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びぶろす-Biblos

平成21年冬号(電子化43号)

  • 発行:国立国会図書館総務部
    (National Diet Library)
  • ISSN:1344-8412


1. カナダ・ケベックシティにて得たもの
−−IFLA2008 参加報告−−

小田 光宏

小田教授
(筆者)

 2008年8月10日から5日間,カナダ・ケベック州の秀麗な都であるケベックシティにおいて開催された,国際図書館連盟(IFLA: Inter- national Federation of Library Associations and Institutions)の世界大会(World Library and Information Congress: 74th IFLA General Conference and Council)に参加する機会を得た。本大会については,大会の公式サイト1)で,その全容を知ることができる。また,大会終了後に,このサイトの一部に"Looking back on the Congress"というページ2)が加えられ,写真やビデオによって,再度,臨場感を味わうこともできる。
 なお,本稿では,筆者自身の体験に基づき,大会の様相を記したい。正直なところ,本稿を著すのに筆者が相応しいかどうか,依頼があったときにやや不安に思った。しかし,23年前の1986年に日本で行われたIFLA東京大会の主会場が,現在私が勤務する青山学院大学であるため,こうした機会を与えられたことも,一つのご縁と考え,お引き受けした。

大会の構成

 本大会は,"Libraries without borders: Navigating towards global understanding"を基調テーマとするものであるが,このテーマのみを取り扱う会議では決してない。基調テーマを意識しながらも,図書館に関係する100をはるかに超える様々なテーマを掲げた分科会等が開かれ,活発な意見交換が行われる世界的な図書館界のイベントである。
 まず,筆者なりに,一般参加者の視点でおおまかに整理すると,本大会は,次のような構成と内容であった。

(1) 全体会:開会式,閉会式といった行事のほかに,地域の社会と文化を紹介する活動(social and cultural activities)として,伝統芸能の公演や舞台でのイベントが行われた。これは,世界各地からの参加者に,開催地の事情を理解する機会として設けられている。また,参加者相互の交流ならびに懇親を深める機会として,レセプションが開催された。

(2) 分科会:IFLAの各部会や委員会が運営主体となって開催されるもので,大会の中心となる会合である。セッションと呼ばれ,2時間程度のものもあれば,まるまる1日を費やして行われたり,数日にわたって開かれる場合もあった。各分科会では,エントリーされた発表者からの研究発表が行われた。ただし,発表を聞いて終わるのではなく,発表後に発表者が演台に並び,会場からの質問に答えるとともに,発表者間で,あるいは,会場の参加者と発表者の間での活発な討議が行われた。したがって,「発表会」という性格よりは,小規模なパネルディスカッションの場であると考えた方が,適切であろう。また,研究発表と言っても,学術的な発表をイメージするのは正確ではない。学術的な手法に基づく発表もあるが,それよりも数が多いと思われるのは,図書館における活動実践の報告,関連するアイデアの提供,多様な企画やプログラムの提案などである。

(3) ポスター発表:上記の分科会が口頭での報告を主体に展開するのに対し,ポスター発表では,様々な成果がポスター上に示されている。必要に応じて,資料の現物が展示されたり,実演が行われたりする。大きな展示場の中(時には外まで)の至る所に,ポスター発表の場が設けられていた。所定の時間帯には,各発表者がポスターのところで待機し,関心を寄せる者に説明をし,質問に答えていた。

(4) 図書館ツアー:開催地・開催国の図書館を見学するツアーが,予約制で行われた。ケベック図書・公文書館(Bibliothèque et Archives nationales du Québec)やケベック大学(Université du Québec)をはじめとして,各館種のいろいろな図書館が,見学対象として用意されていた。

(5) 展示会:世界の国立図書館,大学図書館,図書館関係団体をはじめとして,図書館用品の製作会社,コンピュータシステム企業,出版社などが,出展していた。展示パネルとともに,関係資料を配付したり,画像モニターを用いてのデモンストレーションを行なったりしている。日本で言えば,図書館総合展の展示会場のイメージと重なる。

 なお,こうした大会の公式行事とは別に,日本からの参加者ならびに現地で働く図書館員を対象に,日本図書館協会の国際交流事業委員会が,交流会を呼びかけた。本大会では,フランス語圏ということもあり,美味なフレンチの夕食会となった。この夕食会で初めてお会いした現地の方とは,その後も,電子メールでのやりとりが続いており,異国での粋なひととき以上の「成果」を得た。役員の方々のご配慮に感謝するばかりである。

大会参加の日々

 さて,筆者が,本大会に参加したのは,研究目的による。すなわち,2009年度から科学研究費補助金に基づく研究を進めており,その一環として,ケベックに赴いた。「成果共有型ネットワークを活用した独習/協調研修プログラムに関する実証的研究」と題するこの研究は,具体的には,国立国会図書館のレファレンス協同データベースを,図書館における「成果共有型ネットワーク」として位置づけ,これを活用したネットワーク上で運用する研修プログラムを開発し,その有効性を検証しようとするものである。
 初年度にあたる2009年度は,各国の事情について最新の動向を把握できるよう,情報収集を行うことを目指し,大会に参加したのである。この目的に沿って,大会の開催期間中,筆者は次のような日々を過ごした。
 まず,英語とフランス語の二か国語で印刷されたA4判の厚手のプログラムに目を通し,関係しそうな分科会を確認した。確認の際にキーワードとしたのは,training,librarian,profession,distance learning,e-learningなどである。後はこれに参加すればよいのであるが,時間が重なっていたり,会場が離れていたりすることもあり,選択した分科会すべてに参加できないため,発表内容をも確認し,優先順位を設けて行動計画を立てるわけである。実際には,Library Theory and Research,Education and Training,Continuing Professional Development and Workplace Learning,Reference and Information Servicesといった分科会に参加した。
 次に,ポスター発表では,大会のプログラムに掲載されているリストを参考にしながら,会場内のポスターを見て回ることから始めた。ぐるっと一通り歩いて様子を把握したら,研究に関係しそうなポスターのところで,その内容を読んだり,配布資料を集めたりする。もちろん,発表者が待機していれば,説明を聞いたり,また,質問を投げかける。実は,このやりとりが,楽しくもあり,情報収集の点で大切だと受けとめている。言語上の限界もあるが,身振り手振りを含めて,話し込む時間は有意義である。こちらの考えに対するコメントをもらったり,事情を知らない国からの参加者であれば,その国における実状や情報の入手先を教えてもらえるからである。


