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トップ > 図書館員の方へ > 視覚障害者等への図書館サービス > 特集「国立国会図書館と障害者サービス」 > 「てんやく絵本ふれあい文庫」30年の取り組み~てんやく絵本のこと、そして、図書館に望むこと

「てんやく絵本ふれあい文庫」30年の取り組み~てんやく絵本のこと、そして、図書館に望むこと

講演者:てんやく絵本ふれあい文庫代表 岩田 美津子

国立国会図書館は毎年、日本図書館協会と共催で障害者サービス担当職員向け講座を開催しています。平成26年度の講座の中で、講師としててんやく絵本ふれあい文庫代表の岩田美津子氏をお迎えしました。2014年4月に30周年を迎えたてんやく絵本ふれあい文庫は、視覚障害者や視覚障害者のいる家族などに、ボランティアの方が製作したてんやく絵本の貸出しを行ってきました。てんやく絵本の所蔵は現在約9,000冊で、年間貸出数も約6,000冊にのぼっています。今回は、岩田氏にこの30年の取り組みと、この活動を行っている立場から図書館に伝えたいメッセージをお話しいただきました。

※この講演は2014年11月18日に行われたものです。

(編集 関西館図書館協力課)

講演者について

岩田 美津子(いわた みつこ)
特定非営利活動法人てんやく絵本ふれあい文庫 代表
1984年4月に「点訳絵本の会 岩田文庫」を創設して以降、文庫活動を通じて30年にわたり、てんやく絵本の製作・貸出しなどを続ける。
著書に『点訳絵本のつくり方』(増補改訂第3版 せせらぎ出版、2005年)、『見えないお母さん絵本を読む』(せせらぎ出版、1992年)、『岩田美津子の絵本探検』(JULA出版局、1997年)など。また、1992年2月から2000年12月までJBS日本福祉放送において絵本番組「岩田美津子の絵本の玉手箱」を制作・放送。国際児童図書評議会「IBBY朝日国際児童図書普及賞」(1998年4月)などを受賞。

てんやく絵本とは

市販の絵本に塩ビシートの透明な点字シートを貼る、これがてんやく絵本の特徴です。本文を点訳した透明なシートを文字の部分に貼り、絵には透明なシートを絵の形に切って貼ります。絵の形に貼っただけでは絵の様子がわかりにくいもの、または絵の形に貼れないものについては説明文を書き添えます。てんやく絵本は、視覚障害者のために透明なシートを貼っていますが、見えない人専用の絵本ではありません。見える人が楽しんでいる市販の絵本をそのまま見えない人も楽しめる、言い換えれば、見える人と見えない人が一緒に楽しめる絵本がてんやく絵本なのです。

てんやく絵本の製作で心がけていることは?

私たちが大事にしていることは、作者の意図を壊さないということです。読み手によって感じることが異なるため、作者の意図を伝えることは非常に難しいのです。ですから、見たものを言葉による説明に変える時は、そっけないくらいシンプルな表現にし、可能な限り、形が分かりやすいように貼るようにします。私たちは作者の意図を伝える努力をする以前に、作者の意図を壊さない努力を心がけています。

見える人が見たときに、違和感のないシートの貼り方をしなくてはなりません。透明とはいえ、見える人にとってシートはないに越したことはありませんから、貼るシートは必要最低限にします。絵にその絵の形のシートを貼る時、どんどん重ね貼りすると視覚障害のある私たちにとってはわかりやすくても、重ね貼りの仕方によっては、見づらい絵になってしまいます。絵の形に貼るほうがよいのか、説明文にするほうがよいのか。視覚障害のある私たちにわかりやすくても、それが見える人にとって見づらいものになるのであれば、そこは工夫をしなければなりません。それを踏まえながらてんやく絵本を作り、見える人と見えない人が一緒に楽しめるようにしています。

