資料紹介(2)−乙部図書・発禁図書について
8月の「お知らせ」で、「大正期刊行和図書のマイクロ化完了」についてご報告しました。その記事の中に登場した旧凾架図書、乙部図書、旧上野図書館本、発禁図書の概要について、9月から、3回にわたってご説明しています。今回は「乙部図書」、「発禁図書」の紹介です。
これらの資料は帝国図書館から引き継いだ貴重なコレクションですが、当館は資料保存のため、マイクロ化などのメディア変換をすすめています。利用提供には原本ではなく、メディア変換済資料を基本としていることを、加えてご案内いたします。
大正期刊行和図書はマイクロフィッシュでのご利用になります。詳細はこちらをご覧ください。なお、マイクロフィッシュリーダーをお持ちの図書館にのみ貸出可能ですので、貸出しを申し込まれるときは、備考欄に必ず「マイクロフィッシュリーダー有り」とお書きください。
<乙部図書について>
「乙部図書」とは、帝国図書館時代に、目下の利用価値は乏しく閲覧には供しないが、一応保存し、判断を後世にゆだねることとされた資料群です。請求記号の最初に「特」が付けられていることから、「特凾」(とくかん)とも呼ばれています。内訳は実用書や小冊子、楽譜、パンフレットなどです。明治末から大正にかけて人気を博した『立川文庫』も乙部図書に含まれています。また、女性解放運動で知られる平塚雷鳥の著書も、大正初期のものは乙部図書とされていました。昭和初期には様々な新語、外来語を紹介した『超モダン用語辞典』のような、新しい文化の誕生を感じさせる図書があり、また、太平洋戦争時のものには、『大東亜戦に輝く美談』、『鬼畜米国の正体』など、時局を反映した図書があります。このように、乙部図書には、当時の流行、気風を如実に反映した資料が数多く含まれています。
<発禁図書>
明治26(1893)年に制定された旧出版法により、出版物は発行前に内務省に2部納本され、検閲を受けることとされていました。「発禁図書」とは、この検閲で「安寧秩序妨害」、「風俗壊乱」に当たるとされ、発売禁止になった出版物のことです。当時、これらは内務省警保局に保管されましたが、関東大震災で焼失し、その反省から、昭和12(1937)年以降、内務省と帝国図書館で1部ずつ管理することとされました。このうち内務省所蔵のものは第二次大戦後に米国議会図書館(Library of Congress 以下、「LC」という)に接収され、また、帝国図書館所蔵のものは当館に引き継がれました。しかし、LC所蔵資料には当館未所蔵のものが多数あったため、昭和50(1975)年以降、未所蔵分を中心とした資料がLCから返還され、現在の資料構成になりました。
「発禁図書」の一部は、戦後に一般図書と混配されましたが、多くは「特500」番台(帝国図書館所蔵分)、「特501」番台(LC所蔵分)の請求記号を付与して整理されています。これらの資料には、発禁理由の書込みなどの検閲の跡が残っており、当時の出版や検閲の状況を伺い知ることができます。
