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2015年1月5日 信頼に応える -平成27年の新年を迎えて-

大滝則忠館長の肖像写真

新年あけましておめでとうございます。

国立国会図書館は、平成24年8月、「私たちの使命・目標2012-2016」を公表しました。そこでは、おおむね5年間で取り組むべき6つの重点目標として、(1)国会の活動の補佐の充実、(2)印刷出版物と電子情報の双方を含む幅広い資料・情報の収集・保存、(3)それら資料・情報の簡便な利用とアクセスの強化、(4)内外の関係機関との一層の連携、(5)社会に役立つ東日本大震災アーカイブの構築、(6)透明性が高く効率的な運営管理の推進、を挙げています。また、平成25年5月、各目標を達成するための「戦略的目標」を策定して公表しました。新年を迎え、これら各目標の達成に向けて、一層強力に取り組む決意を新たにしております。引き続き、皆様のさまざまなご指導とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

日頃から、私は国立国会図書館長として、多くの方々にお会いする幸運に恵まれております。その際しばしば、多くの方々からの館の活動に対するご信頼を感じることができることは、嬉しい限りです。今後とも、そのようにご信頼いただけることを素直に喜びながら、謙虚の心でご信頼に一層応えるべく、館の職員が一体となって弛まぬ努力を重ねてまいりたいと考える次第です。

さて、年頭に当たり、本年、重点的に取り組む課題について、所信を申し述べます。

第一に、国会の活動を補佐する役割を十全に果たすため、専門的な調査・分析と的確な情報提供を一層強化いたします。これら国会サービスは、迅速性、中立性、客観性および正確性を念頭に、依頼者の秘密厳守を旨として取り組んでおります。個々の調査のご依頼に応える一方、外国の制度・政策・立法の動向の分析・紹介を含め、国政課題についての予測調査の成果を扱う刊行物等に対するご期待もいただいておりますので、その一層の充実を図ります。さらに、国会会議録を始めとする、国会の活動から生み出される情報に国民がアクセスしやすくし、国会と国民をつなぐ役割の一端を担うことも重点課題としています。また、世界各国の議会図書館等との連携を深め、調査能力の高度化を図るとともに、国際的な議会図書館の発展にも寄与する所存です。

第二に、国際子ども図書館をリニューアル開館いたします。国立国会図書館国際子ども図書館は、国の内外の児童書とその関連資料に関するサービスを国際的な連携の下に行う専門図書館として、平成12年、東京・上野公園にある支部上野図書館(旧帝国図書館)の建物を大規模改修して開館しました。本年6月末の新館竣工後、既存棟の保全工事を実施し、部分的に休室しながら新体制に移行します。平成27年度末には、明治期の歴史的な建築物である既存棟に中高生のための調べものの部屋等、新館に児童書研究資料室や研修室等と65万冊収納可能な書庫が整備され、既存棟と新館が一体となって、国際的に見ても最先端の国際子ども図書館の活動が新たにスタートします。

第三に、インターネット上に流通している、民間が発信する電子書籍・電子雑誌等の収集に引き続き取り組みます。このうち、無償かつDRM(技術的制限手段)がないものについては、平成25年7月から国立国会図書館法に基づく制度として収集を開始し、現在、収集データを国立国会図書館内で閲覧に供しています。一方、有償またはDRMのある電子書籍・電子雑誌等を収集できるための法制度の構築に向け、課題を検証し実効性のある制度設計に資するために、本年から、関係者のご協力のもと、実証実験事業を開始できるよう準備中です。この事業実施に際しては、出版界をはじめ、広く関係者の皆様のご協力が不可欠ですので、今後とも協議を重ねながら進める所存です。

第四に、「国立国会図書館東日本大震災アーカイブ(愛称:ひなぎく)」の構築事業をさらに進めていきます。発災後4年目を迎え、大震災に関する記録の散逸が急速に進むことが危惧されています。その一方、被災地での記憶の保存・伝承の気運が高まり、アーカイブやメモリアル施設等の計画が進められています。被災各県の自治体・関係諸機関との連携を一段と進めながら、国全体の取組として期待が高い「ひなぎく」のコンテンツの充実に努めます。

以上のほかにも、社会から国立国会図書館に寄せられるご期待に関連して、さまざまな課題があります。中・長期的には、図書をはじめとする我が国の貴重な文化情報資源を次世代に継承し、その活用を図る上で重要な役割を果たす「ナショナル・アーカイブ」の構築に館が寄与すべきという課題もあります。それぞれの課題について、関係機関との連携と協力を深めながら、近きより、着実に歩を進めていきたいと思う次第です。

昨年11月17日には、国立国会図書館建築委員会から、書庫増設のための関西館第2期工事実施に関し、両議院の議長を経由して、国会に対する勧告が行われました。国立国会図書館の活動にとって不可欠な事業として、今後の施設整備に全力で取り組む所存です。

重ねて、本年もよろしくお願い申し上げます。

国立国会図書館長 大滝則忠

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