びぶろす-Biblos
57号(2012年8月)
3. 【特集 法律と図書館】
東京都立中央図書館の法律情報サービス
東京都立中央図書館サービス部情報サービス課
尾上 文子
1. サービスの開始に当たって
東京都立中央図書館の法律情報サービスは、平成18年7月に、サービスのキーワードに「アクセス」と「学び」を掲げて開始されました。これは、都の協議会答申での法律情報サービス早期実施の提言1 及び教育委員会の方策で法律情報サービスが重点的情報サービスとして位置付け2がされるなかで、当館情報サービス課内に設置されたワーキンググループでの検討を経て実現したものです。
本サービスでいう「アクセス」とは、豊富に所蔵する法律関係資料と周辺資料及びこれまでのレファレンスの蓄積を最大限に活用し、都民の法律関係情報に対するニーズに応え、利用者にとって分かり易い情報へのアクセスに努めることです。
また、「学び」とは、法律情報の探し方、司法制度、裁判員制度などについて理解を深め、自ら調べることができるよう、都民の学びを支援することを意味します。
2. 新たな資料の充実とサービスの拡充
法律情報サービスを開始する前提として、当館では、開館当初はもとより前身の日比谷図書館時代から、法律関係資料について専門的な資料の収集を行い、法律関係雑誌も主要雑誌は創刊号より所蔵していたことがあります。また、法令や判例調査などのレファレンスの経験も主題室制度のなかで蓄積していました。これらの蓄積を基に、法律情報サービスを開始するにあたって新たに以下の事項を充実させてきました。
(1)収集基準の緩和
資料の構成において、従来調査研究図書館として収集してきた専門的な法律関係資料のほかに、分かり易い入門書的な資料も購入するよう収集基準を緩和しました。このため収集部門での選書以外に、サービス部門の職員も参加し、納入業者の書店に赴いて資料をチェックする店頭選書を年2回実施しています。
(2)法律関係雑誌、加除式資料、主題六法類の購入拡大
従来購入していたタイトルに加え、新しいタイトルの購入に努めるなど、一層の充実を図っています。
(3)判例・法令データベースの活用促進
判例・法令検索のデータベースは、それまでのCD-ROMから、DVD-ROMやインターネットによるものなど複数タイトルが利用できるように整備しました。また、利用者を対象にデータベースの使い方について毎月1回15分程度の簡単な講習会も行っています。
(4)ホームページでの情報発信の開始
非来館者も利用できるように、法律関連情報の提供を行うホームページ(法律情報サービス)を開設し、各種のインターネット情報の一覧や、無料相談を実施する各種団体の一覧など関係団体へのリンクも充実させました。
そのほか、都立中央図書館で作成し、配布しているパンフレットも適宜紹介しています。また、都立中央図書館で所蔵する法律関係雑誌や、各種法令集の一覧等のリストも作成して掲載しています。
(6)講演会・相談会の開催
日本司法支援センター(以下「法テラス」といいます)東京地方事務所や、東京司法書士会との連携事業として、都民の「学び」の支援の一環として位置づけ、講演会、相談会を毎年実施しています。
今年度は4月27日に法テラスとの連携事業で「図書館で弁護士・司法書士による無料相談会」を開催し、好評でした。
11月及び来年2月には、東京司法書士会との連携事業で「司法書士による無料相談会」を予定しています。
また、10月1日法の日の記念行事として、法テラスから弁護士を派遣していただき、毎年その時々のテーマで講演会を開催しています3。今年度は、被害が後を絶たない「悪徳商法」などに関連する講演会を予定しています。
(7)「身近な法律コーナー」の設置
主題別の書架とは別に、当館1階に「身近な法律コーナー」を設置しています。
近隣トラブル、相続、遺言、夫婦や子どもの問題、交通事故、職場の労働問題など、身近に起こる様々な法律問題について、テーマに分けて入門書的な分かりやすい資料を選び、展示しています。関連する法律関係書架の案内図も置き、関連分類番号の書架に導く工夫もこらしています。

3. 研修の充実
当館は研修にも力を入れています。
(1)区市町村立図書館職員対象研修の実施
年1回35人規模で半日の研修を行っています。この研修では、各種のインターネット上のデータベースを利用し、どこの図書館でも法律情報が調べられる内容で実施しています。この準備をする過程が、都立図書館の担当者にとっても良い学びの場となっています。
(2)外部研修への派遣
法律図書館連絡会主催の法律図書館基礎講座には、毎年新たに担当となった職員を参加させています。そのほか関係機関で行われる法律関係の研修には積極的に参加できる体制を作っています。
(3)専門研修の実施
都立図書館職員を対象として、毎年、外部の専門講師による研修を実施しています。館内整理日の半日を利用して行います。情報サービス課職員が中心ですが、希望する他の課の職員も参加しています。
(4)課内・係内研修の実施
情報サービス課では、開館(10時)前の時間などを利用して、課内研修を行っています。年度初めは、特に、新入職員や情報サービス課をしばらく離れていた職員を対象にした研修を行います。その他、法律情報のレファレンスを担当する職員には、随時、テーマを設定して研修を行っています。
4. さいごに
日常生活の基盤としての「法律」は本来身近なものであるべき、と思います。
誰でもが必要に応じて学び、調べることができるために当館の法律情報サービスを利用して頂けるよう、今後とも充実させていきたいと考えています。
- 第22期東京都立図書館協議会答申「調査研究図書館におけるサービスのあり方について」(平成18年3月)
- 東京都教育委員会「都立図書館改革の具体的方策」(平成18年8月)
- 今年は例外的に9月30日(日曜)に開催する予定です。

