• 利用案内
  • サービス概要
  • 東京本館
  • 関西館
  • 国際子ども図書館
  • アクセス
  • 複写サービス
  • 登録利用者制度
  • オンラインサービス
  • オンラインサービス一覧
  • 国会関連情報
  • 蔵書検索
  • 電子図書館
  • 調べ方案内
  • 電子展示会

トップ > 刊行物 > びぶろす > 59号(平成25年2月)

びぶろす-Biblos

59号(平成25年2月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
5. 【特集:行政・司法各部門支部図書館職員研修】
支部内閣府図書館を見学して ~資料保存関係派遣研修への同行~

宮内庁書陵部図書課保存調査室
田代 圭一

 平成24年7月31日(火)、当課の図書寮文庫長と共に、支部内閣府図書館を見学させいただく機会を得ることが出来た。筆者は今年度より宮内庁書陵部図書課に新設された保存調査室の配属となったが、資料保存に関する業務に携わる者にとって他の機関の施設を見学させていただくことは情報交換と共に見聞・知識を増やすことにもつながり、貴重な機会となった。書庫の見学は参加者にとって大変有意義なものであるが、受け入れ側にとってはまとまった人数が出入りをする際に汚れが混入し、資料の保存に悪影響を与えることにもなりかねないため慎重にならざるを得ないところである。見学をお許しいただいた関係者の方々に厚く御礼申し上げたい。
 今回は前半に書庫の見学、後半にその見学をもとに行われた国立国会図書館(中央館。以下、「中央館」という。)職員によるアドバイス等にも同席させていただいた。以下、流れに沿って振り返ってみたい。
 見学に際して、参加者はまずシューズカバーを履いた。これは汚れが書庫に混入することを防ぐための必要な措置と言えよう。書庫は保存している資料の年代により、開架書庫と閉架書庫に分かれており、新しいものが開架書庫、古いものが閉架書庫に収められている。まず中央館職員により温湿度の測定が行われたところ(写真(1)参照)、28.3度、58.8%であった。温湿度の管理は資料の保存にとって最も基本的な事柄であり、今後は温暖化や節電などの要素も含め、ますます管理の徹底が課題となることを痛感した。

写真(1)手に持って測定しているのが簡易温湿度計
写真(1)手に持って測定しているのが簡易温湿度計

 閉架書庫に保存されている資料の中には昭和20年代の雑誌が多数あった。それらの雑誌の多くは酸性化が進み、紙がしなやかさを失い、ボロボロになってしまっているものも見られた。こうした資料は、材質の関係から温湿度の管理だけでは対応できるものではないため、時間の経過と共にさらに劣化が進み、資料として活用できなくなるものが増えるのではないかという危惧を抱いた。現在の保存修復の技術では、脱酸処理を施すことにより、資料を長く保存することも可能になっていることから、こうした技術を導入するなどの早急な対策が望まれよう。コスト面を考慮しなければならないこともあり、難しい対応を迫られるが、酸性化の進んだ資料の対策はほとんどの施設で抱える課題と思われ、一つの機関としてだけでなく、さまざまな機関が連携して対応することも必要なのではないかと考えている。状態によってはデジタル撮影やマイクロ撮影による保存、あるいは他の機関からデータを入手する方法等、資料そのものの保存に対する対応とあわせて、データとしての保存も視野に入れるべきではないかということもこの機会に感じた次第である。
 また、開架書庫は資料ごとに整理された状態にあり、閲覧者にとっても利用しやすい環境にあると思われる(写真(2)参照)。

写真(2)
写真(2)

 後半は場所を会議室に移し、事前に配付した質問票の回答に対してや施設に関する講評が中央館の職員2名により行われた他、(1)IPMコントロールについて、(2)簡易帙をつくる、(3)書庫での資料の取り扱い方、(4)マイクロフィルム保存のための基礎知識、の4種の配付資料 を参照しながら話を進めていった。
 質問票については各施設の保存環境、保存状態などに回答していただくことで、それぞれの機関の現状や抱えている課題等を把握することができた。資料保存に対する課題を共有することができたという点は大きく、今後もこの方法は続けていただきたい。こうした調査の対象範囲を広げることによって情報交換の役割を果たすとも考えられるので、実行に向けて御検討いただきたいと思う。
 また、配付資料を題材とした話し合いも充実したものとなった。(1)のIPM は、今日主流になりつつある予防に力点をおいた資料保存の考え方である。配付資料は資料の劣化原因から対策の要点までまとめられており、大変有用であった。各機関の特性を生かし、日々の観察を重視することの大切さを改めて認識することができた。機関内の各部署が連携し合うことによって一層効果的に機能することから、保存の大切さを職員に広く意識してもらう効果もあると言えよう。(3)の書庫での資料の取り扱い方も、日常無意識に行っていることが資料を傷める原因となることを認識した。利用者の意識を高めるよう心がけたい。(4)のマイクロフィルム保存に関する資料は、マイクロフィルムを多く持つ当部にとっても大いに参考となるものであった。具体的な対策としてはマイクロフィルムの修復や複製、マイクロフィルムからのデジタルデータの作成等が考えられるが、コスト面も考慮しつつ今後の対策を考える必要があろう。マイクロフィルム、デジタルデータ共に長所や短所があり、どちらか一方のみの活用に偏るのではなく、双方を併用しながらそれぞれの弱点を補完できるデータ保存を行うことが現実的であるように思う。
 最後に、資料保存の現場を見学し、保存業務に携わる方々と現状や対策を話し合い、情報を増やすことができたことは大きな収穫であった。今後もこうした機会を定期的に持つことができればと思う。常に技術の進歩に目を配り、最新の情報を得ることはもちろんであるが、こうして得られた情報やつながりを今後も活かしつつ、当部においても最善の体制を構築し、資料の良好な状態の保存を心がけていきたい。

  1. 編集注:当館HP内で資料の一部を紹介しています。
    (2)(3)関係:トップ > 国立国会図書館について > 資料の保存 > 研修・イベント > 研修会・講演会の一覧(1990~)、(4)関係:トップ > 国立国会図書館について > 資料の保存 > パンフレット
  2. 「具体的には、できるだけ化学薬品に頼らず、防除手段を適切に組み合わせて、虫菌害を低いレベルに抑制していく考え方」

このページの先頭へ