てんやく絵本

文字を透明な塩化ビニールのシートに点訳し、絵の形も同じシートで切り抜いて、市販された絵本に貼った手作りの絵本。

てんやく絵本の表紙の写真
(元の絵本)『しょうぼうしのトトフ』リオネル・コクラン 作 石津ちひろ 訳 ゴブリン書房 2006製作・所蔵 てんやく絵本ふれあい文庫

点訳の塩化ビニールを貼りつけた部分の拡大写真
点訳の塩化ビニールを貼りつけた部分

てんやく絵本の利用者

てんやく絵本の利用者の半分強は、子育て中の視覚障害者です。その他、視覚障害児がいる家庭でも利用されています。視覚障害児がいる家庭といっても、視覚障害児の他に兄弟がいる家庭もあります。てんやく絵本なら親が読んであげるときに、見える子と見えない子が一緒に楽しめるのです。点字を練習している中途失明者の利用も多いほか、絵本が好きな大人の視覚障害者もいます。施設関係では、盲学校や点字図書館、公共図書館、その他の視覚障害のある大人や子どもが在籍あるいは出入りする施設に貸し出しています。視覚障害児が在籍する小学校にも30冊から50冊の貸出しをしています。一般の小学校に視覚障害児がいる場合、対象となる利用者はただ一人であることが多いですが、見えない子にも見える子と同じように、選ぶ楽しさを味わってほしいので、対象となる利用者が一人の場合でも30冊から50冊を貸し出しています。

てんやく絵本の誕生

私自身は先天性の視覚障害者ですから、子どもが生まれたときも絵本を読んでやりたいという気持ちもなかったのですが、子どもが1歳をすぎて間もない頃、おもちゃを与える感覚で絵本を子どもに与えたときに、子どもがその絵本を私のところに持ってきて、私の手を取って絵本を触らせて「読んで」という仕草をするわけです。子どもにとって絵本は読んでほしいものであるということをそのとき初めて学びました。しかし、私自身が情報を持っていなかったこともあって、周りを見渡しても何もないのです。そこで、普通の絵本にネームテープと呼ばれていたカラーのテープを貼るなどしましたが、うまくいきません。

ボランティアによって作られている布の絵本やさわる絵本を利用したこともありました。しかし、親が見えないために、成長して一般社会で生きていく子どもが特別な絵本しか知らないのはよくないと思いました。目が見える子どものためにどのような環境を整えていくべきかと考えたとき、近所の子どもたちが読んでもらっているような絵本を、私も普通の形で読んでやりたいと思いました。この透明なシートを貼るところにたどり着くのに約3年かかりましたが、言い続けていると、かならず本気で一緒に考えてくれる仲間も出てきます。最終的に透明なシートを見つけてきて、これなら使えるということが分かり、ようやくてんやく絵本の元になる形ができたのです。

その後、ボランティアの手を借りて、何冊も点訳してもらいました。親子でてんやく絵本を楽しむなかで、私自身が学んだことは、絵本は子どもにとって読んでもらいたいものである、お母さんの膝に乗っかって、お母さんの声で読んでもらうことを楽しんでいるということです。当時はてんやく絵本が何冊もないため、同じ絵本を何回も読んでと持ってきます。私は飽きてしまい、もういいでしょという感じになるのですが、それでも持ってきて、読んで読んでと繰り返します。その姿を見て、膝に乗っかって読んでもらい、一緒に笑ったり驚いたりすることが、子どもにとってどんなにうれしいことかを知りました。

てんやく絵本の貸し出し-文庫の創設-

3年くらい経ち、てんやく絵本が100冊くらいたまった時、友人から「他の見えない人たちにも貸してあげたらどう?」と言われました。その一言を言われて初めて、「他の見えないお母さんたちはどうしているのだろう」と考えました。絵本は読んでやれないものと諦めている人も多いのではないか。ほかの人たちに使ってもらうことが、これまで助けてくれたボランティアへの本当の意味での恩返しになると思い、軽く考えて、貸出しに踏み切りました。そして、1984年に子どもの本棚に並んでいる絵本の貸出しを始めたのです。これがふれあい文庫の前身である岩田文庫です。活動を始めた時からの私の最大の目的は、見えない人たちに絵本の楽しさ、素晴らしさを味わってほしいということと、絵本を必要とする見えない人たちがいつでもどこでも、見える人と同じように絵本を楽しめる環境が整ってほしいということです。この想いをずっと抱きながら30年間続けてきました。

見えない人たちにてんやく絵本を利用してもらうためには、郵送で貸出しを行わなければなりません。当時の郵政省に問い合わせたところ、てんやく絵本は見える人も楽しめるため、盲人用郵便物にはならないという回答でした。見える人と見えない人が一緒に楽しめるものを作り、見えない人に提供していくことが私たちの目的です。その意味を理解してもらうためには、実績を積むしかないと考えました。その後も郵政省に行って直接話をしたり、様々なことをしているうちに、その事に関心を寄せてくれる人も増え、新聞でも取り上げられたりして、3年かかりましたが、1987年7月からてんやく絵本は日本どこへでも無料で郵送できるようになりました。これが実現しなかったら、ふれあい文庫は活動の維持が難しかっただろうと思っています。

