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トップ > 刊行物 > びぶろす > 電子化55号(2012年3月)

びぶろす-Biblos

電子化55号(2012年3月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
4. 【特集 英国の政府機関図書館】
外務連邦省図書館の見直しと政府図書館司書の新たな役割(講演要旨)

カーリル・アラダイス

1. 外務連邦省図書館の見直し

 世界各地に270の拠点と職員1万5千人を擁する外務連邦省は、知識集約型の組織である。外務連邦省図書館の起源は18世紀中頃にさかのぼり、初代館長リチャード・アンセル編さんの条約集は、今も条約局の執務参考資料として活用されている。グラッドストン政権時代のグランビル外務卿は、外務省図書館を「外務省の要」と評した。1871年当時3万冊程であった蔵書も、国際法、政治学等を中心に整備され、1940年代には8万冊に達した。1968年には、英連邦関係各省との統合によって旧植民地省資料の移管を受け、蔵書の幅はさらに広がった。

(写真1)
(写真1)

 外務連邦省図書館は、これらの蔵書に地図資料等も加えた紙媒体中心の図書館ではあったが、近年は館内のインターネットカフェや、海外駐在職員向けの電子図書館サービスの充実にも取組んでいた。転機は2007年に訪れた。省内の独立委員会から、来館利用の漸減と図書館の高コスト体質(貸出1冊に246ポンドかかる計算になる)を指摘され、結果、図書館の廃止と電子図書館サービスへの一本化が決定した。蔵書はすべてロンドン大学に寄贈され、32名の図書館担当チームも解散した。図書館に残ったのは、18世紀に植民地省が入手した大蛇のはく製(「アナコンダのアルバート」(写真1))だけであった。
 図書館業務を引き継いだ7人のプロジェクト・チームは、これまでの電子図書館サービスを見直し、図書発注や雑誌論文入手のセルフ・サービス化、地図をはじめとする執務参考資料の電子的提供、新聞記事の電子配信等の準備を進めた。外務連邦省職員は地球規模問題から各国事情まで、常に幅広いテーマを扱っているため、自ら情報収集する習慣を身につけている。執務に必要な情報と検索手段をコンパクトにまとめ、世界のどこからでも利用できるようにした今回の見直しは、理にかなったものといえる。

2. 新しい電子図書館サービス

 新しい電子図書館サービスは、2010年から外務連邦省のイントラネット(FCONet)で提供している。職員の使い勝手に配慮して、情報源を国・地域別とテーマ別に整理するとともに、英国図書館の統合検索エンジンを導入して、インターネット上に無料公開される様々な情報源からも情報収集できるよう工夫した。職員は、外務連邦省図書館だけでなく、英国図書館の蔵書、グーグル・スカラー、PubMed(米国立医学図書館の学術文献検索サービス)等を自由に選択してキーワード検索を行ない、文献・資料を入手できる。外務連邦省図書館の未購入資料やインターネットで入手できない資料が必要な場合は、英国図書館のドキュメント・デリバリ・サービスが利用できる。指定書式に所属部署、メールアドレス等を入力して申込めば、世界中どこにいても5日以内(緊急時は2時間以内)にメール添付の形で、英国図書館から資料が届く。申込みはセルフ・サービスであるが、図書館用のアカウントで一括管理しており、職員がその都度料金を支払う必要はない。
 電子図書館サービスからは、世界各国・地域の地図も見ることができる。電子書籍のダウンロードサービスは、各種のタブレット型PCでも利用可能であり、新聞記事の配信は、携帯端末でも受けることができる。

3. 政府機関図書館司書の新たな役割

「知識委員会(Knowledge Council)」設立以降、政府機関図書館の司書に求められる役割は大きく変わった。知識委員会は、2007年に設立された政府幹部クラスの協議体で、知識・情報管理(Knowledge and Information Management、以下、「KIM」という)の専門知識を活用することによって、政策立案機能の強化を目指す。委員会は傘下に多くの作業部会を持ち、「省庁図書館長委員会(CDL)」等の関係団体とも連携している。
 知識委員会の戦略文書『情報の重要性について(Information Matters)』は、政府機関がKIM能力を構築するため、キーパーソンであるKIM担当者を専門職として認定する必要があるとした。KIM担当者には、図書館司書や公文書担当者だけでなく、広く文書、記録、知識、情報の管理に携わる職員が含まれる。ただし、その範囲は各省の情報管理体制によって異なるため、知識委員会は、KIM専門職のコンピテンシー(業務遂行に必要なスキル、知識、能力、行動その他の特徴のパターンを示し、業績評価等の参考資料とするもの)を作成した。コンピテンシーは、KIM専門職に求められる能力として、(1)KIMの戦略立案、(2)知識・情報の利活用、(3)情報の管理と組織化、(4)情報ガバナンスの4つを挙げ、それぞれ実務家、管理職、指導者、戦略立案者レベルで期待される行動を示している。
 政府図書館司書がKIM専門職として果たす役割は、今後も大きくなると思われる。司書のスキルは、伝統的な図書館業務だけでなく、情報公開、文書管理など、情報関連業務に幅広く応用可能だからである。利用者のニーズと図書館システムの特性に精通した司書は、人とシステムの「懸け橋」となれる。
 ただし、このようなスキルは司書の専売特許でないことも忘れてはならない。司書は、(1)コミュニケーション、(2)情報管理の専門知識、(3)プロジェクト・マネジメント、(4)戦略的な計画策定、(5)テクノロジへの理解、(6)省内の類似プロジェクトを結びつける眼、(7)マーケティング、(8)イノベーション、(10)顧客本位の思考、(11)リーダーシップ等の分野でもスキルを磨き、図書館の外の世界と積極的に関わる必要がある。

(この講演要旨は、平成23年12月6日に開催された「平成23年度国立国会図書館長と行政・司法各部門支部図書館長との懇談会」における特別講演を基に、総務部支部図書館・協力課 塚田洋が作成した)

(参考)
知識委員会の概要、戦略文書等は英国国立公文書館のサイトを参照のこと。
http://www.nationalarchives.gov.uk/information-management/gkim/default.htm

(英国外務連邦省情報・技術総局知識・情報管理政策主任)

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