びぶろす-Biblos
平成21年冬号(電子化43号)
- 発行:国立国会図書館総務部
(National Diet Library) - ISSN:1344-8412

5. 平成20年度行政・司法各部門支部図書館職員司書業務研修
『特別科目 見学会:国立大学法人東京工業大学附属図書館』に参加して
髙橋 永壽
10月17日に「平成20年度行政・司法各部門支部図書館職員司書業務研修」の一環として、中央館である国立国会図書館の総務部支部図書館・協力課研修企画担当者に引率されて12名の支部図書館研修生が、目黒区大岡山にある東京工業大学(以下、東工大とする)の附属図書館(以下、大岡山本館とする)を訪ねた。研修生は大岡山本館4階の会議室に案内され、富田健市・情報図書館課長からパワーポイントを使った図書館についての詳細な説明を受けた。
東工大は1881年に設置された職工学校を前身とした127年の歴史をもつ理工系国立大学で、2000年にノーベル化学賞を受賞した白川英樹博士の出身校としても有名である。理学部、工学部、生命理工学部の3学部をはじめ、大学院研究科、附置研究所、研究教育施設などにより構成されている。大岡山本館は東工大の教授陣をはじめ研究員、大学生の学習や調査、研究を支援することを主な目的として設置されている。理工学を中心とした専門書、専門雑誌、学術文献、学位論文など77万冊以上の蔵書があり、そのうち60%程度を外国の図書が占めている。図書館利用者は年間のべ約47万人あり、東工大の関係者でなくても学習や調査、研究の目的で来館し所定の手続を行えば閲覧や著作権法の範囲内の複製、図書の借り出しが可能である。年間利用者の4%程度に当たるのべ約1万8千人が部外の利用者とのことである。
最近は多くの図書館が予算の減少や、特に外国雑誌の恒常的な値上がりという厳しい環境に置かれ、また、雑誌の電子ジャーナル化とその有料化も主流となってきている。さらに東工大では国立大学の法人化に伴う財政緊縮も加わり、図書資料の購入には相当の苦労があるようである。それでも、我が国最大の理工系大学の責務として、中核となるコア・ジャーナルや、多くの大学が購入できていないレア・ジャーナルの収集に、かなりの努力を払っているようである。
ところで、日本で出版された図書であればそのほとんどが、納本制度により国立国会図書館に所蔵されており利用できるが、外国の図書ではそういうわけにもいかない。そこで、国立大学には「外国雑誌センター館」という制度があると教えていただいた。この制度は、外国の学術雑誌を安定的に幅広く確実に収集するために文部省(当時)が1977年度から設けたもので、センター館制度の発足当初には、「理工学系」、「医学・生物学系」、「農学系」の3分野が設けられ、東工大と京都大はその内の「理工学系」のセンター館に指定されている。その後、1985年度以降には「教育・心理学を含む人文・社会科学系」が加わり、文理の4分野にわたり全国9つの国立大学図書館が外国雑誌センター館に指定され運営されている。このため、国立国会図書館や各支部図書館に所蔵されていない洋雑誌についてはこれらの大学図書館で閲覧できる可能性が高い。実際に、国立国会図書館から東工大を紹介されて利用している人もいるそうである。
大岡山本館の説明の後、堀松恵美子・総務グループ長に4階の会議室から1階に向かって降りる順路で、大岡山本館内を案内していただいた。4階は中国・朝鮮・ロシアの雑誌や東工大の学位論文が中心に排架されていた。3階、2階は和洋雑誌が中心だが、電子ジャーナル化され冊子の購読を中止したこと、あるいは冊子が印刷されなくなったことにより、雑誌名は書かれているのに空いている棚が目立つ程になっていた。2階には昨年の4月にオープンしたリフレッシュルームがあり、ここでは軽い飲食や携帯電話の通話も許可されている。厚い透明ガラスで仕切られたこの部屋では学生達が資料を広げながら楽しそうに談笑していた。1階は一般図書、新聞、新着図書などが排架されていた。大岡山本館はすべての階が開架式のゆとりのある配置となっており、すべての階にOPACが整備されていて、図書資料がたいへん見つけやすく思われた。レファレンスサービスも行き届いている様子だった。

(前列中央が筆者、前列一番右が東工大附属図書館総務グループ長)
なお、大岡山本館は建築後35年以上が経過し、耐震性が十分でないと判定されたため、2010年度の建替えを計画している。新築の図書館が完成したら再びこの見学会を組んでいただきたいと思いつつ東工大を後にした。
(支部気象庁図書館)