ふれあい文庫は常勤の職員が1人もおらず、ボランティアだけで運営しています。現在約130名がボランティアで活動していて、ローテーションを組んで、週4日の活動日に、だいたい1日7、8人が集まり、貸出し、本修理、貸出返却の管理などの図書館業務を40人で手分けしてやっています。年間の貸出数はだいたい6,000冊くらいです。残りの80名~90名はてんやく絵本作りをしていて、年間300~350冊の製作をしています。ありがたいことに最初に文庫を始めた1984年から、年間の製作数はほとんど変わっていません。

フルカラーの点字つき絵本『チョキチョキチョッキン』の誕生

見えない人たちが絵本を楽しみたいと思うと、このふれあい文庫を利用するしかありませんでした。視覚障害のある私たちも図書館に自分たちが触って楽しめるものがあってほしい。書店に購入できるものがあってほしい。透明な樹脂インクを使って点字を盛り上げる方法がこの頃すでに技術開発されていました。それで絵の形を盛り上げることはできないのかと思い続けているところに、透明な樹脂インクで点字を盛り上げる印刷機を備えている業者と出会いました。「点字はできるけど、絵本ねぇ」と首をかしげられましたが、私たちがいかに必要としているかを説明した結果、やってもらえることになりました。約2年かかりましたが、こうして1996年にできたのが日本で最初のフルカラーの点字つき絵本である『チョキチョキチョッキン』です。

翻訳もので単色の点字つき絵本は1970年代に偕成社からすでに出ていました。見える子と見えない子が一緒に楽しめる絵本という点では、てんやく絵本と同じスタンスでしたが、私は、見える子も楽しめるフルカラーの点字つき絵本を作りたかったのです。これに私たちが込めた思いは、「見えない人たちも絵本を必要としている。このように工夫してくれれば見えない人たちも楽しめる」ということでした。それを世の中に伝えて、子どもの本の関係者、特に出版関係者に関心を持ってもらうきっかけにしたかったのです。『チョキチョキチョッキン』は注目されて、8,000冊から9,000冊売れました。絵本でそれだけ売れたらベストセラーと言ってもよいでしょう。

チョキチョキチョッキンの表紙
『チョキチョキチョッキン』ひぐちみちこ, いわたみつこ 作 てんやく絵本ふれあい文庫 1996

点字付き部分の拡大写真。写真の説明は次にあり
カニの絵の形に盛り上がっているだけでなく、砂浜も細かいドットの印刷で表現されている

点字つき絵本の出版と普及を考える会

その後、自由国民社、岩崎書店、福音館書店、小学館から点字つき絵本が少しずつ出版され始めましたが、そこから広がらないのです。そこで、2002年4月に「点字つき絵本の出版と普及を考える会」を発足させました。会の基本的な理念は、見えない人のために作るのではなく、見える人と見えない人みんなが楽しめる絵本を作り、それを出版物として世の中に送り出してたくさんの人々に買ってもらうということです。主なメンバーは編集者、印刷業者、研究者、書店員、盲学校の司書、それから、会の事務局を務めているふれあい文庫です。

10冊の点字つき絵本が出版されました。会に参加している編集者が情熱を持っていても、点字つき絵本が出るまでには何年もかかります。問題を明らかにするため、コストや技術、販路などについて何年間か議論しました。しかし、なかなか次の出版に結びつきません。そんな中で、現状をまず把握して、見えない人が楽しめる絵本の情報を伝えようと、絵本を出版したことがある会社約90社にアンケート調査を行って、作ったのが「点字つき絵本・さわる絵本リスト」(右下写真)です。さわる絵本は、一般に市販されているしかけ絵本の中で、見えない人も楽しめるものを加えました。

点字つき絵本さわる絵本リストの写真
点字つき絵本さわる絵本リスト

そのうちにやはり、本を作りたいということになり、点字つき絵本出版の動きが出てきたわけです。このリストを最初に作ったのが2006年で、2011年に出た3版が最新です。第3版には2013年2月に同時出版された『ノンタンじどうしゃぶっぶー』(偕成社)、『こぐまちゃんとどうぶつえん』(こぐま社)、『さわるめいろ』(小学館)、更に同年11月に、誕生50周年記念事業として出版された『ぐりとぐら』(福音館書店)が入っていません。そのため、ふれあい文庫の30周年にあわせて第4版を作ろうとしています。

