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トップ > 刊行物 > びぶろす > 電子化54号(2011年11月)

びぶろす-Biblos

電子化54号(2011年11月)

びぶろす

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412
2.【特集:災害と図書館】独立行政法人 防災科学技術研究所 自然災害情報室の紹介

堀田 弥生


1.はじめに

 1959年に5,000人以上の犠牲を出した伊勢湾台風の後、防災科学技術を総合的に研究する社会的機運が高まったことを受け、1963年科学技術庁(現文部科学省)所管の国立試験研究機関として防災科学技術センター(現防災科学技術研究所)が発足しました。
自然災害情報室は、独立行政法人防災科学技術研究所法第十五条第四号にある「防災科学技術に関する内外の情報及び資料を収集し、整理し、保管し、及び提供すること」の実務を担う、災害・防災に関する専門図書館です。現在は研究部門に所属しており、災害・防災に関する資料収集に重点を置いています。


2.大災害と防災科学技術研究所の歩み

 防災科学技術研究所の研究分野は地震・火山、耐震、水・土砂、雪氷、リスク研究と今でこそ多岐にわたっていますが、設立時は風水害関係の1研究部から始まりました。その発展は社会的に問題となった大災害と密接な関わりがあります(写真でみる災害年表と研究所の沿革176~177p、文末略年表参照)。設立初年には「三八豪雪」が発生し、翌年に雪害実験研究所(現雪氷防災研究センター)が開設しました。1964年の新潟地震では液状化現象の被害から耐震研究が発展しました。最大の転機は1995年の阪神・淡路大震災で、震災以後高密度な地震観測網を敷設、データ公開し、緊急地震速報の研究開発も行われました。兵庫県三木市に建設されたE-ディフェンスは実大規模の建物を破壊することができる世界最大の装置です。


3.利用案内と所蔵資料の紹介 <<蔵書検索試験公開中>>

 防災科学技術研究所は茨城県つくば市、つくばエクスプレスつくば駅から北に約6kmに位置します。ガラス張りの研究交流棟2階に閲覧室があり、平日9時30分~17時に開室しています1。どなたもご利用いただけますが、外部利用者への貸出しは他で入手できないものや当研究所刊行物など、一部の資料のみです。

(震災前の閲覧室)
(震災前の閲覧室)

 防災科学技術研究所の開設は1963年と比較的新しく、古い資料は多くありません。蔵書数は約15万冊(雑誌13万冊、図書2万冊)で、自然科学系の資料が圧倒的多数を占めます。重点を置いて収集してきたものには、自然災害の報告書や記録、災害空中写真や災害写真があります。これらは一般書とは区別し、災害の種類によって年代順もしくは地域別に配架されています。
また、特徴ある資料としては子ども向けの災害・防災の本を集めた防災教育コレクション(団体貸出可)、水害ハザードマップの原型となった水害地形分類図などがあります。自然災害情報室で用いられる分類は所内研究分野をベースにした独自分類で、大分類は以下のとおりです。

(1)参考図書 (2)災害全般 (3)防災研究 (4)地震災害
(5)耐震研究 (6)火山災害 (7)土砂災害 (8)雪氷災害
(9)洪水災害 (10)沿岸災害 (11)津波災害 (12)気象災害
(13)気候災害 (14)環境災害 (15)その他の災害(人災・原子力災害等) (16)基盤研究(NDC分類)

4.情報発信

 自然災害情報室では収集した資料を用いてWebコンテンツを製作し、公開しています。防災基礎講座や、災害写真年表、過去の大災害を特集したコンテンツのように災害・防災の知識を学べるサイトは人気があります。火山ハザードマップデータベースは日本火山学会との協力で作成した、日本の活火山のハザードマップが網羅されているデータベースです。その他、メールマガジン「自然災害情報の収集・発信の現場から」を月に1回刊行し、隔月で災害資料を所蔵する図書館等を紹介するコーナーも設けています。

(日本の活火山のハザードマップを網羅した「火山ハザードマップデータベース」)
(日本の活火山のハザードマップを網羅した「火山ハザードマップデータベース」)


5.東日本大震災の資料収集み

 自然災害情報室では大きな災害が発生すると、資料が出回るタイミングから大きく3回に分けて資料収集を実施します。まず災害発生直後に、被災県を中心とする地方新聞を購入します。東日本大震災については被害が大きかったことから、9月末までの約半年間、14紙の地方新聞等を購入し、一部は今も継続中です。次に災害発生後2~6カ月を目安に出版される図書を、解題や目次情報を手掛かりに収集します。その次は半年~1年後に取りまとめられる学会の専門的な調査報告や、自治体や機関の各種報告書を的に絞り収集します。今回の震災では普段は収集対象としない一般雑誌についても、記事の推移をみるために9月末まで継続収集しました。


6.東日本大震災の情報発信

 自然災害情報室では、東日本大震災発生直後にリンク集や調査速報、過去に発生した三陸地震津波に関する資料を紹介する特設サイトを立ち上げました。また、防災科学技術研究所全体の取り組みで興味深いものを以下にご紹介します。

