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トップ > 刊行物 > びぶろす > 電子化48号(2010年5月)

びぶろす-Biblos

電子化48号(平成22年5月)

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412


2. 財団法人 国際文化会館図書室の紹介

林 理恵

国際文化会館
© 国際文化会館

1. 国際文化会館とは

 国際文化会館は、民間の非営利団体であり、日本人と米国その他の諸国人との間の文化交流と知的協力をもって国際親善と理解を増進する目的のもとに1952年に設立されました。現在では、国際文化交流という言葉はよく聞かれますが、当時このような理念のもと、設立された団体は数少なかったようです。
 当時の日本は終戦後の米国を中心とした連合軍による占領期から間もなく、日常生活も容易ではない社会状況でありましたが、ジョン・D・ロックフェラー三世や吉田茂首相など様々な人々からの援助と、新渡戸稲造(元国際連盟事務次長)の薫陶を受けた高木八尺(東京大学名誉教授)や松本重治らの意志に賛同する人々からの支援をもとに、ロックフェラー三世と松本の二人の友情と情熱によって国際文化会館の設立は成し遂げられました。


国際文化会館資金委員会発足式(1952年11月)吉田首相による挨拶(首相官邸にて)
国際文化会館資金委員会発足式(1952年11月)
吉田首相による挨拶(首相官邸にて)

準備会合でのロックフェラー三世と松本(写真中央松本重治) © 国際文化会館
準備会合でのロックフェラー三世と松本
(写真中央松本重治) © 国際文化会館

 事業の柱である人物交流は、知識人の招聘と派遣、講演会、セミナーや国際会議の開催、図書室活動として展開されてきました。日米を中心に始まった人物交流事業は、その後、他の地域にも広がりを見せています。
 そして、名造園家七代目小川治兵衛の作庭した庭園を臨む、日本近代建築界の巨匠である前川國男、坂倉準三、吉村順三が共同設計した建物では、人と人とが出会い、交流を深める場である宿泊施設、会議室、レストランが運営されています。2005年から1年をかけて、日本建築学会の協力により建物の保存再生工事が行われ、2006年には日本のモダニズム建築を代表する文化庁登録有形文化財に登録されました。そして今年58年目を六本木鳥居坂にて迎えます。


国際文化会館

 国際文化会館に寄せられたいくつかの詩の中から、英国の詩人エドマンド・ブランデン氏が1960年によんだ詩を以下に紹介します。50年を経た現在も、この詩は国際文化会館の性格を表現しています。

国際文化会館
© 国際文化会館

2. 図書室について

閲覧室と新渡戸稲造の[晴耕雨読]
閲覧室と新渡戸稲造の[晴耕雨読]

© 国際文化会館
© 国際文化会館

 図書室は福田なおみを初代室長として1953年に設置されました。福田は、米国ミシガン大学で図書館情報学の修士を取得し、米国議会図書館東洋部(当時)で働いた経験をもつ人物でした。帰国後は、国立国会図書館設立の際に米国使節団と日本側の橋渡し的役割を務めました。
 このような経歴をもつ福田が図書室に導入したのは、開架式書架の設置、書籍に加え蔵書としての雑誌の提供、レファレンス業務や情報の出典等を利用者に紹介するレフェラルサービスの提供などの米国式図書館運営であるといえます。

 また、福田は自分が運営する図書室のみならず、日本図書館界にもこの運営方法の紹介を行い、戦後の日本図書館界を牽引する人材の育成に努めました。以下にその一部を記します。

  • ‐ 1951年に戦後初めて設置された慶応義塾大学図書館学科(当時の名称)の設立への尽力
  • ‐ 1955年から国際文化会館会議室で「図書館建築と機能」、「図書館間の協力」などの研究会を開催し、日本の図書館界の人材育成に寄与
  • ‐ 戦後の図書館設計の第一人者である鬼頭梓氏への助言
  • ‐ 1959年に「アメリカ図書館調査団」の団長として調査団を組織し、米国の図書館事情を視察し、米国図書館界と日本図書館界との橋渡しと、日本人司書に米国の図書館事情を紹介
  • ‐ 日本の参考図書書誌の編纂

