• 利用案内
  • サービス概要
  • 東京本館
  • 関西館
  • 国際子ども図書館
  • アクセス
  • 複写サービス
  • 登録利用者制度
  • オンラインサービス
  • オンラインサービス一覧
  • 国会関連情報
  • 蔵書検索
  • 電子図書館
  • 調べ方案内
  • 電子展示会

トップ > 刊行物 > びぶろす > 電子化47号(2010年2月)

びぶろす-Biblos

電子化47号(2010年2月)

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412


2. 各国議会図書館をめぐる動向―国際図書館連盟(IFLA)年次大会およびプレコンファレンス出席雑感

矢部明宏

 2009年8月19日から27日にかけて、国際図書館連盟(IFLA)の「議会のための図書館・調査サービス分科会」(議会図書館分科会)第25回プレコンファレンスとIFLA第75回年次大会に出席した。以下、印象に残る各国議会図書館の動向について紹介したい。

プレコンファレンス(8月19日〜21日)

 議会図書館分科会第25回プレコンファレンスは、「民主主義のためのデジタル情報:管理、アクセスおよび保存」をテーマに、ローマの連合議会図書館を会場として、8月19日から21日にかけて開催された。68か国の議会、14の国際機関から約200名の参加者があった。
 二院制をとるイタリア議会には、上下両院に図書館が置かれている。上院図書館は、ローマ中心部のミネルバ宮に、下院図書館は、同じくセミナリオ宮に置かれている。ミネルバ宮とセミナリオ宮は、方形の連続した建物である。かつての修道院を改装したもので、当時の回廊や壁画がところどころに残っている。両院図書館は、2003年以降、議員・議会関係者だけではなく、16歳以上の国民にもサービスを行っている。
 2007年に、総合的なサービスを提供するために、両院事務局が覚書を締結し、両院図書館から構成される連合議会図書館(Polo bibliotecario parlamentare)が設立された。これにより、両院図書館は、それぞれの院に所属する機関としての位置付けを維持しつつ、機能上の一体化が図られた。


連合議会図書館に残る壁画と回廊
(連合議会図書館に残る壁画と回廊)


 プレコンファレンスの19日と20日の会議では、イタリア議会関係者から、連合議会図書館の設立を中心に、図書館・調査サービスの進展についての報告が行われた。連合議会図書館では、設立後、両院図書館共通のOPAC(オンライン蔵書目録)の構築、資料貸出規則の統一、資料の分担収集などが実施された。また、国政審議を支える仕組みも強化され、議会図書館、議会予算部、EU部などの複数の組織が密接に連携して、審議参考資料の作成を行っている。特に、主要3分野(財政、外交、地方自治)については、上記組織が共同で文献センターを設置し、外部の専門機関とも協力しながら、調査資料の作成やセミナーなどを行っている。
 以上は、連合議会図書館の特色のある活動といってよいが、当館と類似の活動も行っている。例えば、下院図書館の「海外立法室」では、約80か国の議会文書、官報、外国語図書・雑誌を収集し、外国の法令に関する図書・雑誌を刊行しており、主要5か国(フランス、ドイツ、イギリス、スペイン、アメリカ)については、立法および議会活動の常時把握に努めている。このような活動は、当館調査及び立法考査局の議会官庁資料課および海外立法情報課の業務に類似している。
 その他イタリア議会関係者からの報告の中では、下院図書館長による、各国議会図書館の共通性と特殊性についての次のような内容の報告が印象に残った。「議会図書館を他の図書館と区別する点は、議会図書館が、国民とその代表を結び付けるという議会政治の究極的な目的に寄与することである。議会図書館が任務を果たす方法は、各国議会図書館の発達過程、その国の議会のシステムによって異なる。議会図書館には、議会のみにサービスを提供するもの、議会図書館でありかつ国立図書館としての役割を果たすものなどいくつかの類型があるが、何れも政治的意思決定に密接に関係する主題を最大限にカバーする『専門化したジェネラリスト図書館』である。」。


20日の会議
(20日の会議)


 プレコンファレンス20日の会議では、分科会役員から、分科会の活動報告、「議会図書館のためのガイドライン」についての紹介や「議会図書館におけるICT(情報通信技術)の利用に関する調査結果」の報告があった。「議会図書館のためのガイドライン」は、1993年にIFLAから最初の版が刊行され、その後の情報通信技術の進展等に伴い、改訂作業が続けられていたもので、この会議で、ほぼ完成した新版の内容が紹介された。その中では、議会図書館・調査スタッフの役割について、「図書館・調査スタッフは、広範かつ多方面に及ぶ議員の役割を見据え、議員がどこで活動しようと、提供する情報が議員の必要に合致するものでなければならない」とされている。
 プレコンファレンス最終日の21日には、韓国、ノルウェーなど7か国の議会図書館から、各国の現状についての報告が行われた。

IFLA年次大会(8月23日〜27日)

 ミラノで開催されたIFLA年次大会では、24日に、議会図書館分科会と図書館史SIG(Special Interest Group)との合同セッション「変化するビジョン:議会図書館の過去、現在、未来」において、英国、ニュージーランドなど7か国の議会図書館の歴史とその直面する課題について報告があった。英国についての報告では、米国や我が国と異なり英国において、両院がそれぞれの図書館を持つという伝統が確固としたものになっていること、また、投票率の低下など国民の政治的関心が薄れる中で、議会が民主的正統性の維持を図るため、議会図書館が核となり、国民と議員とをより密接に結び付ける可能性があることが指摘された。


24日のセッション
(24日のセッション)


 25日には、IT分科会、知識管理分科会との合同セッション「学習および知識共有のためのソーシャル・コンピューティング・ツール」が開催された。ブログ、ツイッターなどの様々なツールが紹介され、チリおよびニュージーランド議会図書館から導入事例の報告があった。26日にロンバルディア州庁舎を会場として行われたワークショップでは、議会図書館の組織運営上の様々な問題について活発な議論が行われた。
 今回の会議を通じて、議会からの調査・情報要請の高度化にいかに対応するかをはじめ、各国の議会図書館・調査部門が抱える共通の課題とその解決に向けての具体的取組みを知ることができた。共通の課題に対して、その解決方法は、各国の議会システム、議会図書館の発展の歴史、議会を取り巻く状況により一律ではないことも窺うことができた。
 各国では、議会図書館と他の対議会サービスとの違いや議会図書館が果たすべき役割を明確化する取り組みも続けられている。現在、議会図書館の役割として、国民と議会(議員)とを結び付けることの重要性が広く認識されている。ウェブサイトによる情報提供機能の向上、議会文書のデジタル化および提供、施設の国民への開放は、各国に共通した動きである。ツイッターなどのソーシャル・コンピューティング・ツールは、今回の会議の1つのテーマとなったが、国民と議会(議員)との対話・交流を促進する手段としての活用が期待されている。
 また、議会図書館分科会は、各国議会の機能向上のため、特にICT分野において、国連、IPU(列国議会同盟)などとの協力を進めており、多国間協力の枠組みの多様化と深化を強く認識した。

参考資料
・イタリア連合議会図書館ウェブサイト
http://www.parlamento.it/polobibliotecario/44519/gencopertina.htm
・議会図書館分科会第25回プレコンファレンスウェブサイト
http://www.preifla2009.parlamento.it/ifla/45160/gencopertina.htm

(調査及び立法考査局次長)


このページの先頭へ