タイトル: (館内スコープ)音訳 ― 音で読む学術文献を作る―(国立国会図書館月報2015年1月号特集「国立国会図書館と障害者サービス」記事) 著者: 関西館図書館協力課 「音訳」(おんやく)。それは、音に訳す、つまり視覚情報を聴覚情報に変換すること。音訳技術は、「学術文献録音図書の製作と提供」(URL http://www.ndl.go.jp/jp/library/supportvisual/geppo201501/article02.txt )で紹介されている「学術文献録音図書」の製作には欠かせない技術です。このページでは、そんな音訳技術の一部をご紹介したいと思います。) 学術文献を録音するにあたって、最も労力がかかる作業は読みの調査です。地名や人名などの固有名詞、専門用語、数式、古文、漢文、外国語……時にはヘブライ語やパーリ語、サンスクリット語まで!学術文献は多種多様の情報が含まれ、それらが正しく伝わるよう読まなければなりません。こういう数式や、 (複雑な数式の画像) こういう漢文を正確に読む必要があるのです。 (訓点の付された漢文の画像。啓迪集 巻之5より。) また、学術文献録音図書の音訳では、文字情報でない図表等の説明も大切な作業です。著者がその図表等で伝えたいことを理解し、適切な個所で説明します。) 上の写真は、『鍼灸阿是要穴 二』の音訳原稿です。漢字の読み、単語の意味、図の説明文言までこのように詳細に書き込みます。) 調査が終わり、実際に録音する際は、聞き取りやすい発音や抑揚で、適切な間をとり、口中音などの雑音にも気をつけて録音します。録音図書を利用する方は2 ~ 3 倍速で聞く場合が多いので、再生速度を上げても聞き取れるということも、録音図書の大切な要素です。録音完了後には、DAISY 図書として編集する作業や、校正の作業が待っています。) 録音図書の製作には、総録音時間の数倍から十数倍の時間がかかるといわれています。このような手間暇をかけて製作された学術文献録音図書は、完成後、全国の図書館や点字図書館を経由した貸出サービスや、視覚障害者等用データ送信サービス等を通じて利用者に届けられます。) (図書館協力課障害者図書館協力係 一升二合)