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トップ > 刊行物 > びぶろす > 電子化55号(2012年3月)

びぶろす-Biblos

電子化55号(2012年3月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
1. 【特集・補助金による研究成果報告書】
厚生労働科学研究成果データベース(MHLW-Grants)について

磯野 威

1. 厚生労働科学研究成果データベースの開始と拡充

 厚生労働科学研究成果データベース(以下「MHLW-Grants」という)は、厚生労働科学研究費補助金の研究成果を広く国民に情報公開するために、研究報告書の概要版(抄録)とPDFで取り込んだ報告書本文をデータベース化して、インターネット上で閲覧、検索等を行うことができるシステムである。
 「MHLW-Grants」は「厚生科学研究費補助金(現、厚生労働科学研究費補助金)」の研究成果の一般公開を進めるために、厚生省(現、厚生労働省)大臣官房厚生科学課と、国立保健医療科学院の前身である国立公衆衛生院附属図書館の間で検討を重ねた上で平成9年度に開始された。その背景のひとつには厚生省附属試験研究機関(国立感染症研究所国立医薬品食品衛生研究所など)の共通課題であった「研究情報ネットワーク整備費(LAN構築)」の予算要求に、平成5年ごろから図書館として主導的に関わってきた経緯もあった。
 研究成果の中核となる「研究概要」については、「目的」、「方法」、「結果」、「結論と考察」という一定の構造化形式を定めた。当初は主任研究者の協力を前提に「研究概要」をフロッピーディスクにより送付することとしていた。研究報告書本文(PDF)の公開は平成10年度分からとなり、「電子図書館事業費」として事業予算化された。
 研究者の協力事業として始まった「電子図書館事業」は、さらに国立公衆衛生院の所蔵する「古典的な資料」および国立保健医療科学院の発行する雑誌『公衆衛生研究(現、保健医療科学)』のPDFによる公開も開始することとなった。これは当図書館の所蔵する資料を、地域の公衆衛生現場の職員(遠隔地)が利用することを促進することとなり、平成11年度から補正予算事業として開始される「遠隔教育」事業の下地ともなっていった。並行して図書館では、平成14年度より本省健康局との調整のうえ「健康危機管理支援ライブラリーシステム(H-CRISIS)」の構築、運用も行ってきた。

2. 課題への対応

 研究者による協力ベースで始まった「MHLW-Grants」であったが、公開率は平成15年度に至る間に逓減していった。フロッピーディスクで提出される「研究概要」の形式異常、読み取り障害など、年間1,500件にのぼる課題の中で修正処理業務もピークに達していた。それに加えて研究報告書に含まれる著作権法上公開に適さない部分(論文別刷りなど)の点検作業(対象40万ページ/年)もあり、公開に至るまでの時間的なロスは顕著となった。
 それらに対応するために平成16年度より研究成果の「MHLW-Grants」への報告が義務化され、著作権法上の問題については研究代表者による収載時の許諾確認を明示することとなった。
 背景には公的研究資金による研究成果公開の網羅性の向上と迅速な公開という厚生労働省からの要請があった。この要請に対しては、前述の対応のほか、システム面からも対応を行っている。平成16年度のシステムリプレイスを実施したが、同リプレイスに合わせ、従来の研究概要をフロッピーディスクで送付する方法を改め、Web登録機能、報告管理機能を実装することとなった。さらに、平成17年度には研究者の一元管理を目指し、研究者情報(研究者ID、所属機関など)の登録/管理機能が付加された。
 これらにより研究成果の登録率は飛躍的に向上した。また、公開に至るまでの管理システムが構築されたことにより、督促などの事務負担も軽減することとなった。研究成果の承認/公開にいたる過程の透明性、迅速性は確保された。
 一方、各省庁の研究費補助金事業は総合科学技術会議(内閣府)へ報告されるが、そのツールとして厚生労働省は「MHLW-Grants」を活用した。これによって、従来、研究者情報管理を手作業で行っていた事務負担は一挙に軽減されることとなったが、研究者は各報告年度末までに研究者情報を登録更新することが必須となる。また、平成19年度より文部科学省の所管する「府省共通研究開発管理システム(e-Rad)」が開始され、研究者は新年度への研究申請はすべて「e-Rad」を経て行うこととなった。目下、研究者の事務的負担軽減を目的とする、省庁毎の研究情報(研究者情報)に関するシステム的な連携が喫緊の課題となっている。

