料を取り上げる。この項目は、あらかじめ設定した24の資料群から複数を選択するものである。全体で研究報告書が147機関(25.5%)と最も多く、行政資料が137機関(23.7%)、統計が117機関(20.3%)と続く。対象とする資料・情報は、主として設置母体の日々の業務に直接、役立つものを収集していると考えられる。

3.2 組織化

 資料・情報の組織化については、(2)資料管理の方法、(3)外部の機械可読目録(以下、MARCという)の利用状況と利用している場合のMARCの種類を取り上げる。
 (2)については、導入している資料の管理方法のうち上位は、既製の図書館システムが175機関(30.3%)、自家製の図書館システムが120機関(20.8%)、エクセルやアクセスなどの市販のアプリケーションソフトが111機関(19.2%)である(複数回答)。既製の図書館システムをカスタマイズして資料を管理する機関(74機関(12.8%))よりも、自家製の図書館システムを導入している機関の方が多い点に特徴を見い出せる。
 (3)については、全体で「利用している」が149機関(25.8%)、「利用していない」が373機関(64.6%)である。外部MARCを利用する機関の上位は、NACSIS-CATが94機関(63.1%)、TRC/MARCが43機関(28.9%)である(複数回答)。図書の所蔵冊数が少なく、後述する相互協力のひとつである蔵書横断検索(70機関(12.1%)、複数回答)が進んでいないためか、外部MARCを利用している機関は少ない。

3.3 提供

 資料・情報の提供については、機関種ごとの状況も含め、外部利用者を対象に、(4)提供するサービスの種類、(5)受益者負担の状況、(6)相互協力の内容を取り上げる。
 (4)については、あらかじめ設定した10のサービス群から複数を選択するものである。全体でレファレンスサービスが303機関(52.5%)と最も多く、受入資料案内が217機関(37.6%)、代行検索が86機関(14.9%)と続く。機関種の内訳をみると、いずれのサービスも「団体」において実施率が最も高い7
 (5)については、サービスの提供にかかった費用の負担(一部負担を含む)を受益者に求めているか尋ねたものである。全体として「負担を求めている」が131機関(22.7%)、「負担を求めていない」が314機関(54.4%)である。負担を求めている機関種の内訳をみると、「国・独立行政法人」(48機関(32.0%))の比率が高い。
 (6)については、あらかじめ設定した7のサービスや職務群から相互協力として自館で行っている項目を複数選択するものである。全体でレファレンスサービスが237機関(41.1%)と最も多く、相互貸借が190機関(32.9%)、複写サービスが172機関(29.8%)と続く。これら3つのサービスや職務について、機関種の内訳をみると、いずれも「国・独立行政法人」の実施率が最も高い8

3.4 職務内容

 前述した各種のサービスを支える公開型の機関における職務の実施状況について、2011年度に筆者が実施した調査結果の一部を取り上げる。調査項目となる職務内容は、公開型の機関も含めた専門図書館を取り巻く実情を踏まえ、枠組みとして、資料・情報の収集、組織化、提供ならびにPR活動・利用者支援を設定した。この枠組みに、専門図書館のサービス活動と職務内容に関する文献調査を通して抽出した22の職務内容を当てはめた。
 表は公開区分が一般公開と限定公開の機関から、4つの機関種(国・独立行政法人、地方議会・自治体、団体、民間企業)を対象に、職務内容ごとに「実施している」または「一部実施している」と回答した機関数(451機関)と比率を示したものである。全体で閲覧サービスが449機関(99.6%)と最も多く、システムで目録作成が409機関(90.7%)、資料の選書が395機関(87.6%)、レファレンス業務が392機関(86.9%)と続く。これらの職務内容は、図書館サービスの基本となる資料の収集・組織化・提供に関わるものである。
 また、レファレンス業務は、前述のように『総覧』2012年版の外部利用者に提供しているサービスと相互協力として自館で行っているサービスにおいても、最も実施率の高い職務であった。一方、独自コンテンツ・DBが159機関(35.3%)、資料の電子化が116機関(25.7%)、レファレンスDB作成が81機関(18.0%)であり、情報通信技術を活用したサービスの実施率は高くない。

