図書館における電子図書館サービスの現状と今後の展望 スライドは全44ページです。 《スライド1》 図書館における電子図書館サービスの現状と今後の展望 専修大学文学部 野口 武悟 《スライド2》 【この講義の流れ】 1.電子書籍と電子図書館サービス 2.公共図書館における電子図書館サービスの現状 3.「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」活用のススメ 4.今後の展望 【1.電子書籍と電子図書館サービス】 《スライド3》 電子書籍:PCやスマートフォンなどの情報通信機器で利用できる電子情報資源の1つ  →既存の書籍に代わる有償あるいは無償の電子的著作物で、情報通信機器上の専用のビューア(閲覧ソフト)で閲覧できるようにフォーマット化されたデータ  →電子図書、デジタルブックなどとも呼ばれる 《スライド4》 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)ではアクセシブルな電子書籍に注目  →「視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有することに鑑み、情報通信その他の分野における先端的な技術等を活用して視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及」を図る(同法第3条) 分岐図。電子書籍の類型は、「電子書籍」と「特定電子書籍」に分岐する。 《スライド5》 特定電子書籍:「著作権法」第37条の規定により、全国の図書館等で複製され、視覚障害者等にのみ提供可能な電子書籍(DAISYデータなど)  →伝統的には、パッケージ(CD等)にデータを入れて提供  →全国の図書館で共有、提供するオンラインの仕組みも整備   例)「サピエ」、「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」など 《スライド6》 国立国会図書館による「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」 「視覚障害者等用データの収集および送信サービス」のデータの流れを表す概念図。「国立国会図書館・公共図書館・大学図書館・学校図書館・ボランティア団体等」から国立国会図書館がデータを収集する。国立国会図書館から視覚障害者等利用者へのデータ送信は、利用者に対して直接行うものと、送信承認館を経由して行うものの2通りがある。 《スライド7》 全国の公立図書館における「サピエ」等の加入状況 全国公共図書館協議会による令和3年度調査の結果より グラフ。それぞれの回答について、都道府県(n=47)と市区町村(n=1343)の2種類のグラフがある。 「サピエ図書館の施設会員になっている」への回答は、都道府県で63.8%(30)、市区町村で15.2%(204)。「国立国会図書館視覚障害者等用データ送信サービスに登録している」への回答は、都道府県で46.8%(22)、市区町村で7.1%(96)。「いずれも該当なし」への回答は、都道府県で27.7%(13)、市区町村で82.3%(1105)。無回答は、都道府県で0.0%(0)、市区町村で0.5%(7)。 《スライド8》 【参考】視覚障害者等=視覚による表現の認識が困難な者の例 視覚障害、聴覚障害、肢体障害、精神障害、知的障害、内部障害、発達障害、学習障害、いわゆる「寝たきり」の状態、一過性の障害、入院患者、その他図書館が認めた障害 ※「障害者手帳」の有無は問わない 日本図書館協会ほか「図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン」(2019年11月一部改定) 《スライド9》 「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(読書バリアフリー法)ではアクセシブルな電子書籍に注目  →「視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有することに鑑み、情報通信その他の分野における先端的な技術等を活用して視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及」を図る(同法第3条) 分岐図。電子書籍の類型は、「電子書籍」と「特定電子書籍」に分岐する。 《スライド10》 市場流通する電子書籍の図書館における提供 2つの流れ図。 一つ目は、図書館における伝統的な資料の利用の流れ図。出版社が出版する書籍の場合、図書館は、書籍を選書し資料として収集保存し、利用者に資料を閲覧・貸出する。郷土資料等の場合は、デジタルアーカイブに搭載して利用者に提供する。 