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書誌データの基本方針と書誌調整:What's 書誌調整?

第9回 全国書誌は文化の鏡

What's 書誌調整?

 連載9回目の今回は、全国書誌がテーマである。
 全国書誌とは、「ある国で刊行されたすべての出版物を収録する書誌」のことであると、とりあえず定義しておく。
 日本では、国立国会図書館が作成する書誌情報を編集して毎週刊行している『日本全国書誌』がこれにあたる。
 それでは、この連載で全国書誌を取り上げる意味、すなわち全国書誌と書誌調整の関係とは何だろうか。
 連載をスタートするにあたって、書誌調整という言葉の意味を「目録の作成と提供の仕組みづくり」とした。今回は、書誌調整の別の側面に注目してみたい。それは、「何らかの方法で文献の存在を把握し、その書誌情報を既知の順序で排列すること」(根本彰『文献世界の構造』)である。全国書誌とは、ある国で刊行された文献の存在を把握し、その書誌情報を何らかの順序で排列したリストであると言い換えられる。
 各国が責任を持って、その国で刊行された文献の存在を把握し標準的な書誌情報を収録したリスト(各国の全国書誌)を作成することで、それぞれの国における国内書誌調整が図られる。そして、その全国書誌を国際的に流通させ利用に供することによって、世界的な書誌調整が実現できるのである。そのため多くの国で、国立図書館などが全国書誌作成機関として全国書誌を作成するという責任を負っている。また、多くの全国書誌作成機関が、法定納本制度により国内の文献を包括的に収集して、全国書誌に収録するよう努力している。日本では当館が唯一の全国書誌作成機関であり、やはり納本制度に基づいて収集を行っている。
 それでも全国書誌には限界がある。先に「すべての出版物を」と書いたが、実は「すべて」など不可能なのだ。第一に、出版物のリストを作成するにあたっては、何を出版物と見なして収録するかを予め決めておく必要がある。これまでも新しい出版形態が現れては、出版物と見なせるか、全国書誌に載せるべきかについて全国書誌作成機関を悩ませてきた。収録範囲の拡大は出版技術革新との追いかけっこである。第二に、収録の対象ではあっても何らかの理由で収録されないことがある。例えば、全国書誌作成機関が入手できなかったためにその出版物の存在を把握できない、等である。
 とはいえ、「すべて」をあきらめることはない。第一の問題に対しては、出版や情報流通の変化とともに出現する新たな媒体の出版物に、収集・書誌情報作成の両面で対応できるよう、工夫していく必要がある。第二の問題については、納本を促進することで、かなりのカバー率を達成することができる。
 このように、苦心の末にできあがった全国書誌も、利用されなければ意味がない。世界の書誌調整に役立つためには、世界中のどこからでも、いつでも誰でも、利用できるものでありたい。そこで当館では、冊子体のほかにホームページ版『日本全国書誌』を公開している。2002年4月の公開以来多くの方々に利用されている。掲載しているのは最新4号分だが、当館のWARP(インターネット資源選択的蓄積実験事業)を利用すれば、過去を遡ることもできる。ぜひ一度、当館ホームページ(http://www.ndl.go.jp)からメニューを辿り、「刊行物」−「日本全国書誌」をのぞいて見てほしい。日本の出版文化の状況を映し出す鏡が、そこにある。

(『国立国会図書館月報』2004.8 No.520)

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