  • ALL311:被災者を支援するツールを提供しています。震災を記録する「311まるごとアーカイブス」活動も始まりました。
  • 強震モニタ:今現在の日本列島の揺れが一目で分かり、人気を集めています。より専門的には地震観測網ポータルで震源、マグニチュード等の情報が速報で得られます。高感度地震観測網で観測されたデータは、直接、気象庁や大学等にも伝送され、緊急地震速報の提供や余震の震源決定等のための基礎データとして利用されています。

7.東日本大震災での被災 -おわりに代えて-

 東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 災害に関する資料をこれまで扱ってきながら、自身の職場がこのような被害を受けるとは想定していませんでした。茨城県では地鳴りを伴う震度3~4の地震が度々発生しますが、震度6弱を体験したのは初めてです。3月11日も初めはいつもの地震かと思いましたが、揺れが収まらず大きくなる一方で立っていられなくなり、書棚の資料が床に落ちていくのが見えましたが何もできませんでした(被害状況写真)。大半を占めるレール式の書架は電動、手動を問わず破損し、片付けに書庫に入る度、利用者がいなかったのは本当に幸いだったと実感しています。建物に被害があり余震が続いたため、その後2ヵ月ほど別棟に避難しつつ、限定的に業務を継続しました。その間、所内ボランティアの方にも本の片付けに加わっていただき、大変ありがたく心強かったです。雑誌納入業者の中には一時的に納品を止めていただく配慮もあり、助かりました。
現在は年度内の閲覧室復旧を目指し、室員一丸となり努力しています。千年に一度といわれる災害の記録を、今後必要とするであろう方々のために収集・整理・保管し、災害の記憶の一片として継承していく所存です。

 

1現在は東日本大震災の被害により一部資料が取り出せないなど、利用に制限があります。閲覧ご希望の方は事前にお問い合わせ下さい。

付録 防災科学技術研究所略年表

1959年9月 伊勢湾台風(死者・行方不明者5000人以上の被害)
1959年11月 日本学術会議、防災に関する総合調整機関の設置を勧告
1961年11月 災害対策基本法成立、翌年総理府中央防災会議設置
1963年4月 防災科学技術センター開設(東京都、現防災科学技術研究所
1963年1月 三八豪雪(死者・行方不明者228名)
1964年4月 第2研究部資料調査室(自然災害情報室前身)発足、翌年企画課へ移管
1964年6月 新潟地震(地盤液状化の被害顕著、耐震工学研究の推進へ)
1964年12月 雪害実験研究所開設(新潟県長岡市、現雪氷防災研究センター
1965年8月 松代群発地震(2年以上継続、最大661回/日の有感地震を観測)
1967年2月 松代地震センター、気象庁精密地震観測室内に開設(長野県松代町;現長野市、職員を1名派遣)
1967年6月 強震観測事業連絡会議、防災科研に設置
1967年6月 平塚支所開設(神奈川県平塚市;波浪等観測、2008年3月移管)
1969年10月 新庄支所開設(山形県新庄市)
1970年6月 大型耐震実験施設完成(茨城県つくば市;筑波研究学園都市建設第一号)
1974年3月 大型降雨実験装置完成(茨城県つくば市;降雨強度200mm/時間)
1975年10月 研究本館完成(茨城県つくば市)
1976年10月 地震予知推進本部設置(内閣府)
1978年6月 大規模地震対策特別措置法成立(東海地震の対策へ)

(1981年当時の防災科学技術センター)
(1981年当時の防災科学技術センター)

1984年3月 関東・東海地殻活動観測網整備完成(70地点のデータをつくばに送信)
1990年6月 防災科学技術研究所に改組、資料調査室、先端解析技術研究部情報解析室へ改組
1995年1月 阪神・淡路大震災 (兵庫県南部地震)

(阪神・淡路大震災で倒壊した高速道路(井口隆氏撮影))
(阪神・淡路大震災で倒壊した高速道路(井口隆氏撮影))

1995年7月 地震調査研究推進本部設置(総理府、現文部科学省)
1997年3月 雪氷防災実験棟完成(山形県新庄市、天然積雪に近い実験環境を再現)
1997年8月 「地震に関する基盤的調査観測計画」発表(全国的地震観測網の建設)
1999年4月 情報解析室、防災研究データセンターへ移管
2001年1月 省庁再編に伴い文部科学省へ所管変更 、同4月独立行政法人へ移行、情報解析室、
自然災害研究データ室と統合、防災研究情報センター自然災害情報室へ改組
2001年4月 地震防災フロンティア研究センター、理化学研究所より移管(兵庫県神戸市、2011年3月廃止)
2003年3月 研究交流棟完成(茨城県つくば市)、自然災害情報室移転

(現在の防災科学技術研究所)
(現在の防災科学技術研究所)

2005年3月 実大3次元振動破壊実験施設(E-ディフェンス)完成(兵庫県三木市)
2011年3月 東日本大震災
2011年4月 社会防災研究領域アウトリーチセンター自然災害情報室へ改組

防災科学技術研究所研究資料 第327号「防災科学技術研究所 45年のあゆみ」より一部引用・編集)

(独立行政法人 防災科学技術研究所 自然災害情報室)

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