びぶろす-Biblos
電子化55号(2012年3月)
7. 第77回国際図書館連盟(IFLA)サンファン大会に参加して
小林 直子
サンフアンってどこの国?と問われて即答できる人は、案外少ないのではないだろうか。何しろ成田空港のチェックインカウンターで「これ、どこの国でしたっけ?」と聞かれたくらいである。サンフアンはカリブ海の島プエルトリコ最大の都市、そしてプエルトリコは、米国の自治領である。2011年8月13~18日を会期とする世界図書館情報会議:第77回国際図書館連盟(IFLA)年次大会は、このサンフアンで開催された。大会は、「図書館を越える図書館:みんなのための統合、革新、情報」をテーマとして開催され、116カ国から約2500人の参加者を得た。日本からは、国立国会図書館代表団7名を含む20名以上が参加した。

(国立国会図書館代表団)
ご存知IFLAは、図書館協会・図書館・図書館関連機関など100カ国1000団体以上が加盟する、図書館・情報サービス関係の世界最大の国際組織。書誌、情報技術、政府機関図書館、図書館建築、資料保存など、多岐にわたるテーマを扱う40以上の分科会やコア活動などを通じて、世界の図書館界の課題に挑戦している。毎年8月に開催される年次大会では、分科会等が主催するオープンセッションや、関連業界のブースが軒を連ねる展示会、個人や図書館が出展するポスター発表などに、だれでも参加することができる。また、世界の図書館人が大集合するこの年次大会期間中には、各分科会常任委員会のビジネスミーティング、国立図書館長会議も開かれ、日頃バーチャルなやりとりしかできない関係者が直接話し合える貴重な機会となっている。

(会場となったプエルトリコ・コンベンション・センター)
今回の大会では、各テーマのセッションのほかに、災害復興をテーマとした特別セッションが行われ、ごく最近大きな地震に見舞われた日本、ニュージーランド、チリからの報告があった。国立図書館長会議でも、「自然災害からの復興」と題したパネルディスカッションがもたれ、日本からは、国立国会図書館の行っている被災地への支援や国立図書館が果たすべき役割について網野光明収集書誌部長(当時)が報告した。
筆者は、児童・ヤングアダルト図書館分科会の常任委員としてこの大会に参加したので、この分科会に関係するセッションの1コマを紹介しよう。

(児童ヤングアダルト分科会で訪問したサンファン旧市街のアブラハム・リンカーン小学校)
8月17日に開催されたセッション「姉妹図書館:何をする?どんなふうにやる? ゴッドマザーの役割」は、分科会が取り組んでいる「姉妹図書館」プロジェクトを扱ったものであった。「姉妹図書館」は、言語が同じで国が異なる2つの図書館が姉妹として組み、共通の言語で子どもたちが国際交流をするという試みである。2009年11月の立上げ以来、100以上の図書館が姉妹縁組の希望を申し出ており、2年の間に29組の姉妹が誕生した。セッションでは、ルーマニアとセルビア、トーゴとフランスなどの姉妹図書館の活動紹介があった。一緒に絵本を作る、互いの街や文化を手紙やビデオで紹介しあう、同じ本を読んでスカイプで討論会をする、など、内容も方法も様々な活動が行われている。
セッションタイトルの「ゴッドマザー」が気になっている読者もあるかもしれないが、これは「マフィアのボスの妻」ではなくて、子どもの洗礼に付き添いその子の信仰の深まりを助けるという、キリスト教の「教母」を意識した名前である。数人の経験ゆたかな常任委員が、ゴッドマザーとして「姉妹」たちをサポート――交流プログラムのアイディアを提供したり、活動に行き詰った時にアドバイスしたり――している。フロアからは、ゴッドマザーの存在が活発な姉妹図書館活動の基盤になっていると思う、という感想が出された。その発言者の国の図書館協会でも交流事業として姉妹図書館を実施しているが、ゴッドマザーのような助言者がいなくて、苦労しているとのことだった。
IFLA年次大会では、件の発言者のように、ふと参加したセッションで思いがけず自分の活動へのヒントが得られることもある。たまたま隣に座った図書館員と話したら、自分の知りたかったことを知っている人だった、なんていう偶然もある。様々な図書館活動の最新事例や世界の動向を実感することができるIFLAの年次大会に、一度参加してみては?2012年の開催地はフィンランドのヘルシンキ、すでに参加受付は始まっている。詳しくは、WEBで! →ヘルシンキ大会ホームページ
(国際子ども図書館児童サービス課)

