びぶろす-Biblos
平成20年秋号(電子化42号)
- 発行:国立国会図書館総務部
(National Diet Library) - ISSN:1344-8412

1. 「国際図書館連盟(IFLA)政府機関図書館のためのガイドライン」
J.W.マンスフィールド(Jerry W. Mansfield) 政府機関図書館分科会議長
IFLA政府機関図書館分科会及び政府情報・官庁出版物分科会は、日本政府と日本国民に独創的、専門的かつ有益なサービスを提供してきた国立国会図書館及び支部図書館制度が60周年を迎えたことに対し、お祝い申し上げます。貴館が多くの諸課題に立ち向かってきたこと、貴館の60年間にわたる発展、計り知れないほどの貢献、すぐれた指導者達や職員は、世界の多くの国々の模範としての役割を果たしてきました。私たちは貴館を称賛し、今後のますますのご成功をお祈りします。
政府機関図書館のためのガイドライン
国際図書館連盟(IFLA)は、図書館の運営や管理に特有の問題について、司書や運営管理者たちから専門家による助言を求められた際に提供できるような文書を、長い間必要としてきました。同様に、個々の司書、主に第三世界諸国の方々は、彼らの立場を正当なものと説明するための力添えを、IFLA本部のスタッフやIFLA分科会議長たちにしばしば求めてきました。彼らは、政府の部・局・庁の総予算の一部としての、図書館予算の割合に関する助言を求めてきました。IFLAは、成功事例やマーケティング技術、その他様々なことについても尋ねられました。これらの問合せに答えるため、IFLAは、全世界の会員にアドバイスや回答をお願いしました。
このような背景や必要性から、 IFLA 政府機関図書館分科会と、政府情報・官庁出版物分科会 (Government Information and Official Publications Sections: GIOPS) の会員は、世界中の図書館員たちにとって指針となるような規範文書の作成に着手しました。このガイドラインは、最終決定として作成されたものでは決してありません。記載された個別の問題について、国際的な「図書館法(library law)」となる文書を作成することが目的ではありませんでした。そうではなくて、ガイドラインは、あらゆる国や政府の図書館の設置に際し採用しやすい、単なる指針として役立つものです。
議会図書館を対象とした類似のガイドラインが、1993年に、IFLAによって作成、出版されました。政府機関図書館分科会とGIOPSが、政府機関図書館ガイドラインの執筆について話し合いを開始した2005年の時点では、議会図書館ガイドラインの執筆者を含めようとしていました。ガイドラインの草案について、2007年に南アフリカ・ダーバンで行われた多くの予備的審議や公聴会の結果、政府機関図書館分科会とGIOPSは、独自に進め、政府機関に関連した政府機関図書館に焦点を絞ることとし、議会図書館独自の問題は扱わないことに決めました。議会図書館が、広範な調査対象を有し、議会を明確な顧客とし、超党派の業務を有しているのと異なり、政府の部局と関連する政府機関図書館は、より狭い調査対象に取り組んでいるでしょうし、また、与党と密接な関係にある国もあるでしょう。従って、ガイドラインの重点は、議会の問題に限らず、予算、人材要件、蔵書管理やその他の伝統的図書館サービスなどに関し、行政省庁に特有の問題について、より多くの研究を含んでいます。
政府機関図書館とその司書のためのガイドラインは、一例として、提供サービス、スケジューリング、アクセス制限、財源、マーケティングや研修などに関して、外的あるいは内的な要因が図書館を圧迫する事態が生じた場合に必要となります。世界中の図書館員たちは、自身の地域や大陸、あるいは世界の他の政府機関図書館によって実証された、成功事例や普遍的基準に倣っているということを、上層部や外部の圧力に対して示せるような明確なものを必要としています。このように、ガイドラインは、官僚の方々に政府機関にある図書館の重要性を認識させ、また、それをより有効的にする方法を提案するのに役立つよう作られました。官僚が、統治プロセス全体の中で、図書館と司書たちを必須のパートナーとみなすようになることが期待されています。重ねて申し上げると、このガイドラインや他の指針は、図書館の個別の環境次第で変更あるいはカスタマイズされる、単なる見本に過ぎません。ガイドラインは、特定の方法で図書館事業を行うための論拠として役立つでしょう。提示された多くのガイドラインにより、可能な解決方法としての新たな独創的発想を生む、知的・哲学的なブレインストーミング・セッションが行われることが期待されます。図書館員の理論的な概念に加え、刊行されたガイドラインでは、紹介された方法が個々の政府機関図書館の環境において、どのように成功裏に利用されてきたかという実際の例として、いくつかの事例研究も用意しています。
アドボカシーは、様々な観点から取り組まれています。概して、IFLA政府機関図書館分科会及びGIOPSは、すべての国民による政府情報への自由なアクセスの正当性を信じ、それを後押ししています。このガイドラインは、情報へのユニバーサルで自由なアクセス、情報政策の作成と実施、政府による政府情報の定期的な寄託、途上国がアドボカシーを実現する上で直面している課題などの問題について語っています。
政府機関の図書館のためのガイドラインは、「IFLA Professional Reports」シリーズの第106号として入手可能です。電子版は、http://www.ifla.org/VII/s9/nd1/Profrep106.pdfで閲覧可能です。

マンスフィールド氏は、国際図書館連盟(IFLA)政府機関図書館分科会の、2007-2009年期議長。メールアドレスは、jmansfield@crs.loc.gov。