二つ目は、図書館における電子書籍の提供の流れ図。出版社は電子書籍を出版し、クラウドシステムに搭載する。図書館は、クラウドシステムと契約(選書行為を含む)を行い、クラウドシステムは図書館利用者に対して電子書籍を閲覧・貸出する。 《スライド11》 →利用者にIDとPWを発行し、自身の端末でアクセスして利用。図書館外(自宅など)からも利用可能な電子図書館サービスの1つ。 電子図書館サービスを表す概念図。電子書籍利用環境(電子図書館)に電子書籍コンテンツが搭載されている。PC/タブレットからインターネットを通じて電子書籍利用環境(電子図書館)を利用する。電子図書館の一例として「みょうがだに電子図書館」トップページのスクリーンショット画像が掲載されている。 《スライド12》 電子図書館  →「資料と情報を電子メディアによって提供すること。とりわけネットワークを介して提供することをサービスの中心に据えて、従来の図書館が担ってきた情報処理の機能の全体または一部を吸収し、さらに高度情報化社会の要請に呼応した新しい機能を実現させたシステムまたは組織、機関。」(『図書館情報学用語辞典(第5版)』丸善,2020年) 《スライド13》 電子図書館の主なサービス内容  ・OPAC  ・電子メールによる情報サービス  ・電子書籍サービス  ・電子ジャーナルサービス  ・データベースサービス  ・音楽配信サービス  ・デジタルアーカイブ  ・国会図書館のデジタル化資料送信サービス等 電子書籍サービスからデジタルアーカイブまで民間事業者が提供。 《スライド14》 電子図書館サービスの導入率(2020年度) (一社)電子出版制作・流通協議会調査 グラフ。それぞれの項目に対して、公共図書館の数値、大学図書館の数値の順で次に記載する。電子書籍サービスは12.6%、95.8%。電子ジャーナルサービスは0%、96.4%。データベースサービスは50.2%、98.2%。音楽配信サービスは22.2%、16.3%。デジタルアーカイブは25.9%、42.8%。 【2.公共図書館における電子図書館サービスの現状】 《スライド15》 コロナ禍を経てサービス導入が増加 令和2年度(n=1178)と令和4年度(n=1143)の回答結果を示した2種類のグラフ。それぞれの回答項目に対して、令和2年度の数値、令和4年度の数値の順で次に記載する。 「すべての公立図書館で電子書籍サービスを導入している」は9.1%、28.4%。「一部の公立図書館で電子書籍サービスを導入している」は0.7%、1.0%。「現在公立図書館では電子書籍サービスを導入していないが、今後導入する予定が具体的にある」は4.7%、3.3%。「現在公立図書館では電子書籍サービスを導入していないが、導入を検討している」は22.4%、22.1%。「公立図書館で電子書籍サービスを導入する予定はない」は58.5%、40.8%。「その他」は1.9%、4.3%。 文部科学省「令和4年度子供の読書活動の推進等に関する調査研究」 《スライド16》 文部科学省、「1人1台端末環境下における学校図書館の積極的な活用及び公立図書館の電子書籍貸出サービスとの連携について(事務連絡)」を発出(2022年8月)  →主な内容「一部の自治体においては,設置する学校の児童生徒に対し,公立図書館の電子書籍貸出サービスの ID を一括で発行している事例が見られます。このような取組は,各学校における学習活動のほか,長期休業期間中の児童生徒や,感染症や災害の発生等の非常時にやむを得ず学校に登校できない児童生徒の自宅等での学習においても効果的であると考えています。ついては,学校設置者と図書館担当部局が連携し,こうした取組の実施を積極的に検討いただくようお願いします。」 《スライド17》 今後、学校との連携が広がる可能性も グラフ。数値は次のとおり。「すべての公立学校で公立図書館の電子書籍サービスと連携した取組を行っている」が6.7%(85)、「一部の公立学校で公立図書館の電子書籍サービスと連携した取組を行っている」が4.5%(57)、「公立学校で公立図書館の電子書籍サービスと連携した取組を行っていない」が84.3%(1066) 、「その他」が3.8%(48)、「無回答」が0.7%(9)。 文部科学省「令和4年度子供の読書活動の推進等に関する調査研究」 《スライド18》 図書館における電子図書館・電子書籍サービスの実態調査  →(一社)電子出版制作・流通協議会が2013年より毎年調査 『電子図書館・電子書籍サービス調査報告2022』表紙の画像 《スライド19》 公共図書館におけるサービス「導入予定なし」の推移 グラフ。数値は次のとおり。2014年 72.5%。2015年 78.8%。2016年 70.6%。2017年 76.5%。