びぶろす-Biblos
58号(2012年11月)
2. 【特集 関西館10周年】
図書館員とeラーニング~国立国会図書館の遠隔研修~
国立国会図書館関西館図書館協力課
松井 俊
自分の知識を増やし、スキルアップを図りたい図書館員にとって、研修の機会は大変貴重です。しかし、日常の仕事の合間に遠くの研修に出かけるのが厳しい方、人手が足りない状況でまとまった研修時間が取れない方もいるかもしれません。国立国会図書館(以下「当館」といいます。)では、そういう悩める図書館員の皆さまのために、インターネットに繋げるPCがあれば、いつでもどこでも受講できるeラーニング(遠隔研修)サービスを平成18年度から提供しています。
1. eラーニング=遠隔研修とは?
遠隔研修は、インターネットにより提供される教材を使った自学自習型の研修です。そのもっとも大きな特徴は、インターネットで提供しているので、場所を問わず、24時間受講が可能となることです。さらに集合研修に比べ、より多くの方が受講可能です。当館の集合研修の定員が、設備の都合や講義の性質上、おおよそ30名程度なのに対し、遠隔研修では1講座当たり200名~400名の方が受講できるメリットがあります。
2. 多彩なカリキュラム
当館の遠隔研修には、現在、資料保存から、デジタル化まで、次の7つの講座があります。そのうち5講座は申込みが必要な定員制をとっていますが、受講資格は、館種を問わず「図書館員であること」だけです。(6)「和書のさまざま」と(7)「資料デジタル化の基礎」は申込み不要で、いつでも、だれでも受講可能です。
(1)「資料保存の基本的な考え方」
紙の資料を主な対象とし、資料保存の基本的な視点や考え方のほか、資料を劣化させる要因や、適切な保管環境、資料保存のための対策等について学ぶ講座です。
(2)「科学技術情報-概論-」
科学技術専門資料の概要説明、主要な所蔵機関と調査ツールの紹介、文献の特定から入手までの調べ方等で構成されており、科学技術情報に関する基礎的な知識を学ぶことができます(平成24年度は改訂のため休講)。
(3)「科学技術情報-科研費報告書・博士論文・規格-」
科学技術関係資料のうち、特に科研費報告書、博士論文および規格資料をとりあげ、資料の概要と調べ方などを解説しています。「科学技術情報-概論-」の受講者を主な対象としています(平成24年度は改訂のため休講)。
(4)「経済産業情報の調べ方」
経済産業分野のレファレンスで求められる、経済情報・市場情報・消費者情報・企業情報について、各種統計など、調査に役立つツールを紹介し、その調べ方について学びます。

遠隔研修「経済産業情報の調べ方」
(5)「図書館と著作権」
図書館業務を行う上で必要な著作権制度の基本的な知識と、閲覧、複写、貸出しといった実務で、著作権法上の判断を正しく行う手順や考え方について学びます。
(6)「和書のさまざま」
書誌学の入門として、和書のさまざまな形態を体系的に説明しながら、日本の古典籍がどのような姿で読み伝えられてきたか紹介します。国文学研究資料館の同名の電子展示を元に作成した講座です。
(7)「資料デジタル化の基礎」
デジタルアーカイブ事業の進め方と、資料をデジタル化する際に必要となる技術や権利処理についての基礎的な知識を学ぶ講座です。平成23年に集合研修として開催された「資料デジタル化研修(基礎編)」を元に構成したものです。
3. さまざまな工夫
一般に受講者が学習意欲を持続することが難しいといわれる遠隔研修ですが、当館では受講期間中に定期的に励ましのメールを送付するとともに、一定の要件を満たして学習を終了した受講者に修了証書を発行するなどの対応を行っています。
さらに、FAQやヘルプデスクなど、学習をスムーズに進めるための機能を備えるとともに、印刷用教材(PDFファイル)を用意して、受講期間が終了した後でも復習ができるようにしています。
4. 受講者からの声
平成18年度からの開始以来、5年間で延べ5,000人を超える図書館員が受講しました。支部図書館、専門図書館からは延べ660人の方が受講しています。定員は年々拡大しており、平成24年度は1年間で1,450人に受講していただく見込みです。
受講後のアンケートでは、80%以上の方に、内容について満足したとお答えいただいています。そのほか、空き時間に勉強できる点が良かった、操作方法もわかりやすくスムーズに学習できた、などの声が寄せられています。
5. 受講の手続き
最後に遠隔研修の受講方法をご紹介します。
当館ホームページの「図書館員の方へ」の「図書館員の研修」から「国立国会図書館遠隔研修ポータル」へと進みます。

国立国会図書館遠隔研修ポータル
ページの中央に開講講座の一覧が表示されています。講座案内のページでは、各講座の詳細な内容をご覧いただけます。
お申込みの際には、受講環境などをご確認いただき、募集期間内に「受講申込みへ」ボタンから、申込みフォームに必要事項を記載の上、お申込みください。募集は先着順です(平成24年度の募集は、前期は6月、後期は11月に行いました。次の募集は来年度になります)。募集開始のご案内は、当館ホームページの「図書館員の方へ」にある「図書館へのお知らせ」のほか、メールマガジン『図書館協力ニュース』でもお伝えしますので、図書館協力ニュースもあわせてご確認・ご登録ください。
お申込みいただいた後、事務局からIDとパスワードをメールでお知らせします。このIDが届いたら、すぐに「学習開始」画面から受講可能です。
図書館員の皆さまのスキルアップに、さらには、図書館内における研修計画の一環として、国立国会図書館の遠隔研修をぜひご活用ください。

