びぶろす-Biblos
58号(2012年11月)
1. 【特集 関西館10周年】
アジア情報室の資料・情報サービス
国立国会図書館関西館アジア情報課
福山 潤三
はじめに
関西館の地下1階には、サッカー場とほぼ同じ広さの閲覧室があります。その東側約3分の2が、人文・社会・自然科学各分野の資料を幅広く揃えた「総合閲覧室」で、西側の約3分の1が、今回紹介する「アジア情報室」です。
当室は、平成14年10月の関西館開館以降、関西館の基本機能の一つである、アジア文献情報センター構想を実現するため、来館・遠隔の両面にわたるサービスを展開してきました。本稿では、当室の概要に触れた上で、支部図書館、専門図書館のみなさまの役に立ちそうなサービスを紹介いたします。
1. アジア情報室の概要
主題分野別に分かれている東京本館の専門室とは違い、当室は「アジア」という地域を対象としています。レファレンス事例を見ても、中国の漢詩、韓国の選挙、インドの市場動向など、扱う分野や言語の幅広さが特徴と言えるでしょう。中国語、朝鮮語をはじめとして、東アジア、東南アジア、南アジア、中央アジア、中東・北アフリカの各地域で使われている、多様な文字で書かれた資料を取り揃えています(表参照)。また、約3万点の資料を開架する閲覧室には、日本語や欧米言語の資料も備えており、アジア言語の知識がなくても情報を得られるよう留意しています。
| 言語 | 図書(冊) | 雑誌(誌) | 新聞(紙) |
|---|---|---|---|
| 中国語 | 261,534 | 4,224 | 363 |
| 朝鮮語 | 31,637 | 2,793 | 173 |
| アジア諸言語欧米言語など | 53,618※ | 832 | 151 |
| 計 | 346,789 | 7,849 | 687 |
※欧米言語約19,000冊、インドネシア語・マレーシア語約13,000冊、ベトナム語約4,300冊、タイ語約4,000冊、ペルシャ語約3,000冊、アラビア語約3,000冊、トルコ語約2,000冊、ビルマ語約1,700冊、ヒンディー語・サンスクリット語約1,000冊、モンゴル語約700冊など

2. 資料の検索・各種サービス申込み方法
このように、様々な言語の資料がありますが、当館のNDL-OPACは、長らく多言語対応ができなかったため、別途、アジア言語OPACという検索システムを運用していました。そのため、閲覧申込みのために、請求記号などを紙に記入し、カウンターに提出してもらう、という面倒な手続きが必要でした。
しかし、平成24年1月に、システムの統合が実現し、ほとんどのアジア言語資料についても、NDL-OPACで検索し、書庫資料閲覧などのサービス申込みができるようになりました。支部図書館、専門図書館からも、NDL-OPACを使って、資料の遠隔複写や、貸出しをお申し込みいただけます。
また、レファレンスについては、電話や文書で受け付けています。
3. インターネットでの情報発信
当室は、インターネット上での情報発信を進めています。以下、調べものに役立つ情報をまとめた当館の「リサーチ・ナビ」で公開している「アジア諸国の情報をさがす」から、4種類のコンテンツを紹介いたします。
(1)アジア情報の調べ方案内
アジアという切り口から、様々な分野に関する情報の調べ方を紹介したものです。「統計の調べ方」、「アジアの特許情報」、「中国ビジネス関連の法令・制度」などのテーマごとに、日本語資料や、インターネット情報も含めて、参考になる資料・情報源を記載しています。
(2)AsiaLinks -アジア関係リンク集-
アジア各国・地域のインターネットサイトへのリンク集です。各国・地域の事情・基本情報、学術情報、ビジネス情報を中心に、アジア情報課職員が有用かつ信用できると判断したサイトを紹介しています。
(3)アジア情報機関ダイレクトリー
日本国内で、アジア関係資料を所蔵する機関を紹介したダイレクトリー(名鑑)です。
(4)『アジア情報室通報』
アジア各国・地域の図書館・出版事情や、新着参考図書紹介、レファレンスツールの紹介などを掲載する季刊誌です。紙媒体で発行している内容を、PDFとHTMLの各形式で公開しています。
4. 関係機関との連携・協力
関西館は、今回の特集で取り上げている遠隔研修など、図書館協力活動に注力しています。関連して、当室が開催している研修と、懇談会をご紹介いたします。
(1)アジア情報研修
アジアに関する資料・情報を扱う国内の図書館職員の方々などを対象として、毎年1回、関西館で開催している研修です。中国語資料の概論・統計情報・人物情報や、インド関連情報など、毎年テーマを変えて、アジアに関する情報源についての講義や実習を行っています。実際に資料やデータベースを使いながら、丁寧に説明いたしますので、ぜひご参加ください(平成24年度は、年明けの開催を予定しています。過去の研修資料の一部については「アジア情報研修」として掲載していますので、ご参照ください)。
(2)アジア情報関係機関懇談会
国内のアジア関係情報を扱う図書館などの担当者が集まり、意見交換や、課題の共有を図る場として、毎年1回開催しています。
最後に
以上、アジア情報室のサービスをご紹介しました。全国各地で活動されている支部図書館、専門図書館に対して、当室が役割を果たすためには、立地に左右されないサービスの展開が重要であると考えています。今後は、インターネットを通じた情報発信や、関係機関間のネットワーク強化に、より一層力を入れていきます。