2018年 70.3%。2019年 62.9%。2020年 42.2%。2021年 28%。2022年 20.5%。 《スライド20》 公共図書館において導入しているサービスの事業者 グラフ。数値は次のとおり。LibrariE&TRC-DL 84.5%。OverDrive 11.2%。KinoDen 5.8%。エルシエロ・オーディオブック 1.9%。その他 2.5%。 《スライド21》 公共図書館における電子書籍の提供タイトル数 グラフ。それぞれの項目に対して、2019年の数値、2022年の数値の順で次に記載する。500未満は4.7%、4.3%。500〜1,000未満は9.3%、3.8%。1,000〜5,000未満は34.9%、41.6%。5,000〜10,000未満は34.9%、29.7%。10,000以上は11.6%、20.5%。 《スライド22》 公共図書館が提供したい電子書籍のジャンル グラフ。それぞれの項目に対して、2019年の数値、2022年の数値の順で次に記載する。 文芸書は71%、67.8%。実用書は59%、47.9%。ビジネス書は45.2%、44.6%。専門書(ビジネス書除く)は26.4%、25.6%。学習参考書は15.5%、22.3%。児童書・絵本は21.2%、53.7%。図鑑は41.2%、35.5%。辞・事典は29.8%、27.3%。マンガ(コミック)は10%、13.2%。地元関係の書籍は36%、37.2%。 《スライド23》 公共図書館においてサービスにかかる年間費用(運営費+コンテンツ)(2021年度) グラフ。数値は次のとおり。100万円未満 7.5%。100万円以上〜500万円未満 60.3%。500万円以上〜1,000万円未満 14.4%。1,000万円以上〜2,000万円未満 6.2%。2,000万円以上 1.4%。その他 14.4%。 《スライド24》 公共図書館における電子書籍(コンテンツ)の選書基準 グラフ。おおよその数値は次のとおり。「紙の書籍の選書基準を準用」は57%。「電子書籍の選書基準有り」は19%。「電子書籍の選書基準無し」は26%。 《スライド25》 公共図書館におけるサービスの懸念事項 グラフ。それぞれの項目に対して、2019年の数値、2022年の数値の順で次に記載する。 電子書籍サービスで提供されるコンテンツは51.8%、79.2%。電子書籍サービスの費用対効果は59.9%、71.6%、電子書籍サービス導入の予算確保は64.6%、61.4%。利用者のニーズは34.3%、47.2%。契約事業者のサービス中止に対する不安は32.5%、33.5%。利用者に対するサービスの説明は16.1%、21.8%。館内の担当部署・担当者をどうするかは16.4%、16.8%。担当者の知識・経験の不足は25.6%、14.2%。 《スライド26》 地元企業等からの寄付による予算確保の事例(東京都立川市) 立川市図書館ホームページのスクリーンショット 《スライド27》 公共図書館におけるサービスの懸念事項(コンテンツ関係) グラフ。数値は次のとおり。新刊コンテンツが提供されにくい 87.8%。コンテンツの価格が高い 84%。ベストセラーが提供されない 78.8%。提供されるコンテンツ数が少ない 78.2%。コンテンツの選書 26.3%。システムの障害者や外国人への対応が不十分 25.6%。コンテンツの規格がわかりにくい 17.3%。 《スライド28》 公共図書館における電子書籍の利用実績(タイトル数) グラフ。おおよその数値は次のとおり。500未満は4.5%。500〜1000未満は12%。1000〜5000未満は33%。5000〜10000未満は18%。10000未満は33%。 《スライド29》 公共図書館における電子書籍の利用実績(年代別) グラフ。おおよその数値は次のとおり。12歳未満 18%。12歳〜19歳 10%。20歳代 4%。30歳代 40%。40歳代 65%。50歳代 53%。60歳代 18%。70歳代 4%。80歳代 0%。 《スライド30》 公共図書館におけるサービス利用の促進に向けた広報 グラフ。おおよその数値は次のとおり。館内に案内やポスターの掲出 87%。自治体広報誌への案内掲載 67%。公式SNSでの情報発信 48%。公式サイトへのリンクの掲出 44%。館内でのデモ体験会や利用説明会の開催 36%。館外の施設にポスターの掲出 26%。館外の施設での利用体験会等の実施 10%。 《スライド31》 公共図書館が考える利用者にとってのメリット グラフ。それぞれの項目に対して、2019年の数値、2022年の数値の順で次に記載する。 「来館しなくても利用できる」は、80.5%、94.8%。「文字が拡大できる」は76.2%、80.7%。「音声読み上げができる」は79.8%、75%。