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トップ > 刊行物 > びぶろす > 電子化49号(2010年8月)

びぶろす-Biblos

電子化49号(2010年8月)

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412


2.農林水産関係試験研究機関総合目録の紹介

林 賢紀

1. はじめに

 支部農林水産省図書館農林水産技術会議事務局筑波事務所分館(農林水産研究情報総合センター、以下「筑波事務所分館」とします。)では、自館の目録もさることながら、農林水産政策研究所分館及び農林水産省が所管する試験研究を業務とする6つの独立行政法人の研究拠点に置かれた合計70の図書室(以下「試験研究機関図書室」と総称します。)での目録作成、相互依頼業務など図書館業務の共通化と総合目録の構築を図るため、農林水産関係試験研究機関総合目録を運営しています。本稿では、その成り立ちや機能などについてご紹介します。


農林水産関係試験研究機関総合目録トップページ
図1 農林水産関係試験研究機関総合目録 トップページ( http://library.affrc.go.jp/
このページから、簡易検索のほか新着資料案内、各機関図書室の利用案内などへリンク

2. 成り立ち

 農林水産省の試験研究機関はその試験研究の特性から全国に分散して配置されており、筑波に設置された大型汎用機の共同利用のために昭和54年より全国の主要な研究機関をオンラインネットワークで相互に接続し、平成4年度からはインターネットに接続されました。このネットワーク上で文献情報データベースを昭和59年より提供していましたが、各試験研究機関図書室での図書・雑誌の管理はカード目録あるいは「桐」などの市販ソフトウェアによって個別に行われており、各機関間での書誌所在情報の共有が研究者を始めとする利用者より強く求められていました。

 これを受けて「図書資料管理システムを中心とするネットワーク化について(基本構想)」の策定が平成5年度から開始され、以下の考え方に基づいた機能を持つ図書資料管理システムの導入が平成6年に決定しました。

  • 図書資料管理システムの基本的な考え方
    • 通常の図書資料管理業務ができるだけでなく、全機関間で書誌所在情報等の供給が可能であり、かつ、相互に情報を利用できること。
    1. 品質の高い書誌所在情報データベースの構築
    2. 所在情報の共有による所蔵図書資料等の全機関での相互利用拡大
    3. 所在調査から各種依頼までをオンライン化することによる情報収集の迅速化、効率化
    4. 高機能な図書資料管理システムの全機関統一整備による業務の機械化、効率化の推進
    5. 情報資料課(注:当時の各試験研究機関での図書館運営担当課)等における図書資料サービス機能の拡大
    6. 書誌所在情報データベース等の24時間利用及び外部への公開
    7. 大学及び他省庁等、外部機関との情報交流拡大

 平行して、書誌入力基準やシステムの詳細仕様の検討が進められ、平成9年1月に導入されたシステムの試行運用を開始し、また各種のソフトウェアで管理されていた約28万件の書誌情報を初期データとしてシステムに投入、同年4月よりまず図書資料の受入管理より図書資料管理システムの運用が開始されました。

3. 機能の段階的な電子化と強化

 こうして図書資料管理システムの運用が始まりました。当時はインターネット上の複数の図書館をまとめて取り扱える既製品の図書館システムはなく、一から開発を行い作成されたシステムであったため、担当者のニーズに合わせたカスタマイズが容易であった反面、不具合の多発に悩まされました。また、各試験研究機関図書室での従来の業務をシステムに反映して欲しいとの要望も高く、異なる要望を調整しどのように実装するか、筑波事務所分館内でも議論を重ねました。利用についての問い合わせや不具合の報告はメーリングリストを活用して行われ、開発業者との窓口や調整に当たる筑波事務所分館と各試験研究機関図書室担当者が相互に意見を交わし質問を整理しつつ、機能強化や改善を図ってきました。一方で、開発業者に対しては、図書資料の受入や配架、貸出返却処理などの実業務を筑波事務所分館で数日間体験させ、こちらが求めている機能の理解の助けや業務効率化へ向けた提案の基礎として頂きました。

 機能強化については、各機関での業務の電子化、図書資料管理システムへの移行を勘案しつつ進め、雑誌受入機能の導入、試験研究機関図書室内での資料の貸出・返却機能、相互依頼業務など担当者向け機能の整備と提供を平成12年度までに、システム更新が行われる平成13年度にオンラインでの複写依頼など利用者からの機能について整備を進めました。

 利用者向け機能についても、テストを重ね問題点を抽出しつつ行いました。省内向けのOPACについては平成10年から公開、またオンラインでの複写依頼についても平成10年末から試行を開始しました。この時点では、図書資料管理システムを介さずにWebのフォームに入力した内容を各試験研究機関図書室担当者にメールで送信するだけの簡単なものでしたが、担当者からの要望を受け過去の依頼情報のダウンロード機能や、翌11年にはOPACの検索結果を自動的にフォームに入力しての複写・貸出依頼機能の追加などを行い、次期のシステム更新に備えた機能の評価と試行を行いました。

 導入から最初のシステム更新までの4年間で連絡用のメーリングリストで流れたメールは2千通近くに上り、担当者同士で密に連絡を取り合い皆で作り上げたシステムとも言えます。