表 職務内容の実施状況
職務内容の順位、機関数、比率をまとめた表です。

4. 今後の課題

 本稿では、これまで『総覧』2012年版に収載された質問紙調査と筆者が実施した専門図書館職員の職務内容に関する調査の結果をもとに、4つの機関種を対象として、公開型専門図書館におけるマネジメントと図書館サービスの状況を明らかにした。本稿で取り上げた専門図書館は、公開型の機関であるがゆえに、利用者の増加に努める必要がある。そのための課題として、次の2点の必要性を挙げることができる。
 第一に、利用者に対するPRと利用案内の必要性である。『総覧』2012年版では、利用者に対するPR・案内の方法として、情報通信技術を活用した方法を中心に据えながら、従来型の方法も併用している状況を読み取ることができた。しかしながら、ツイッターやブログなどソーシャルメディアを活用したPRはほとんど行われていない。今後は、こうした双方向によるコミュニケーションが可能なツールを意識的に取り入れていく必要があるだろう。また、こうしたツールを活用したPRのほかに、利用案内の一例として、(1)関係機関などのイベントや講座などでライブラリーツアーを行う、(2)自館が扱う主題を専門とする大学教員等の研究者に働きかけ、学生の卒業論文の指導時に、所蔵資料・情報や施設を活用してもらう、(3)近隣の関係機関に自館の刊行物などを郵送やメールで案内するといったことが挙げられる9
 第二に、同館種のみならず、他館種をも含めた機関間の相互協力・連携の必要性である。『総覧』2012年版では、機関間の相互協力として自館で行っている最多のサービスはレファレンスであった。しかし、機関間の蔵書横断検索は活発に行われていない。今後は、相互貸借や文献複写の基盤となる蔵書横断検索のシステムを整備し、資料・情報の提供にも力を入れる必要があるだろう。また、他館種との連携については、たとえば、ビジネス情報を扱う専門図書館がビジネス支援を行っている公共図書館のバックヤード機能を果たすことが挙げられる。こうした連携は、公共図書館の側からすると自館にない情報を専門図書館に求めることができる。一方、専門図書館の側からすると公共図書館の利用者を取り込むことができる。そのため、図書館サービスの観点から、双方にメリットをもたらすことになる10

5. おわりに

 本稿では、『総覧』2012年版に収載された質問紙調査と筆者が行った専門図書館職員の職務内容に関する調査の結果をもとに、4つの機関種を対象に公開型の機関の現状と課題を検討した。現状については、マネジメントと図書館サービスの状況を把握できた。課題については、利用者を増やす観点から、利用者に対するPRと利用案内、機関間の相互協力・連携の2つの必要性を指摘した。今後はマネジメントの観点からも検討する必要がある。

  1. 前園主計「専門図書館の定義」『Library and Information Science』 No.14,1976,p.325-337.
  2. Young, Heartsill編(丸山昭二郎,高鷲忠美,坂本博監訳)『ALA図書館情報学辞典』丸善,1988,p.132-133.
  3. 図書館情報学ハンドブック編集委員会編『図書館情報学ハンドブック 第2版』丸善,1999,p.867-868.
  4. 本稿では専門図書館協議会の許諾を得て、『総覧』2012年版の統計データから、公開区分が一般公開と限定公開の4機関種(国・独立行政法人、地方議会・自治体、団体、民間企業)を抽出して検討した。
  5. 青柳英治『専門図書館における情報サービス活動にもとづいた職員養成に関する基礎的研究 科学研究費補助金 研究成果報告書』2013,77p.
  6. 各館種の蔵書冊数は、日本図書館協会図書館調査事業委員会編『日本の図書館:統計と名簿2011』日本図書館協会, 2012, p.24, 236. の蔵書冊数を回答館数で除して算出。大学図書館は国公私立大学の図書館。蔵書冊数は各館種とも2011年3月31日現在。
  7. 団体の職務内容:レファレンスサービス131機関(61.8%)、受入資料案内94機関(44.3%)、代行検索38機関(17.9%)
  8. 国・独立行政法人の職務内容:レファレンスサービス81機関(54.0%)、相互貸借84機関(56.0%)、複写サービス79機関(52.7%)
  9. 前掲5,p.66.
  10. 結城智里「専門図書館から見た図書館のビジネス支援(総括)」『平成24年度第98回全国図書館大会島根大会要綱』2012,p.97-98.

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