また2015年には、3社くらいから復刊しよう、オリジナルをもう1冊作ろうといろいろな話が出ていますので、注目してください。点字つき絵本は時間をかけて増やしていくしかありませんが、特定の出版社が多く出すのではなく、出す出版社の数を増やしていかなくてはいけません。

点字つき絵本の出版物がもっと増えれば、私たちのてんやく絵本の活動の役割も終わると思いますが、当分はそうはいかないでしょう。私たちは隙間を埋めるという意味で、これからもてんやく絵本の数や内容を充実させて必要な人に届けていく必要があるでしょう。

点字つき絵本

印刷段階で、透明な樹脂インクを使って、絵の形を盛り上げ、文字は点字でも表した出版物。

さわるめいろの表紙
『さわるめいろ』村山純子 著 小学館 2013<請求記号 Y T1-L19>

ノンタンじどうしゃぶっぶーの表紙
『ノンタンじどうしゃぶっぶー』キヨノサチコ 作・絵 偕成社 2013<請求記号 Y T1-L18>

こぐまちゃんとどうぶつえんの表紙
『こぐまちゃんとどうぶつえん』森比左志, わだよしおみ, 若山憲 著 こぐま社 2013<請求記号 YT1-L126>

ぐりとぐらの表紙
『ぐりとぐら』中川李枝子 さく 大村百合子 え 福音館書店 2013<請求記号 Y T1-L120>

図書館に望むこと

てんやく絵本がほとんどなかったとき、大阪市の中央図書館の児童室の職員が私の子どもたちに本を読んでくれました。約束した時間に子どもを連れていくと、親が読んでやるように子どもたちが気に入った本を図書館員が1時間くらい読んでくれたのです。読みたい本を読んでもらえることは、子どもにとって嬉しいことです。視覚障害者からそういう要望があれば、今後も細やかな対応をしていただければと思います。

目が見えない人で、ふれあい文庫やてんやく絵本、点字つき絵本のことを知らない人も多いと思います。必要な人に必要な情報が届かないことが、私たちにとって大きな壁となりますので、図書館を利用する人にそういう情報も提供していただけたらありがたいです。

ある点字図書館に寄った際にてんやく絵本の所蔵を尋ねたところ、利用者がいないから所蔵していないと回答されたことがあります。利用できる絵本がないから、視覚障害者がその図書館に行かないのです。それを利用者がいないと判断されるのは一番辛いことです。地域にはいろんな人がいて、その中には本を必要としている視覚障害者もいる。だから、点字つき絵本を図書館に置いてほしい。その願いをもって私たちは出版界に働きかけを行っています。限られた購入費の中で点字つき絵本を買うのは難しいという図書館の声も聞きますが、点字つき絵本は出ているタイトル数がまだ少ないのです。現在出ている点字つき絵本を図書館に置いていただくことで、見える人と見えない人が一緒にその絵本を楽しむ機会になります。

また、地元の点訳ボランティアと連携して、てんやく絵本を備えることも検討してほしいです。あの図書館に行けば点字もついた絵本もあるとわかれば、親子でくるかもしれません。親子が来ることによって、地域の人と触れ合う場も増え、見えない人が地域の中で孤立することを防げる場合もあるのです。

ご清聴ありがとうございました。

てんやく絵本ふれあい文庫30年のあゆみ

1984年4月
「点訳絵本の会 岩田文庫」を岩田美津子氏の自宅に創設。
1987年5月
『点訳絵本のつくり方』第1版を自費出版。
1987年7月
郵政省に働きかけ、てんやく絵本の郵送料無料化を実現。
1991年4月
岩田文庫の活動拠点を大阪市西区に移し、名称を「てんやく絵本 ふれあい文庫」と改める。
1996年10月
フルカラー点字つき絵本『チョキチョキチョッキン』を出版。
2002年4月
「点字つき絵本の出版と普及を考える会」を発足。
2005年12月
現在地(大阪市西区江戸堀)に活動拠点を移す。
2012年1月
てんやく絵本ふれあい文庫のNPO法人格を取得。
2014年4月
創設30周年を迎える。

障害者サービス担当職員向け講座

国立国会図書館は毎年、国内の図書館員を対象に図書館における障害者サービスの基礎的な知識および技術の習得を目的とする障害者サービス担当職員向け講座を日本図書館協会と共催で開催しています。

開催のご案内、概要、過去の研修資料などは、NDLホームページでご覧いただけます。

障害者サービス担当職員向け講座の写真

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