びぶろす-Biblos
59号(平成25年2月)
4. 【特集:行政・司法各部門支部図書館職員研修】
資料保存関係派遣研修を受けて
支部財務省図書館
小林 千春
当館は、明治4年に大蔵省記録寮記録部が設置され、旧幕府時代の財政関係文書を保管したことに始まります。その後、官制分課規定の改正に伴う所属の変遷を経て、大正7年記録課書庫係から上記資料に加え、明治から大正期にわたる公文書及び官庁資料等を引き継ぎ「大蔵省文庫」として設置されました。
上記のような経緯から当館には戦前の古い資料が蔵書として存在しています。一例として、予算書(明治6年~)、決算書(明治元年~)、官報(明治16年~)等が挙げられます。
書庫は二層式となっており、床面及び書架の材質は鉄製です。利用件数の少ない資料は狭隘化対応のため地下書庫に配置しています。
どちらも保存環境が十分とはいえない中で、どのように貴重な資料の保存をしていくのかが懸案のひとつでしたので、専門家である国立国会図書館資料保存課の職員からアドバイスをいただける本研修は良い機会でした。
【財務省図書館の保存環境について】
まず書庫(二層式)の温度と湿度を測定していただきました。湿度が65%を超えるとカビが発生しやすくなるそうです。
1階 26℃ 55%
2階 26℃~30℃ 78%
1階部分は比較的環境が良いので、現状を維持すればカビの心配はないが、2階はカビの原因となる温・湿度の高さ、西日の照りつけ等による鉄板床の温度変化で起こる結露の可能性が気になるとの指摘がありました。
このうち温・湿度の高さの原因は「空気の滞留」なので、季節を問わず扇風機を稼動させると良いとのアドバイスがありました。
送風することで空気の滞留をなくす効果があり、冷暖房も効きやすくなる利点があるそうです。
⇒扇風機は設置されていますので、節電に影響のない範囲で稼動させることで解決を図りました。
また書庫内や資料の汚れはカビの栄養源となるので、なるべく清潔に保つ努力をしてくださいとの説明がありました。
書庫内の汚れについては、清掃が行き届いているので問題なしとのこと。
⇒毎週金曜日の夕方を、私たち図書館員全員で清掃する日として、これまで頑張ってきた甲斐があったようです。
資料の汚れについても、目立った汚れはありませんでした。
⇒ホコリについては数年毎に業者に委託して書籍清掃を行っており、カビについては書籍清掃の際に防カビ剤を塗布しているため大事にいたらなかったのだと思われます。
また、予防策もいくつか教わりました。例えば以前は書庫内閲覧机に筆記用具として鉛筆の他にボールペンも置いていましたが、ボールペンは書き込まれた場合に消せないので置かないほうがよいとのアドバイスを受けて、現在は鉛筆のみにしています。紙製のしおりも配置し、利用者に輪ゴム、金属製のクリップ、セロテープ、付箋などはなるべく使用させないよう、また私たち図書館員も使用しないように気をつけています。
なお、薄い資料をまとめる際は麻糸やビニール糊を使用しています。
併せて、この環境を維持するため定期的に資料のホコリを取る作業を行ったらいかがかとのアドバイスを受けました。
特に2階は温・湿度ともに高いので、目が届きにくく空気が滞留しやすいため、最低限注意が必要な書架の最上段の資料だけでも、1ヶ月に1度程度、カビが生えていないか確認したほうがよいとのこと。
⇒各図書館員が業務の合間に時間を見つけて確認することにしました。
次に地下書庫を見ていただきました。
おそらく生物被害(ネズミ)に遭っていると思われるので個別に対策をとったほうが良いとの指摘がありました。
⇒庁舎管理上ネズミを含む害虫駆除を定期的に行っているので、これについては現状維持です。
マイクロフィルムの劣化対策として、定期的に引き出しを開けて空気を入れ替えると良いとのアドバイスを受けました。
⇒時期を決めて定期的に空気の入れ替えを行います。
【資料の状態について】
主に書庫(二層式)の資料の状態についてのアドバイスを受けました。
一部書架の背板がないためにはみ出している資料に対処する必要があるということと、薄い資料が押し込まれている箇所の改善についての指摘を受けました。
⇒書架に余裕がない箇所がそうなっているので資料の移動をする必要があるため検討中です。
【劣化・破損資料に対する処置】
当館では古い資料が多く、資料が劣化した場合に備えてマイクロフィルムに媒体変換してはいますが、やはり紙媒体の利用が多いのが実状です。利用頻度が高い資料については表紙の劣化及び破損であれば業者委託の再製本という手段をとっています。
利用が少ないものや資料の中身が劣化しているものについては中性紙の封筒へ保管し、書架へ配置しています。
図書館員が修復できそうな資料については、国立国会図書館で研修を受けたとおり和紙等で補修するようにしています。
資料の予防的保存という観点で、虫やカビ等の害を抑制しようとする際に、環境への悪影響を低減するためにできるだけ薬剤を使用せず、複数の対策を合理的に組み合わせて、虫菌害を低いレベルに抑制して予防管理を行うIPM(Integrated Pest Management:総合的有害生物管理)という考え方があることを教えていただきました。当館の場合はカビの発生源となる水分(湿度、結露)を予防することが重要だと分かりました。これからも指導から得られた知見を念頭に、可能な限り、対処していきたいと思います。