現行システムの概念図は次図の通りとなっている。

現行システムの概念図

3. 「MHLW-Grants」の現況

 登録研究者(約1万名)からの問合せは年度末(通常は3/中旬から5月末)の研究成果登録時に集中している。なお、「MHLW-Grants」に関する問合せのうち、内容に関する問い合わせについてはレファレンスとしてカウントしている。例えば、「『乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)』の「被害者数」「死亡者数」「被害を受けた月齢」を知りたい」、「『ドライアイ』の潜在患者数2200万人といわれる根拠となる厚生労働科学研究報告書を閲覧したい」などがある。通常の利用者からの問合せの多くは学会発表、マスコミ報道などをトリガーに、研究内容の一部のコトバから、研究報告書全体あるいは図表など、該当箇所の特定を求めてくるものが多い。さらに平成9年度以前の研究報告書のPDF公開への要望も高い。また、現行システムは一つ一つの検索結果に「固定URL」をもたないため、研究成果を引用する際などに不便となっている。さらに「研究概要などの英文表記」「全文検索」などの機能を次期リプレイス(平成24年度予定)において実装することを計画している。
 以上述べたように、当図書館では「MHLW-Grants」を、ユーザにとってより「つかい」勝手の良いものへと改修しようとしてきた。それは「利用者の時間を節約する 1 」(ランガナータン「図書館学の五原則」)試みでもあった。
 一方、厚生労働省(当時、厚生省)では平成9年度に「医療技術評価のあり方に関する検討会」が、医療資源を効率的に活用し、医療の質と患者サービスを向上させる手段として総括的な報告をおこなっている。その中心となる概念が「根拠に基づく医療(EBM) 2 」である。その後、厚生労働省はEBMの普及、「診療ガイドライン」の策定などを進めている。
 厚生労働省ではEBMを推進する中で、膨大な医学医療情報から信頼性の高い情報源を網羅的に検索し、一定の評価を確保した情報に絞り込む作業を担うことができる「リサーチライブラリアン」の養成を広く進めようとしてきた。その過程で研究協力という形で深く関わってきた当図書館は、EBMを情報支援という側面で支える役割を担った。それは図書館が情報源を「つかう」という側面だけではなく、「MHLW-Grants」を国民に、より有効に活用される情報源として、「つくり」「つたえ」ていこうという過程とも重なりあった。

厚生労働科学研究成果データベース 閲覧システム

4. 「MHLW-Grants」の今後

 国立保健医療科学院図書館は平成16年にWHOから日本におけるレファレンス・ライブラリーに指定された。WHOは指定の条件に、広く一般公衆への公開を義務付けており、これにより当館はサービス対象として、広く国民を視野におくことが鮮明となった。当館は、日本における公衆衛生分野の図書館のひとつとして「Dynamic Encyclopaedia of Public Health」の機能を進めることにより、国内外に活用されていく可能性を秘めているといえる。平成9年度より発芽した「MHLW-Grants」(電子図書館)事業は、今後さらに関連する保健医療分野のデータベース(医学中央雑誌、JDreamⅡ、Medlineなど)との連携を目指していくこととなろう。
 米国国立衛生研究所 3 (NIH)では平成20(2008)年4月より、研究助成事業の研究成果を一般へと情報公開し(Public Access Policy)、NIHの研究助成から産出される研究成果を「実験室からベッドサイドへ」と橋渡しする性格を強めてきている。
 今後、電子図書館事業は保健医療分野における科学的な信頼性の高い研究情報源としてだけでなく、国民一般(患者家族としての)がより活用しやすく、有効なデータベースになっていく使命をもっていると考えられる。「電子図書館」を人々が日常的に参考とするようになり、科学的な拠り所となる情報源の一つとなっていくことができれば、「成長する有機体4」としての図書館の本質にも叶うのではなかろうか。

(参考)平成22年度実績
研究概要公開総数:16,060件(平成9~21年度累計)
研究報告書公開数:17,029点(平成10~21年度累計)
登録研究者総数 :13,900名(平成22年度末)
アクセス数   :15万件(平成22年度推定)
レファレンス数 :541件(平成22年度末) *図書館処理の全数

(国立保健医療科学院図書館)

  1. Save the time of the reader
  2. Evidence Based Medicine.
  3. National Institute of Health
  4. Library is a growing organism.

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