「背景と文字の色が反転できる」は60.7%、54.8%。「外国語コンテンツが提供できる」は21.9%、44.2%。「鞠地メディアコンテンツが提供できる」は39.8%、38.5%。「検索できる」は44.8%、31.3%。 【3.「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」活用のススメ】 《スライド32》 国立国会図書館の検討会によるガイドラインの検討と作成 →読書バリアフリー法に基づき策定された国の基本計画では、「音声読み上げ機能(TTS)等に対応したアクセシブルな電子書籍等を提供する民間電子書籍サービスについて、関係団体の協力を得つつ図書館における適切な基準の整理等を行い、図書館への導入を支援する」とあり →これに対応した取組として、国立国会図書館では「図書館におけるアクセシブルな電子書籍サービスに関する検討会」により検討を行い、2023年7月に「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」(以下、ガイドライン)を作成、公表 《スライド33》 ガイドラインの目的 →「商用の電子書籍を図書館を通じて提供するサービス(以下、「電子図書館」という。)を視覚障害者等1が利用するにあたって必要なアクセシビリティに係る要件を整理すること」 →スクリーンリーダーを用いた操作を可能とし、また提供される電子書籍の音声読み上げを可能とするためのアクセシビリティに係る要件を中心に位置づける 《スライド34》 ガイドラインにいう電子図書館の範囲(ルート) 電子図書館のルートを表す概念図。出版者から視覚障害者等まで書籍が届く5つの流れを表している。 流れ@は、書籍データが出版者から視覚障害者等まで直接届く。 流れAとBは図書館を経由する流れで、流れAは書籍データ、流れBは紙の書籍の場合を示す。書籍データまたは紙の書籍は、まず図書館に届き、図書館でDAISY・点字・テキスト化された後、視覚障害者等に直接届くか、または国立国会図書館(視覚障害者等用データ送信サービス)やサピエ図書館を経由して届く。DAISY・点字・テキスト化は、図書館に属さないボランティアが行うこともある。 流れCとDは、出版者から電子書籍制作会社または電子取次を経由する流れ。流れCでは、書籍データは、電子書籍制作会社または電子取次から、電子図書館事業者、図書館に含まれる電子図書館サービスを経て、視覚障害者等に届く。流れDでは、電子書籍制作会社または電子取次から電子書籍販売事業者を経て、視覚障害者等に届く。流れCの電子図書館事業者から電子図書館サービスを経て視覚障害者等に向かう矢印には注があり、「電子図書館サービスのプラットフォームと、その中で利用する書籍のデジタルデータを提供」と記載されている。 《スライド35》 ガイドラインにいう電子図書館の範囲(システム) 電子図書館の2種類のシステムを表す概念図。一つ目のシステムは、電子図書館事業者のサーバに置かれるウェブサイト(HTML)から直接端末で表示する。二つ目のシステムは、電子図書館事業者のサーバに置かれる電子書籍コンテンツを、同じサーバ上のビューアを介して端末に表示する。 《スライド36》 ガイドラインに示されたアクセシビリティ要件の項目(第6章) 【ウェブサイト】  ・ウェブサイト全体に求められるアクセシビリティ  ・ログイン  ・書籍検索  ・検索結果一覧  ・書誌詳細情報の確認・貸出手続き・予約手続き  ・アカウントページ(貸出し状況の確認など) 【ビューア】  ・書籍の閲覧  ・書籍のナビゲーション  ・読書支援 《スライド37》 ガイドラインのより詳しい内容について  →ガイドラインの本文、別紙、附属資料  https://www.ndl.go.jp/jp/support/guideline.html  →ガイドラインの内容についての解説動画(国立国会図書館の公式YouTubeチャンネル)  https://www.youtube.com/watch?v=kj7AiwV0UxI 《スライド38》 ガイドラインの公立図書館等における活用方法  →民間の電子図書館を調達・導入するための調達仕様を検討する際の利用  →導入している民間の電子図書館のアクセシビリティ対応状況を確認するための利用  →電子図書館のアクセシビリティについての理解を深めるための利用 《スライド39》 公立図書館等におけるガイドラインの運用体制と運用手順 【運用体制】 ・公立図書館等の長は、電子図書館のアクセシビリティに対する取組の重要性と必要性を理解した上で、取組体制の構築及び取組の推進にリーダーシップを発揮する ・電子図書館の管理運営担当者と障害者サービスの担当者は、導入している電子図書館のアクセシビリティ対応状況を把握するとともに、利用者からの意見を集約し、関連する部署や担当者と共有する ・調達担当者と障害者サービスの担当者は連携して、電子図書館の選定、導入において本ガイドラインに沿った調達を行い、電子図書館の利用促進に取り組む 《スライド40》 【運用手順】 ・公立図書館等は、電子図書館のアクセシビリティに関する利用者からの要望を集約するとともにアクセシビリティに関する問題の有無をチェックし、電子図書館の導入及び導入後の運用を通じて電子図書館事業者に働きかけてアクセシビリティ向上に努める。 ・(日々の運用における取組)定期的に電子図書館のアクセシビリティに関する問題の有無をチェックする。また、図書館などのホームページなどを活用して視覚障害者等からの意見収集に努め、集約する。 ※活用可能なチェックリストの書式:ガイドラインの別紙3 ・(一定期間ごとに計画し実行する取組)視覚障害等がある利用者からの意見を集約し、一定期間ごとに電子図書館事業者と共有する。 《スライド41》 ・(外部発注などにおける取組)電子図書館の調達を実施する場合は、外部発注の準備・実施、プロジェクトの実施、検収までの一連の作業において、電子図書館のアクセシビリティが確保されるよう留意する。  例えば調達仕様書を作成する際に、本ガイドラインの第6章に記述されているアクセシビリティ要件を参考にして、以下の記載例のように具体的な準拠方法を示すことが適切である。 例1:「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン」に記載された要件のうち、ステップ1の要件を満たしていること。 例2:「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン」に記載された要件のうち、ウェブサイトの「6.1.1.3.1. 代替テキストの付与」「6.1.1.3.6. キーボードのみでの操作」・・・・・・を満たすこと。 【4.今後の展望】 《スライド42》 ・出版の動向にも注目 2014年から2022年までの書籍の種類ごとの売上額と占有率を示した表。売上額の単位は億円。資料種別ごとに、2014年から2022年まで9年間の売上額の数値、占有率の数値の順で次に列挙する。また、前年度からの増減を[ ]で囲んで記載する。 紙の書籍は、7,544、7,419、7,370、7,152、6,991、6,723[-3.8%]、6,661[-0.9%]、6,804[+2.1%]、6,497[-4.5%]。占有率は39.8%。 紙の雑誌は、8,520、7,801、7,339、6,548、5,930、5,637[-4.9%]、5,576[-1.1%]、5,276[-5.4%]、4,795[-9.1%]。占有率は29.4%。 紙合計は、16,065、15,220、14,709、13,701、12,921、12,360[-4.3%]、12,237[-1.0%]、12,080[-1.3%]、11,292[-6.5%]。占有率は69.2%。 電子コミックは、887、1,169、1,491、1,747、2,002、2,593[+29.5%]、3,420[+31.9%,]、4,114[+20.3%]、4,479[+8.9%]。占有率は27.5(89.3)%。 電子書籍は、192、228、258、290、321、349[+8.7%]、401[+14.9%]、449[+12.0%]、446[-0.7%]。占有率は2.7%。 電子雑誌は、65、105、160、178、156、130[-16.7%]、110[-15.4%]、99[-10.1%]、88[-11.1%]。占有率は0.5%。 電子合計は、1,144、1,502、1,909、2,215、2,479、3,072[+23.9%]、3,931[+28.0%]、4,662[+18.6%]、5,013[+7.5%]。占有率は30.7%。 紙+電子合計は、17,209、16,722、16,618、15,916、15,400、15,432[+0.2%]、16,168[+4.8%]、16,742[+3.6%]、16,305[-2.6%]。占有率は100%。 電子合計の占有率30.7%が強調され、「電子が3割」とのコメントが付されている。 出典:出版科学研究所『出版月報』2023.1 《スライド43》 ・図書館としても、電子出版の動向は無視できない状況に  →今後も、電子図書館サービスの導入増が予想  →障害の有無にかかわらず利用できる環境づくりが重要 ・導入・更新にあたって、電子図書館システムのアクセシビリティの検討・確認は必須  →「電子図書館のアクセシビリティ対応ガイドライン1.0」を積極的に活用されたい 《スライド44》 ご清聴ありがとうございました