ポスター発表1
(ポスター発表)


ポスター発表2
(ポスター発表)


 最後に展示会であるが,ポスター発表と同じく,会場をくまなく歩き回ることから始めた。その上で,ターゲットを絞って,個別に説明を聞いたり,資料をもらったりすることが中心になる。ただ,説明を聞かずとも,歩き回るだけでも,けっこう見聞は広がる。こんな団体もあるのか,こんなものを制作している会社もあるのか,といった発見の連続だからである。
 もちろん,これらに加えて,レセプションや分科会会場の「外」で,「インフォーマルコミュニケーション」に時間を費やすのは,言うまでもない。すなわち,日本ないし海外(筆者の場合は,主に英国)から来た旧知の参加者と懇談し,情報交換を行なった。また,知り合いから,他の知り合いを紹介してもらい,人的ネットワークを広げたりもした。さらに,図書館ツアーに参加し,文献からでは知ることのできないカナダの図書館の実際に対して,目を向けることも重視した。


左から 三浦太郎(日本図書館協会国際交流委員長,明治大学),古賀崇(国立情報学研究所,現・京都大学附属図書館),榎澤康子(カナダ・オンタリオ議会図書館),筆者,Julie Anderson(カナダ・オンタリオ議会図書館),中村百合子(同志社大)
{左から 三浦太郎(日本図書館協会国際交流委員長,明治大学),古賀崇(国立情報学研究所,現・京都大学附属図書館),榎澤康子(カナダ・オンタリオ議会図書館),筆者,Julie Anderson(カナダ・オンタリオ議会図書館),中村百合子(同志社大)}


参加の意義

 IFLA大会に参加することの意義は,開催期間中ばかりではない。むしろ,帰国してから活用するような資料や情報を入手し,また,照会先となる関係者と知り合うことが大切と考える。ちなみに,本大会において,筆者にそうしたものがあったかと問われたならば,次のものを挙げることになろう。
 前者に関しては,実は数多くある。しかし,その筆頭は,ポスター発表の会場で入手したデンマークの情報である。手元にあるのは,The Library Testというリーフレットであり,概略が簡単に記されているだけであるが,そこに示されているURL3)にアクセスすると,たいへん興味深いサイトが開かれる。このサイト,デンマークのコペンハーゲン大学図書館(Copenhagen University Library)と南デンマーク大学図書館(University of Southern Denmark Library)が,他の関係機関の協力と資金を得て,協同制作したものであるとされている。内容は,大学生レベルで必要となる情報マネジメントのスキルを自己点検するためのテストである。もちろん,ネットワーク上で行うことを前提としたeラーニングプログラムとなっている。
 テストの設問や選択肢は,当該サイトを見ていただきたいが,Search Methods & Technique,Material Types & Search Sites,Sources & Criticism,Regulations & Good Practice,Resources & Your Subjectの5つに分かれており,複数からなる設問が,それぞれに用意されている。設問の内容は,関連知識の有無を確認するものもあれば,情報源の検索技法について尋ねるものもあり,理論的かつ実践的であると判断される。また,Resources & Your Subjectに関しては,テストを受ける大学生の専攻領域に沿って,中心的な情報資源の活用法が扱われている。
 一方,後者に関しては,筆者の研究課題に共通する問題意識の実践報告を挙げることになろう。Continuing Professional Development and Workplace Learningという分科会における発表の一つで,シンガポール国立図書館のChou Wun Han(周韵嫻)氏による"Platforms for Real-Time Collaborative Learning for Practising Librarians: Using Blogs, Wikis and E-Mailing"である。この発表では,図書館員の研修活動を支援するプラットフォームシステムの概要が報告された。すなわち,シンガポール国立図書館が開発したNOS(Network Of Specialists)4)というプラットフォームにおいて,ブログやwiki,メーリングリストを管理し,これらを参加者が用いて,協同で研修活動を行うしくみについて報告したものである。同氏には,分科会終了後に,筆者の研究の概要を伝えた上で,NOSの実際を見てみたいと要望したところ,後日,NOSに短期的にログインできるIDとPWを設定していただき,その内容を直接確認できる恩恵にあずかることができた。

 IFLA大会において得たものは,大会が終了して5か月になろうとする現在でも,筆者の日々に活かされ,つながっているのである。

注:

1) http://www.ifla.org/IV/ifla74/index.htm

2) http://www.ifla.org/IV/ifla74/post-congress.htm

3) http://www.librarytest.dk/

4) http://nos.nlb.gov.sg/(ただし,ログインには,ID及びPWが必要)

(青山学院大学文学部教授)

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