4. 省外に向けたサービスの強化

 平成12年度のシステム更新では、OPACなど利用者向け機能の強化の他、NACSIS-CAT/ILLとの連携、また機関相互の複写依頼・相互貸借機能を整備し、機能面では一通りの業務が行える体制が整いました。各試験研究機関図書室での業務も徐々に図書資料管理システムへの移行が進み、平成16年度のシステム更新時には従来の紙による複写依頼がほぼ無くなり依頼から3日程度、筑波の農林研究団地内では最速で当日のうちに複写物を送信できるなど、この4年間で業務の電子化・効率化はほぼ達成できたと言えます。中でも、統一したシステムの整備により、人事異動により他の試験研究機関図書室に配置換えとなっても、慣れ親しんだ同じシステムでサービスや業務を行えることはサービス水準の維持向上に繋がり、大きな効果があります。また、対外的なサービスとして、省外へのOPAC公開を平成14年1月から開始したことにより、各試験研究機関図書室が所蔵する研究報告類など、いわゆる灰色文献の相互利用が可能となりました。

 また、従来は図書資料管理システム独自で管理していた利用者情報を農林水産研究計算センター(現在は農林水産研究情報総合センターと統合。)の利用者管理データベースと連携を図り、約1万人を超える登録利用者の所属変更や新規登録作業などを省力化したほか、複写依頼などの際の利用者認証が他のシステムと共通化されました。

 続く平成16年度、20年度のシステム更新では、業務システムの安定運用を受けて対外的な情報提供に主眼を置いた機能強化を開始しました。新着受入情報のRSSによる配信もその一つです。Webサイトの新着情報の配信に多く利用されているRSSですが、筑波事務所分館ではこれを新着資料の配信に活用しています(図2)。


MAFFIN News Feeds Center
図2 MAFFIN News Feeds Center(http://www.affrc.go.jp/ja/rss/)での筑波事務所分館の新着資料の表示例


 資料を受け入れる度にWebサイトを更新する手間が省けるほか、Google、Yahoo!などの検索エンジンのロボットがこれらの情報を収集し、結果としてGoogleから農林水産関係試験研究機関総合目録の内容が検索できる、などの効果も生じています。

 また、既存のインターフェースに依存せずにどこからでも検索できることも特徴の一つです。OPACの検索画面以外でも、Webブラウザの検索バーや国立国会図書館デジタルアーカイブポータル(PORTA)など外部のサーバと連携し検索ができるなど、さまざまな箇所から検索できることで利便性の向上を図っています(図3)。


「どこからでも」-既存のインターフェースに依存せず利用可能なOPAC
図3 「どこからでも」-既存のインターフェースに依存せず利用可能なOPAC


5. 現況

平成22年3月末現在の所蔵件数、OPACへのアクセス件数(平成21年度累積)は以下の通りです。OPACについては農林水産省外からの利用がやや多いことも特徴の一つです。

図書資料
書誌件数
図書資料
所蔵件数
雑誌
タイトル数
雑誌
受入冊数
OPACアクセス件数 うち省外からのアクセス件数
1,098,469 1,244,870 156,854 2,712,561 504,253 256,230
6. 今後の課題

 積み残している課題も多々あります。初期の構想の一つである「品質の高い書誌所在情報データベースの構築」に対して、重複書誌の多さ、運用開始時に投入した初期データの記述の精粗などが一例です。単館ではなく70拠点でパラレルに業務が行なわれ書誌情報を入力していることも遠因ですが、毎月約400件の書誌を重複書誌として削除しているのが現状です。契約職員、非常勤職員を含め、担当者向けに毎年システムの利用方法の講習会を開催し、今年度からはインターネットで中継を行い遠隔地の担当者でも筑波とほぼ同じ環境で受講できる環境を整備していますが、職員のスキルの維持と継承は課題の一つです。筑波事務所分館における図書資料管理システムの維持管理も同様で、目録規則の教授から書誌の調整、さらには新たな技術の習得や図書館業界の動向の把握とシステムへの反映など、より高度なサービスを実現するためには日々の研鑽が欠かせません。

 また、NACSIS-CATとの連携を行っていますが、書誌レコードの流用が新規の書誌・所蔵レコードの登録数を上回る、いわば「Give and Take」の「Take」が先行している状態です。他にはない灰色文献を多く所蔵していること、また国内の学術情報流通の強化の観点から、NACSIS-CATへの所蔵登録と研修など必要なスキルの確保に努め、より多いアクセスポイントから各試験研究機関図書室の所蔵情報にアクセスを可能にすることも今後の目標の一つです。

7. おわりに

 運用開始から約10年、当初の構想の多くは実現しました。その経過を改めて振り返ってみると、正規職員が減少している図書館の現場において、必須である図書館システムを筑波で集中管理し各試験研究機関図書室でこれを並列的に利用する、いわば図書館システムのASP(Application Service Provider)サービスを実現し、小規模な研究機関図書室でのシステム利用の一つの解を先取りしたシステム構築が行えたのではないかと考えます。

 今後とも、農林水産分野に特化した特色ある総合目録を提供することで、農林水産研究の支援とその成果の一般への普及の一助となれば幸いです。

(支部農林水産省図書館農林水産技術会議事務局筑波事務所分館)


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