びぶろす-Biblos
59号(平成25年2月)
8. 【専門図書館紹介】
鳥取県議会図書室と鳥取県庁内図書室
国立国会図書館総務部支部図書館・協力課
髙三潴 美穂
この度、鳥取県の県議会図書室と、県立図書館の分室である県庁内図書室に伺う機会を得たので、その報告をする。両図書室とも、政策立案を担う議員や庁内職員へのサービスを行っており、支部図書館においても参考にできる点が多いと思われる1。
1. 鳥取県議会図書室の概要
鳥取県議会図書室は、戦後間もない昭和22年7月、県議会議員の調査研究を支援するために日本初の県議会図書室として開設された。なお、地方自治法に議会図書室の必置規定が追加されたのは同年12月のため、同議会図書室の設置はそれに先んじてのこととなる。
利用時間は、月曜日から金曜日までの午前8時45分から午後5時までで、主な利用対象者は県議会議員および県職員だが、閲覧のみであれば一般にも開放している。
資料については、6,000冊超の図書を開架式で所蔵している。このほか新聞については、特に地元紙である『日本海新聞』は、昭和50年以降の原紙を所蔵しているという。
担当職員は人事異動で配置され、特に司書の資格を有している職員というわけではない点もほとんどの行政・司法の支部図書館職員と通ずるところがある。
2. 鳥取県議会図書室の取組について
鳥取県では、平成16年頃から県内の図書館の改革が行われてきた。
例えば、県立図書館では平成16年度からビジネス支援事業を開始している。事業を進めるにあたっては、ビジネス支援委員会を立ち上げ、県の産業振興機構、商工会議所、鳥取県産業技術センター等に所属する有識者を委嘱委員として招き、事業について検討している。また、平成18年度には法情報サービス委員会も立ち上げ、同委員会では弁護士会、行政書士会等の協力を得た。このときに培われた各委員会の構成団体とのネットワークは、現在も共催でのセミナー開催などにつながっている。
県議会図書室でもいくつもの取組が行われた。主な取組としては、県立図書館・県庁内図書室との連携構築、県議会議員に向けての広報誌『レファレンス』の発行、図書室のホームページの開設、蔵書検索データベースの公開などが挙げられる。
特に県立図書館との連携構築は、平成20年度に専門図書館協議会から表彰された際に表彰事由の一つとなっていた。この連携により、例えば議員等の利用者には県議会図書室を経由して県立図書館資料の貸出し、返却が可能になった。同図書室は県議会棟に併設されているため、同じ建物内で県立図書館の資料も利用できるようになったことは議会活動の利便性の向上につながっているといえよう。
重点的な改革はこのころに行われているが、この当時の取組がその後も財産となっていることがうかがえた。平成24年度になってからも、県立図書館とのネットワークを活用して、議員の調査活動を支援するためのレファレンス機能強化を目的に県立図書館職員を講師にむかえて県議会事務局職員への研修を行ったり、前述の『レファレンス』に県立図書館職員による同館のサービス紹介の連載を企画し、図書館活用促進のための周知を進めるなど、県立図書館との連携を深めている。
なお、現在重点的に取り組んでいることとして広報があるとのことだった。例えば前述の連載のほか、『レファレンス』の新着図書案内記事で、定例会で取り上げられるテーマに関する図書を事前に紹介し、定例会をサポートすると同時に利用につなげる試みを始めているという。以前から議会入口のところに新着図書を配置するなどの工夫をしているとのことで(写真参照)、相乗効果が得られるのではないだろうか。

3. 鳥取県庁内図書室
併せて伺った県庁内図書室は、平成17年に先の改革の一環として、職員の政策立案能力強化を目的に県職員の情報収集・活用を支援するために設置されており、設置の趣旨が行政の支部図書館と類似している。同室は、県立図書館の分室が県庁内に設置された形となっている。
こぢんまりとした室ではあるものの、「平成22年度末までに県庁本庁舎勤務職員の5割の新規利用達成」という設置当初の目標を、平成21年7月の段階で前倒しで達成しており、その利用率の高さには目を見張るものがある。
サービスとしては、同室では資料の貸出しも行っているが、特にレファレンス・資料相談に力を入れており、専任の司書も配置している。実際、レファレンス等の窓口としての利用が多いとのことで、本来の目的を十分に果たしているといえる。
また、その活動は県立図書館との緊密な関係と同館の膨大な所蔵資料をバックにすることで、より実効性のあるものとなっていると感じた。
終わりに
県議会図書室については、人事異動で数年の単位で担当者が入れ替わっていくため、業務の連続性、専門性の確保など、支部図書館の場合と課題を同じくする点が多い。
そういう中で、自前で全てを賄うのではなく、専門の司書を擁して運営している県立図書館との連携の一層の強化を図るなど、鳥取県議会図書室の試みている活動は、支部図書館と当館との関係でも参考にできるものであった。
最後になるが、お忙しい中、時間を割いて御説明いただいた県議会図書室、県庁内図書室、県立図書館の皆さまにはこの場を借りて感謝申し上げる。
- 参考:『びぶろす』56号(平成24年5月)で愛知県、奈良県、岐阜県の各議会図書室をご紹介している。

