びぶろす-Biblos
58号(2012年11月)
5. 【特集 関西館10周年】【専門図書館紹介】
レファレンス協同データベースの有効活用術~レファ協はあなたの館のサポーター~
公益財団法人紙の博物館図書室
竹田 理恵子
関西館10周年おめでとうございます。紙の博物館図書室(以下「当館」といいます。)は2004年よりレファレンス協同データベース事業(以下「レファ協」といいます。)に参加させていただき、2009年には第5回レファ協フォーラムにて事例報告の機会もいただきました。その際には「ワンパーソンライブラリーの可能性」と題して当館におけるレファレンス事例を報告いたしました。
当館は職員1名の小さな公開制の専門図書室で、閲覧者数は少ないものの、博物館来館者からの質問やメール・電話での問い合わせにも対応しており、日々受け付けるレファレンスは多岐にわたっています。日常の業務の忙しさに紛れてレファレンス記録もおろそかになりがちでしたが、レファ協に参加してからはレファレンス管理の為に積極的にレファ協データベースを活用するようにしています。今回は当館が登録した事例の中から特に印象に残っているものを何点か紹介します。
『びぶろす』は国立国会図書館の支部図書館と専門図書館を結ぶ媒体とのことで、読者の皆様が所属する図書館に配属されている人員も少人数のところが多いだろうと思います。博物館内のワンパーソンライブラリーの事例がそのまま参考にはならないかもしれませんが、何らかのヒントになれば幸いです。
当館でのレファ協の使い方は、日々のレファレンス事例をひとまず「自館のみ公開」の登録をして、後日データを整理して「参加館公開」から「一般公開」へと更新していきます1。その過程で未解決事例はその登録時に他の参加館にお知らせメールを送る設定になっているため2、時には他館から解決事例や参考事例のコメントをいただけることがあります。このコメント機能こそ、レファ協がレファ協である優れた点だと思います。
インターネット上には「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」など質問回答サイトがいくつかあり、個人的にもそれらのサイトで質問をした経験があります。しかし、それらの質問回答サイトの多くが匿名による回答で根拠がはっきりしない事が多いのに対し、レファ協は参加館からの記名式回答で出典や根拠を明確に提示していただけるので、図書館のレファレンスとしては大変有り難いものとなっています。
当館がレファ協に参加した当初は、事例登録がなかなか進まなかったのですが、数年来未解決となっていた難問を思い出して、「試しに」登録、コメントを求めました。すると、驚くほど詳細な回答が寄せられ、非常に感激いたしました。
その事例とは
「巳資紙規」とは何か 昭和15年12月の岩波文庫「枕草子」奥付上部にゴム印で「巳資紙規第96号東京府規格外許可 昭和16年4月15日発行」と押されていた。
で、回答をいただいたのは大学図書館様からでした。同館にはこれは戦時中の規格統制にまつわる東京府文書と推測して、東京都公文書館へも問い合わせていただきました。その結果、掲載されたような詳細な回答となりました(ぜひ事例の部分をクリックして回答を御覧ください)。
レファレンスを受けた時点ではまるで謎の暗号のようにも見えた記号が、広範な知識と経験に基づき、かつ推理する力により、適切な順序を踏みこの回答に至ったことはレファレンスサービスの王道を行くような感じがいたしました。
初期に登録した未解決事例からもう1件紹介させていただきます。
油団(ゆとん)とは夏座敷の上に敷く油紙を重ねて作った敷物のことです。主に福井県鯖江にて製作されていたようですが、その歴史や現状が所蔵図書からはほとんどわからなかったので、レファ協に登録したところ、地元福井県の図書館様より、コメントを頂き、現在も鯖江市にて作られていることや参考文献についての御教示を頂きました。さすがに餅は餅屋、地元の情報は地元の図書館へ聞けばよかったと思いましたが、公共図書館とはあまり連携のない当館では問い合わせ先もわからず、居ながらにして教えていただけるレファ協のありがたさを実感した次第です。
一方で、レファ協のデータベースは日々成長していくもので、未解決事例はもとより、解決された事例でも日々ブラッシュアップしていく事が求められます。
それらブラッシュアップされた事例から1件紹介いたします。
外国では見られないという駅前のティシュ配りで有名な我が国のポケットティシュですが、そのポケットティッシュの歴史について書かれたものはあまり見られず、紙の専門図書館である当館でも雑誌のコラムやインターネットの情報程度しかありませんでした。
この事例は2004年に登録したデータを後日再調査して、2009年、2010年、2012年に更新しています。「銀行がノベルティとしてポケットティシュを配った」との情報の確認のため、レファ協参加館の広告図書館様3を通して銀行図書館様4へも調査していただくなど、他館様の助けも得ながら、現在も引き続き調査中の事例です。
なお、銀行図書館様では独自にこの件に関してのデータを登録されています。以下がその事例です。
また、現在調査中の事例として次のものがあります。
ティシュペーパーのポップアップ方式について。
ポップアップは米国のアンドリュー・オルセンというシカゴの発明家が発明したという記述がインターネット上にあるがその裏づけや詳しいエピソードなどを知りたい。
こちらはインターネットにある情報を確かめるというもの。最近ではこのような事例が増えてきています。こちらもレファ協参加館からのコメントにより、オルセンがポテトチップスを食べるときに思いついたという情報が寄せられていますが、これも情報源はインターネットでした。更なる情報を求めて一般公開にして、参加館以外の方へも再度情報協力を求めたところ、レファ協未参加の大学図書館様より、オルセンの発明について触れられている書籍2点をご紹介いただき、その情報を現在確認している最中です。
上記御紹介した事例にはリンクを貼ってありますので、各事例の部分をクリックして実際の回答を御覧ください。
以上のように、当館のレファレンスの多くがレファ協を通して他館の助けを得て解決している状況です。いわば、ワンパーソンのライブラリーに多くのサポーターがついているようなもので、レファ協は大変頼もしい存在となっています。ワンパーソンといえども、決して一人ではないことを実感しています。
多くの機関がレファ協を大いに活用してレファレンスサービスにおける有効利用をはかっていかれることをお勧めいたします。
- レファ協は登録データの公開対象を設定することができます。
- レファ協は未解決のレファレンス事例も公開することができます。また、設定により、全国のメール通知サービス登録者(参加館職員)に、未解決事例が公開されたことをお知らせすることもできます。
- 正式名称「公益財団法人吉田秀雄記念事業財団アド・ミュージアム東京広告図書館」
- 正式名称「一般社団法人全国銀行協会銀行図書館」