初代室長 福田なおみ氏(右)© 国際文化会館
初代室長 福田なおみ氏(右)
© 国際文化会館

インド首相ジャワハルラル・ネルー氏、図書室にて国賓として来日の際、会館にて講演(1957年10月)© 国際文化会館
インド首相ジャワハルラル・ネルー氏、図書室にて
国賓として来日の際、会館にて講演
(1957年10月)© 国際文化会館

 設立当初は、会員のための新刊書の参考図書室として「アジアの一員としての日本の立場上、ときにはなおざりにされがちであったアジア諸国に関する図書を重点的に収集する」という方針で運営されていた図書室は、1970年代に入り日本への関心の高まりにより、日本関係資料図書館としての性質を強めてゆきました。1980年代には世界からの日本への関心の高まりによる来日研究者の増加により、日本研究図書館としての方向性を明確化しました。そして、1990年代を通してその存在を確立したのです。
 日本研究図書館へと特化してゆくなかで、「外国語による日本関係図書展」と題した展示会の開催をしました。また、「日本研究司書研修」などを実施し、日本情報専門家としての司書の育成と、国際的な日本関連図書館のネットワーク(協力関係)構築に努めました。

外国語による日本関係図書展(1973年10月)© 国際文化会館
外国語による日本関係図書展(1973年10月)© 国際文化会館


 このように国際文化会館図書室の歩みは、国際社会の中での日本のありようの変化がそのまま運営に反映されてきました。国際文化会館の図書室の特色と伝統は、利用者である国内外の研究者、ジャーナリスト、芸術家、また図書館界との交流を基礎として運営されてきたことにあります。
 21世紀に入り、インターネット・電子媒体情報が普及し、海外出版物の入手が容易になった一方で、海外における日本研究への興味の減少などが言われることも多くなりました。これらの環境の変化と、今後の国際文化会館の運営の観点から、図書室の存在意義が再考されたこともありました。しかし、結論として国際文化会館は、国際的な学術・文化交流団体として、世界の中での日本認識における基盤となる日本研究の重要性を再確認しました。そして、2008年度に図書室のミッションを以下のように策定しました。

 国際文化会館図書室のミッション

 1. 目的
 日本研究のための資料・情報センターとして、日本と近隣諸国に関する資料および情報を収集し、内外の研究者等に提供することにより、日本と諸外国との知的協力に寄与すること。

 2. 業務
 (1)収集業務
・ 日本と近隣諸国に関する人文・社会科学分野の書籍、雑誌、電子資料、情報
 (2)提供業務
・ 資料を収集・整理し、オンラインによる蔵書目録を作成する。
・ 利用者に対して資料・情報の提供を行う。
・ 内外の関連機関と人的ネットワークを作り、相互協力、紹介、あっせんを行う。
・ 日本研究に関わる情報の発信。

 国際文化会館図書室は、日本情報を通じた国際的な学術交流や協力活動などの人的交流を特色とする小規模な専門学術図書館です。以前は、宿泊をする外国人研究者や、外国人留学生が利用するという形式でしたが、近年では図書室の利用方法は多様化しています。国際文化会館以外の長期滞在型アパートメントホテルや大学宿舎から図書室に通いながら、調査研究を行う利用者の方も増えています。また利用者の中には、海外の大学に属し、日本にいながらにして所属組織の図書館の電子資料を自由に利用できる方々も少なくありません。
 今後の図書室は、このような状況の中でよりよいミッションの達成をめざして、業務に励みたいと考えています。

 * 国際文化会館図書室の情報については、以下よりご覧いただけます。
 http://www.i-house.or.jp/jp/library/top.htm

(財団法人 国際文化会館図書室長)

(参考文献)
松本重治 編 『国際文化会館10年の歩み』 国際文化会館 1963年
国立国会図書館五十年史編纂委員会 編 『国立国会図書館50年史』国立国会図書館 平成11年
加藤幹雄 編著『国際文化会館50年の歩み 1952-2002』 国際文化会館 2003年
降旗高司郎、園田公博、上原亜季 編 『国際文化会館:東西文化の架け橋を目指して』国際文化会館 2009年
鈴木平八郎 著 『ツバキと馬と−随筆選集−』私家限定版 昭和63年
鬼頭梓+鬼頭梓の本をつくる会 著 『建築家の自由−鬼頭梓と図書館建築』 企業組合建築ジャーナル 2008年


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