びぶろす-Biblos
電子化47号(2010年2月)
- 発行:国立国会図書館総務部
(National Diet Library) - ISSN:1344-8412

4. 図書館勤務を終えて
五十嵐 晃
まず、農林水産省図書館に在籍しておりました平成19年4月から平成21年10月の間は、中央館並びに支部図書館の皆様にはご指導、ご助言を賜りましたことを、この紙面をお借りしてお礼を申し上げます。
今回は2年半の図書館在籍期間中に、図書館運営について考えたことを、率直に述べさせていただきたいと思います。少々極端な部分もあるかと存じますが、お付き合いいただければ幸いです。
近年のIT化の進展により、わざわざ図書館に足を運ばなくてもインターネットにより多くの情報を自席で得ることができる現状において、他館同様に農林水産省図書館の置かれている状況は厳しく、利用者数は微減傾向にあります。
また、最近のアンケート結果では、IT技術を活用した図書館サービスへの要望が寄せられており、将来に渡って図書館の必要性を利用者に理解していただくためには、以下に記述したように従来の図書館サービスの枠にとらわれず、付加価値の高いサービス枠にとらわれず、付加価値の高いサービスを提供するとともに、その付加価値を効果的に広報することの必要性を強く感じました。
1 サービスの付加価値について
現在はシステムがあることは当たり前と言われる時代であり、また、多くの図書館でメーカーは異なるものの、類似する機能を持つパッケージソフトウェアを採用している実態から、図書館の独自性や付加価値の大きいサービスをシステムによって実現することは困難であると感じました。
このため今後の図書館は、システム化や資料のデジタル化を進めつつも、図書館職員のスキルアップによりシステムでは対応出来ないきめ細かいアナログ的サービスを充実することが必要だと考えます。
一例として、熟練した職員のレファレンスは、システムでは実現できない漠然とした条件による検索が可能ですし、客観的な根拠はありませんが目的の本に達するスピードもシステムよりも早いことが多いように感じます。
また、農林水産省図書館が行ったアンケートの自由記入欄の利用者の意見・要望を読んでいても、システムによるサービスの評価は、それが優れたものであっても反応は淡泊ですが、カウンター職員が一生懸命本を探してくれたことは好印象として残るようです。
このようなことから、時代に逆行するようですが、システムでは対応出来ないきめ細かいアナログ的サービス、言い換えれば血の通ったサービス又は、相手の顔が見えるサービスの必要性を感じました。
しかしながら、これらの実現のためには個人のスキルアップ及び、その知識の継承という解決困難な課題があります。
残念ながら、この点については、自分なりの回答は持つことは出来ませんでした。
2 サービスの広報について
広報については、省内LANの電子掲示板等を活用して行って参りましたが、自分自身、日々多くの情報が掲載されることから全て目を通されないことも少なくなく、これらの電子媒体による広報は無駄ではありませんが、効果は薄いという思いを抱いてきました。
図書館の性格上、広報により飛躍的に利用者数が増えるとことは考えにくいため、新たな利用者開拓はもちろん重要ですが、継続的に利用してくれる『お得意様』を確保することに重点をおくことも必要だと考えます。
また、国民の多くは図書館に対して保守的なイメージを抱いていると思います。これを逆手にとって新しいことに取り組むことにより、このイメージを壊すということは効果的な広報となると考えます。
言い換えれば、広報媒体や内容を工夫してもサービスの内容が伴わなければ意味がありませんので、アンケート等を利用して利用者の声を把握し、期待に応えることが必要だと考えました。
3 最後に
昨年の10月以降は、一利用者として図書館を利用しています。
説明資料を作成するためには、自分の考えを裏付ける客観的な資料が必須であり、これらのデータが蓄積されている図書館の必要性を改めて感じています。
中央館を始め、支部図書館の更なる発展を祈念しております。
(元農林水産省図書館職員)
