びぶろす-Biblos
59号(平成25年2月)
6. 【特集:行政・司法各部門支部図書館職員研修】
国会レファレンス課資料室及び国会分館の見学に参加して
支部文部科学省図書館
芦北 卓也
1. はじめに
国会図書館はなぜ国会図書館というのでしょうか。一般利用者として、または行政・司法各部門の職員としてふだんから国会図書館を利用していても、その名称の「国会」が表している意味を意識することはほとんどありません。私たちは、支部図書館職員を対象として平成24年8月24日に国会図書館で行われた特別研修「調査及び立法考査局国会レファレンス課資料室及び国会分館の概要説明及び見学」を受講することで、国会図書館が国会図書館と名付けられている理由、国会に対するサービスのあらましを知ることができました。
2. 調査及び立法考査局国会レファレンス課資料室
研修の前半では、調査及び立法考査局(以下、「調査局」といいます。)1の業務内容とその業務のため使用される資料群(以下、「立法資料」といいます。)についての説明を受けた後、国会レファレンス課資料室に案内され、そこに配置されている立法資料の様子を見て回りました。
調査局は、国会を対象にしたサービスを担っているため、行政・司法部門に属する私たちにとってはなじみの薄い部局といえます。国政審議に資するため国会議員等からの依頼を受けて行う調査は年間約4万件にもなるそうですが、守秘義務により調査内容は明らかにされていませんし、支部図書館から調査局に直接レファレンスの依頼を出すこともできません。その一方で、調査局が国会で論議の対象になると予測したテーマについての調査も行われており、その調査結果は各種の刊行物として一般に公開されているため、こちらについては国会議員でない私たちも自由に読むことができます2。
国会レファレンス課資料室にある立法資料は、新聞や雑誌、参考図書、統計、法令集、白書類のほか、官報、両議院公報、本会議・委員会の各会議録、質問主意書・答弁書、法律案及び法律案関係資料等からなる議事資料といったもので、国会図書館の他の保存用書庫に納められた膨大な所蔵資料とはまた別個のコレクションとして構築されています。そもそも私たちがふだん利用している国会図書館の資料は保存資料と呼ばれ、汚れたり傷んだりしないようにとりわけ細心の注意を払って取り扱われるのに対して、立法資料は利用の面に重点が置かれており、分類番号が簡略化され、入手から利用可能になるまでの整理期間が短縮されていたりもするとのことです。国会図書館といえば資料の保存が最優先という印象がありましたので、立法資料の存在を知って国会図書館の意外な一面を見た気がしました。
3. 国会分館
研修の後半では、国会図書館から隣の国会議事堂に移動して、一般向けの参観コースで参議院本会議場や御休所、中央広間等を見学した後、国会議事堂内の図書館である国会分館に案内され、国会分館の概要説明を受けました。3国会分館は国会議員や議員秘書、国会関係者をサービスの対象としていて、私たちが利用する機会は皆無ですので、貴重な体験になります。
国会分館には国会議事堂の内部ということもあって歴史を感じさせる厳粛な風格を感じました。それでいて、限られたスペースには開架の書架が立ち並び、閲覧室にはソファーのセットもあって、図書館特有の居心地の良いあたたかな雰囲気も味わえました。
自分が国会議員になったつもりで国会分館の中を歩くと、国会議事堂の中でいつでも気軽に立ち寄れて、国会審議の疲れを癒す憩いの場所になりそうなことが分かります。審議が長引き深夜に及んでも開館していて、専門書や実用書以外にも、気になる話題の新刊本を手にとって読めて、貸出やコピーのサービスも受けられます。新聞については、充実した地方紙の中から地元のニュースを読み、また、丁寧にファイリングされた連載記事の切り抜きにも目を通すことができます。ソファーに座って雑誌を読めば、傍らに調査局の刊行物が「どうぞ気が向いたら持って行ってください」とばかりに置いてあるのに気づくでしょう。辞書や年鑑類、議事資料や法令資料等で調べものもできますし、パソコンを使って電子化資料や各種データベース、インターネットも利用することができます。カウンターの職員に気軽にした相談が、腕利きの調査員のバックアップによる本格的なレファレンスの調査につながることもあるかもしれません。
迅速できめ細かなサービスがいたれりつくせりで、手厚くサポートされる国会議員の先生方がうらやましくなりますが、だからこそいっそう、国会分館が提供しているサービスの重要性を感じずにはいられませんでした。
4. おわりに
今回の国会レファレンス課資料室と国会分館の見学を通して、私たちがふだん目にすることのない国会図書館の国会へのサービスの実情を知ることができました。また、このことで、日頃からなにげなくそう呼んでいる「国会図書館」という名称の意味が明確になり、国会図書館が担っている大きな役割を実感することができました。
国会に対するサービスには、蔵書構築の在り方や資料提供のスピード、柔軟性が求められること等、行政・司法部門の職員へのサポートを行う支部図書館においても共通する課題がありますので、今回の研修で学んだことをふだんの業務に生かしたいと思います。
- 調査局のサービス内容の詳細については、小澤隆「調査及び立法考査局のサービスについて」『図書館雑誌』106(7):2012.07,p.464-465を参照してください。
- 刊行物は「レファレンス」「ISSUE BRIEF」「外国の立法」「調査資料」の4点あり、国会図書館HP内の「国会関連情報」のページで誰でも全文を読むことができます。また、掲載記事が分野・国・地域別に仕分けされていて、例えば文部科学省の職員であれば、分野別一覧の「教育・科学・文化」のリンクをたどることで自分の業務に関連する記事のみを抜粋することができます。
*編集注:本ページは本号の「シリーズ 国立国会図書館のオンラインサービス」でご紹介しております。 - 国会分館のサービス内容の詳細については、鈴木賢一「国会分館コラム 国会分館(議事堂内図書館)紹介」『図書館雑誌』106(7):2012.07, p.466を参照してください。

